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2019.01.11

『どろろ』 第一話「醍醐の巻」

 領地の繁栄と己の栄達のため、地獄堂に祀られた12体の鬼神と取り引きした醍醐景光。その代償に体中の各部位を奪われた景光の子は、川に流されて何処かへ姿を消す。それから16年後、盗みで暮らしを立てていた子供・どろろは、怪物に襲われたところを人形のような外見の少年に助けられるが……

 というわけで、この1月からスタートした手塚治虫原作の妖怪時代劇『どろろ』アニメ版。これまで様々な形でリメイクされてきた原作を、今どのようにアニメ化するのか――第1話の時点では、想像以上に手堅い印象です。

 時は戦国――加賀国守護職・富樫政親(実在。ということは15世紀後半か)に仕える武士・醍醐景光は、初の子が生まれようとするその時、地獄堂なる恐ろしげな堂宇を訪れるのでした。「外道に落ちる」「この先待つのは地獄」と止める上人を、「もう落ちている」「地獄とはこの世のことよ」とありがちなことを言いながらバッサリ切り捨て、中に祀られた奇怪な鬼神像に取引を持ちかける景光。困窮する領土を救い、自分に天下を取らせれば、自分の持つ好きなものを何でもやろうと彼が語った時……
 地獄堂に、そして景光の屋敷に落ちる激しい雷。まさにその時、景光の妻・縫の方が産み落とした赤子は、雷が止んでみれば、顔の皮膚をはじめ、目も鼻も手足もない、無惨な姿となっていたのです。周囲の者たちが驚き怯え、そして悲しむ中、ただ一人哄笑するのは景光。そう、この赤子の姿こそは、彼と鬼神の契約が成った証なのですから。

 もはや赤子に興味をなくした景光は、乳母に捨ててくるように命じるのですが――思いとどまった乳母により、殺される代わりに小舟に乗せて流される赤子。その直後に現れた妖怪によって乳母が食い殺されたため、赤子の生存を知る者は誰一人いなくなったのでした。その場を通りかかって妖怪を一刀の下に切り捨て、そして流れ去る小舟を見送った(見送るのか)、琵琶法師のほかは……

 そしてそれから16年後、賑やかな口上で道行く人を呼び止めては、様々な物を売りつけようとするのは、まだ幼い子供――名はどろろ。しかし彼が売っていたのは人足たちが運んでいた荷物、どうやらこれまでも同様のことをやらかしていた様子です。
 追いかけてきた人足たちを身軽に振り切り、一度は逃げ切ったかに見えたどろろですが、河原で出会った野良の子犬に情をかけたばっかりに、人足たちに捕まり、袋叩きにあう羽目に。それでもまあ、ボコボコにするくらいで見逃そうとした人足に対して、石をぶつけて目を潰したりするもんだから、ついに本気で簀巻きにされて殺されそうに……

 と、その時、傍らの古ぼけた橋の上に立つ一人の少年。およそ生気の感じられない不気味な彼に声をかける人足たちですが、少年が見ているのは、自分たちの後ろだとどろろは気づきます。その後ろにあったのは、川から流れてきた泥ともゴミともつかぬものの塊――が、それが突然立ち上がり、腕を伸ばして人足たちに襲いかかった!
 次々に泥に飲まれていく人足たちに続き、怪物――泥鬼に捕まったどろろ。そこを、己の腕を引き抜き、仕込まれた刃でもって少年が泥鬼を斬って救い出します。そしてどろろ以上に身軽な動きで泥鬼を翻弄し、橋の上に誘き寄せながら橋に切りつける少年。泥鬼の重みも相まって橋は崩れ去り、泥鬼は橋の下敷きとなって生き絶えるのでした。

 命の恩人である少年に喜び勇んで飛びつくどろろ。しかし少年はその前で突如苦しみだします。少年の顔から落ちる精巧な面。その下の顔は生皮を剥がれたような無惨なもの――と思いきや、少年の顔は瞬く間に皮膚で覆われるのでありました。
 時を同じくして、何かを察知して地獄堂に向かった景光が見たものは、真っ二つにされた鬼神像の一体。一方、彼の屋敷では、五体満足な景光の息子・多宝丸を前に、縫の方は16年前のあの日を思い出していたのでした。そしてもう一人、打ち捨てられた死体に、失った手足や顔を付けて弔っているという医者・寿海は、何かを案じるように「百鬼丸……」と呟いて……


 と、一話の中に基本設定からメインどころのキャラクターの顔見せまでソツなく織り込んでみせた今回(百鬼丸が何者か、妖怪を倒したら何故皮膚が甦ったかは明確に語られませんが、それは一目瞭然でしょう)。
 ビジュアル的にはキャラクター原案の浅田弘幸のタッチがはっきり現れた百鬼丸が印象的で、彼の目には周囲が暗視ビジョンのように見えるという演出もなかなか面白いところ。アクションもかなりよく動いていましたが、これはまあ、第1話だからかなあ……

 何はともあれ、魔物の数が12という手頃な数に変わったこともあり、原作を踏まえつつ本作ならではのものをどう見せてくれるか――それが見所と言うべきでしょうか。



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