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2018.10.10

『Thunderbolt Fantasy 東離劍遊紀2』 第2話「奪われた魔剣」

 殤不患から魔剣目録の一部を奪い、その中から二振りの魔剣を呼び出した蠍瓔珞。一方、西幽の捕吏・嘯狂狷は、四方御使を名乗る鬼鳥と手を組み、仙鎮城を訪れる。そうとは知らぬ殤不患と浪巫謠の前に、魔剣・喪月之夜を手にした蠍瓔珞が現れる。喪月之夜の恐るべき能力に翻弄される殤不患の運命は……

 はるばる西幽から殤不患を追ってきた陰険メガネ君こと嘯狂狷の前に現れた謎の男()鬼鳥。朝廷から派遣された査察官・四方御使だという彼は、殤不患が西幽の宮廷の宝物庫を荒した逆賊だという嘯狂狷の言葉に、協力を申し出ます。
 東離では特段手配もされていない殤不患ですが、玄鬼宗を壊滅させたという噂(誰が流したのか)もある殤不患を放ってはおけないという鬼鳥ですが、その真意は……

 さて、その殤不患は前回蠍瓔珞に魔剣目録の一部を持ち去られたわけですが――ごく一部とはいえその影響は大きく、魔剣目録の中身を見ることができなくなってしまったのでした。殤不患曰く、これは術を使えない彼でも使えるように巻物の形こそしているものの、その実、一種の宇宙とも言うべき存在。それが一部を切り取られた――巻物の形を失ったことで、その機能そのものが失われてしまったと、わかるようなわからないような理屈ですが……
 と、その一部を持ち去った蠍瓔珞は、どこぞの納屋のような場所に身を隠し、怪しげな魔術を用いて、奪った部分から魔剣を呼び出そうという真っ最中。そしてそこから現れたのは、なんか魂を喰らう剣っぽい有機的なデザインの魔剣・喪月之夜と、豪華な鞘に収められた謎の魔剣ですが――後者の剣は意志があるらしく、危うく蠍瓔珞もそれに支配されかかったものの、ギリギリで手を離すことに成功、その魔剣を雑に放り出してその場を去るのでした(どう考えても後で面倒なことになる予感しかしません)。

 一方、殤不患を追う嘯狂狷と鬼鳥が訪れたのは、前回蠍瓔珞に荒らされた仙鎮城。病床の伯陽侯と言葉を交わす二人ですが、前回殤不患に命を救われた伯陽侯が、どれだけ嘯狂狷が殤不患を悪し様に言おうと、容易に信じるはずがありません。が、そこで口を挟んだのは鬼鳥。丹翡からの紹介状があったと聞けば、丹翡は若輩で未熟者、海千山千の曲者に容易に騙されてもおかしくない――と、なんだかものすっっごく説得力のある言葉で伯陽侯に語りかけます。その結果、ついに伯陽侯は、前回の戦いは殤不患と蠍瓔珞が仕組んだ狂言だと信じ込むことに……

 そんな大変なことになっているとは露知らず、町の宿屋の一室で、一生懸命に糊と紙で魔剣目録を修理している殤不患。この辺りを人形で見せるのはちょっと驚きではあるものの、そんなアバウトな修理でいいのかなあ――と思いきや、大事なのは形らしく、魔剣目録はその機能を取り戻します。そしてそこで初めて喪月之夜が奪われたことを知った殤不患は、屋根の上で待っていた浪巫謠に対して、血相変えて町から出るよう促します。
 というのもこの魔剣の力は――と、時すでに遅し。その場に現れた蠍瓔珞が魔剣で町の人々に次々と襲いかかると、斬られた人々は「喪」の字が描かれた覆面を被ったような姿で立ち上がり、殤不患たちに襲いかかるではありませんか。そう、この魔剣によって斬られた者は、肉も骨も傷つけられぬ代わりに、精神を乗っ取られ、持ち主の思うがままに操られてしまうのであります。

 言ってみればゾンビに襲われるようなものですが、ゾンビと違うのは相手が無辜の生きた市民であること。剣侠たる殤不患としては、相手を殴り倒すくらいはできても、斬り捨てることもできず、無数の敵に取り巻かれて大苦戦を強いられます。とはいえ相手は動きが鈍い上に素人、浪巫謠がマップ兵器的に放った衝撃波で武器を取り落とした隙に、殤不患は蠍瓔珞を探すのですが――そこで目に入ったのは、ただ一人魔剣の犠牲になることなくその場に居合わせた少女の姿であります。
 もちろんこれを見過ごすことはできず、少女を助ける殤不患ですが――どう考えても不自然に見えたこの少女は蠍瓔珞の変身。不意打ちで猛毒の爪を受けて苦しむ殤不患に、トドメの一撃を食らわせようと蠍瓔珞が襲いかかって――と、武侠ドラマにあるまじきキリのいいところで次回に続きます。


 前作同様、本作でも貧乏くじを引きまくる予感しかしない殤不患。誤解と濡れ衣は武侠の華ですが、その上に毒まで喰らうという状態で、この上失恋でもすれば武侠ものの不幸の数え役満状態ですが、さすがにこの方面は大丈夫(?)かな……
 しかしその不幸の原因の一端は、確実に鬼鳥を名乗るアイツにありますが――さて二人がいつ出会うのか、出会った時に何が起こるのか、それが今一番気になることは間違いありません。


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