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2018.09.21

『つくもがみ貸します』 第九幕「秘色」

 蘇芳の香炉を探す人物と鶴屋で出会ったつくもがみたち。かつて蘇芳は佐太郎のもとから失われ、彼が蘇芳を売り払って焼け出されたお紅に与えたのではないかと噂が流れたが、彼はお紅の前からも姿を消してしまったのだ。お紅の頼みでその人物を探す清次は、蘇芳が失われた時の模様を知るのだが……

 今回も原作由来のエピソード。物語冒頭から言及されていた蘇芳の香炉にまつわる因縁が、ようやく明かされることになります。

 以前登場した鶴屋に貸し出されたお姫と月夜見。そこで二人は浅川屋の主人と梅川屋の若旦那の会話を聞くことになります。その会話は、お紅も探してきた蘇芳の香炉にまつわるもの。梅川屋もまた、蘇芳の行方を探しているというのですが――
 出雲屋に帰ってきて、小芝居で蘇芳の香炉にまつわる因縁を説明し始めるつくもがみたち。以前、蘇芳の香炉は飯田屋の長男・佐太郎の許嫁であった住吉屋のお加乃から彼に贈られたものであったものの、佐太郎はお紅に熱を上げるばかり。佐太郎の母から、佐太郎の嫁になりたくば櫛から大金を作ってみせろと言われたお紅は、お加乃への意地もあって(清次が)奮闘することに……

 と、櫛の話はさておき、佐太郎のもとから消えてしまったという蘇芳。折しも大火で店を焼け出されたお紅に対して、佐太郎は蘇芳を売り払った代金を与えたのではないか――と噂が流れ、佐太郎の母(何故か五位が演じるのがおかしい)はお加乃との縁談を急いだものの、今度は佐太郎が消えてしまったというのであります。
 世間では佐太郎とお紅が駆け落ちしたのではないかと噂したものの、もちろん真実はそうではなく、お紅は蘇芳と佐太郎の行方を探していたというのであります。今頃になってまたその話を聞かされたお紅は、梅島屋の若旦那こそが佐太郎ではないかと、清次に調べるように頼むのですが、もちろん清次の心中が穏やかなわけがありません。

 何はともあれ鶴屋を訪ねた清次ですが、梅川屋は初めて来た客とのことで鶴屋もわからない。そこで浅川屋を訪ねた清次ですが、佐太郎の名を聞いて顔色を変えた浅川屋は、居合わせた青年・権平を呼び、清次を梅川屋に案内するように申しつけます。そこで梅川屋を訪ねた清次ですが、番頭に訪ねてみれば、若旦那は確かに飯田屋の出身だと言うではありませんか。
 ここで飯田屋にも顔が利くという権平
(有能)に引っ張られて今度は飯田屋に向かう清次ですが、そこでわかったのは、飯田屋の息子は息子でも、梅川屋に行ったのは次男の方。佐太郎に弟がいたのか、と驚く清次ですが、佐太郎の名はいまだに飯田屋ではタブーとなっている様子であります。

 これではとても佐太郎のことは聞き出せそうにないと落ち込む清次ですが、何故か親身に手伝ってくれる権平と話す間に、いつもの手でいこうと思いつきます――そう、無料貸し出しセールでつくもがみを潜入させて情報を集めようと。
 そして早速情報を集めてきたつくもがみたちですが――蘇芳がなくなった日、お加乃が佐太郎を訪ねてきたものの、彼女が来る前には蘇芳は確かに箱に収められていたとのこと。そしてその後、お加乃が訪れた時に佐太郎は部屋におらず、庭に案内された彼女が佐太郎とともに部屋に戻ってみれば、その時には蘇芳は消えていたというのであります。
 ちなみに二人が庭にいる間、佐太郎の部屋から煙草を拝借しようと忍び込んだ使用人の証言によれば、その時には既に蘇芳はなかったというのですが――わかったのはそれだけ、であります。

 その後、出雲屋を訪ねてきた権平から、彼が住吉屋の――すなわちお加乃の実家の――番頭であると聞かされる清次とお紅。お加乃はいまだに佐太郎のことを引きずっており、大叔父に当たる浅川屋から頼まれて、権平が佐太郎を探していたというのですが――同病相哀れむ清次はそれだけではないと見抜きます。権平がお加乃を想っていると……

 結局過去の真相は全くわからず、さすがのお紅も清次たちに無理をさせてばかりと反省。そして清次も、自分は謎解きができると思っていたがそれはうぬぼれに過ぎなかったとこれまた反省。湿っぽいムードのまま、今回は終わります。


 冒頭に述べたとおり原作ベースのエピソードである今回、内容はほとんど原作に忠実ながら、なんと原作の謎解き部分まで今回は描かないという、ちょっと意外なアレンジ(?)であります。原作ではこの謎が物語中盤で解明されるのですが、アニメでは終盤まで引っ張るのでしょう。
 それにしても飯田屋に浅川屋に梅田屋に住吉屋と、○○屋ばかりでかなりややこしい……


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