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2018.10.09

『つくもがみ貸します』 第十一幕「似せ紫」

 早苗の周りにかつての男の影があるのではと心配する勝三郎に相談された清次。弱った清次は半助に相談し、半助は勝三郎と早苗、さらに幸之助やお花を招いて茶会を開く。その席で男女の間には心の平静を保つことが一番必要と説く半助の話に閃いた清次は、ついに消えた蘇芳の在処を見つけだすことに……

 台風で一週放送延期となったためでもないでしょうが、月夜見が貸し出された先のつくもがみ・猫神に本作の基本設定を語るアバンから始まる今回、その場にもう一人、佐太郎が主人だったというつくもがみ・黄君が現れて――という場面から変わり、またもや勝三郎の相談を受ける清次が描かれます。
 勝三郎との縁談の前、心を寄せた男性がいた早苗。その男性は既に他の女性と結婚したのですが、最近、勝三郎は早苗の屋敷の近くでその姿をみかけてしまったのであります。もしやまだ二人の間に何かが――と気が気ではない勝三郎ですが、それを相談される清次こそいい面の皮。お紅に話しても、早苗と仲の良い彼女に一喝され、弱った清次は第八幕に登場した半助に相談するのでした。

 なるほど、女性の心も男性の心もわかり、恋愛については過去に色々あった半助は適任ですが、彼は清次の相談を二つ返事で引き受けると、勝三郎と早苗、さらに幸之助やお花を招いて茶会を開くことになるのですが――幸之助とお花を呼んでいいの、と気遣う清次に、今は幸之助を鍛えるのが楽しくて仕方ないというようなことを答える半助はまじ神様のような人であります。

 さて清次が出雲屋に帰ってみれば、貸し出されていた品川から帰ってきた月夜見が、黄君から聞いた過去の出来事を語ります。かつて婚約者のお加乃から贈られた蘇芳の香炉が消え、彼女と結婚せざるを得ない立場に追い込まれた佐太郎。そんな彼のために、お紅はかつて佐太郎の母から託された櫛を元手に(清次が懸命にわらしべ長者戦法で)稼いだ80両で、蘇芳と同じ作者の同型の香炉を買い、それを持って帰るように告げたのでした。
 しかしそれは同時に、お紅が佐太郎の母の試験に不合格になるということでもあります。それを受け入れられぬ佐太郎は、二人の目の前でその香炉を割り(当然清次は激高しますがそれもごもっとも)、一旗揚げて帰ってくるので待っていてほしいと告げて、一人江戸を去ったのです。そこから先、佐太郎がどうなったのか――それは路銀を作るために品川で売られてしまった黄君には預かり知らぬことであります。

 それはさておき、半助主催の茶会は終始和やかなムードで進み、半助は清次のフリに答え、男女の仲を壊さぬための大事な方法について、知り合いの話という態で、かつての自分が経験した出来事を引いて語り始めます。
 かつて遊女から煙管(五位)を贈られた男(半助の夫)。妻(半助)からその煙管を隠していた男ですが、いつの間にか煙管はそこから消え、それを知った遊女から男は責められることになります。ついには事を明らかにされたくなければと、半ば脅される形で男は妻と離縁し、遊女と一緒になったのですが――と、何だかどこかで聞いたようなシチュエーションですが……
 実はこの一件、煙管を隠し場所から盗んだのは遊女自身という恐ろしい真実があったのですが、このことから半助は、男女の間で最も大事なのは心の平静を保ち、伝えるべきことを伝えることだと説きます。男を手に入れるために自作自演の挙に出た遊女も、秘密の存在を脅されて離縁に至ってしまった男も、平静さが足りなかった――と、笑って語る半助はもの凄い平静さの持ち主だと思いますが(そしてその言葉を聞いて突然お花に告白する幸之助は相変わらず平静さゼロ)。

 何はともあれ、勝三郎も早苗に平静に問いかけ、向こうの男の独り相撲だと確認して一件落着ですが――ここで清次が閃きます。
 先ほどの半助の話が、平静さを失った女性の自作自演がきっかけだとすれば、蘇芳の件も――と、お加乃の実家に向かった彼は、第九幕に登場した権平の協力で、店の倉から箱が無く袱紗に直接包まれたモノを見つけだします。はたしてそれは佐太郎のもとから箱だけ残して消え失せた蘇芳ではありませんか! そしてその場に現れたお加乃から、佐太郎のもとを訪れた彼女が蘇芳を持ち出し、乳母に密かに持って帰らせていたことが語られ、かつての謎は解けたのであります。

 そしてその晩、料理屋・鶴屋には二人の客が。うち年長の男は、もう一人の若い男を佐太郎と呼んで……


 予告を見ればオリジナルエピソードかと思いきや、実は本作最大の謎である蘇芳消失の謎解き回でもあった今回。本作の裏テーマとも言うべき男女の間柄に絡めて清次が真相に気づくのは面白いのですが、実は原作ではもう一ひねりしてあったトリックが、ここでは非常に単純なものになっていたのが、何とも残念なところではあります(原作ではそこに哀しい人間心理が絡んでいただけになおさら……)。


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