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2018.12.07

『Thunderbolt Fantasy 東離劍遊紀2』 第10話「魔剣/聖剣」

 七殺天凌を手にした諦空(婁震戒)によって蠍瓔珞が斬られたことを知る殤不患。一方、凜雪鴉と商談をまとめ、西幽の秘宝を売りさばこうとする嘯狂狷だが、意外な陥穽が待ち受けていた。そして七殺天凌を手に虐殺を繰り返す婁震戒は、彼女の天敵である神誨魔械を破壊するため、仙鎮城に迫る。

 前回、非業の死を遂げた蠍瓔珞を浪巫謠が弔っているところにやってきた殤不患。新たな道を行こうとしていた矢先の彼女を斬った諦空に怒りを燃やす殤不患ですが、浪巫謠はそれでも殤不患が可能であれば諦空を助けようとしていると見て、非情になれない奴は邪魔だと、戦場から一時離れるように促します。もちろん浪巫謠は、そんな甘さを捨てきれない殤不患をそのままの彼でいさせるために、あえて冷たい言葉を吐いたのですが……

 その頃七殺天凌と諦空改め婁震戒はといえばイチャイチャの真っ最中。七殺天凌が求めるままに人を斬り、その血を吸わせていく彼は、その前に現れた祐清だったか碧樞だったかのどちらかと遭遇、相手があまりの変わりように驚いて間に(というよりむしろよく同一人物だとわかったな!)バッサリと斬殺してしまいます。そんな婁震戒に対して、「ほかにもっと良い剣が現れたらそっちにさっさと乗り換えちゃうんじゃないの?」と軽くスネてみせる七殺天凌。いやいやそんなことはないですよと返す婁震戒ですが――一体君たちは何をやっているのだ。

 一方、そんな流れはお構いなしに悪巧みを進める嘯狂狷。彼が西幽から運んできた秘宝と、凜雪鴉が隠していた東離の名刀と――ともに売りさばけば後ろに手が回る品を交換して、遠く離れた地でそれぞれ売りさばこうという企みであります。そして互いの品を取り替えた嘯狂狷ですが――ここで凜雪鴉が、西幽のお宝の方が価値が高すぎる、これでは自分ばかりが得してしまうので、君がこれを売ってその中から分け前を渡してくれたまえよ、と言い出すのでした。
 凜雪鴉の言葉に疑いを抱きつつも、自分には破幻のメガネがあるのだから心配はない、と嘯狂狷はその提案を受け入れるのですが……

 そのおそらく翌日、釣りをしている凜雪鴉のところにやってきたのは殤不患(こいつら普通に友達だな?)。と、振り向いた凜雪鴉の顔には、あの嘯狂狷のメガネが!偽物とすり替えておいた、としれっと語る凜雪鴉は、物に頼り切っているからこんなことになると、もっともながらお前が言うな的なことを語るのですが――当の嘯狂狷の方は、そんなことになっているとはつゆ知らず、凜雪鴉に頼まれた通り、商人のもとに、西幽の秘宝の数々を持ち込みます。
 ……が、櫃を開けてみれば、そこに入っていたのは東離の名剣――それも墳墓や宮中にあるはずのものばかり。こんな恐ろしいものを一体、という疑いの目に耐えきれなくなった嘯狂狷は、店主たちを殴り倒して逃走、さらに途中で出会った東離の捕吏たちも殴って逃げるのでした。しかし東離の剣がこちらにあるということは、西幽に送った荷の中身は西幽の宝、すなわち彼の汚職の証拠。東にも西にも逃げ場はなくなり、地団太を踏むしかない嘯狂狷であります。

 さて、殺人バカップルに目を向ければ、スネられたのが悪かったか、婁震戒は姫以外の刀は許せんと、仙鎮城への殴り込みを決意。なるほど、護印師のもとであれば、神誨魔械をはじめ名刀宝剣の類は様々あるかと思いますが――しかし神誨魔械は魔物に近い七殺天凌にとっても苦手な相手。しかし婁震戒は大丈夫大丈夫と、珍しく弱気の七殺天凌にもかまわず乗り込んでいくのでした。
 もちろんたまったものではないのは仙鎮城側。あっさりと突破されていく守りを前に、祐清だったか碧樞だったかの生きていた方は、自分が時間を稼ぐうちにお逃げ下さいと伯陽候に促します。そして目隠ししたまま婁震戒と七殺天凌の前に立つ彼が持つのは――自在に宙を舞い、自動的に「魔」を察知して襲いかかる誅荒劍。なるほど、これであれば目が見えなくとも戦えます。

 婁震戒は体術で攻撃を躱しまくるものの、人間の身であれば限界はあります。そしてついに動きを止めた婁震戒に襲いかかる誅荒劍ですが――ここで婁震戒は身を捻るや、肘と膝で挟み込んで剣を止め、そのままへし折った! 真剣白刃取りどころか、まさかの蹴り足ハサミ殺しを白刃相手に敢行する婁震戒、やはり異常な遣い手であります。
 道具に頼りすぎだ、とどこかで聞いたような言葉とともに相手に止めを刺す婁震戒。一方、ただ一人逃れた伯陽候が向かう先は……?


 突然ものすごい格好になった(しかし一目で見抜く仙鎮城の皆さん)諦空改め婁震戒と七殺天凌のバカップルぶり、そしてついに転落を開始し小物っぷりを見せつける嘯狂狷と、クライマックス間近ながら愉快な展開が続いた今回。こんな楽しい人たちもこれからバタバタ退場していくのだろうなあ――と思っていたら、次回予告に見覚えのある眼帯青年が登場して、思わず真顔に……


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