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2019.03.22

『どろろ』 第十一話「ばんもんの巻・上」

 醍醐領に向かったどろろと百鬼丸。そこで朝倉との国境の巨大な板塀「ばんもん」に妖怪が出現すると聞き、退治に向かった二人は、ばんもんによって故郷の両親と引き離された少年・助六と出会う。国境を越えるために見張りがいなくなる夜を待つ助六に協力する二人だが、その前に狐の鬼神が現れた……

 前回ラストで化物蟹から多宝丸たちを救った百鬼丸。百鬼丸の異形と異能に驚く多宝丸たちですが、どろろの言葉に応じて化物退治の代金を払うのはやはり育ちがよろしい。そして名を問う多宝丸に、百鬼丸は答えるのですが……
 さて、この辺りで一番栄えているという醍醐領ですが、そこは確かに今まで描かれてきた寂しい村や町の風景とは全く異なり、様々な商品や娯楽が溢れた賑やかな世界。そこで(何だか時代設定的に微妙な感じの)芝居を見物した二人は、この地では醍醐景光が鬼神を倒した英雄として讃えられていることを知ることになります。

 そこで久々に出会った琵琶丸ともすぐに別れ、そろそろこの町を出て行こうとしていた二人は、町で化物の噂を聞き、これは丁度いいと出かけていくことになります。その化物が出るという場所は、朝倉との国境の砦跡に残る一枚の大きな板塀「ばんもん」。かつて朝倉との衝突が繰り返された頃、そこに砦と巨大な板塀が作られ、二つの国を厳しく分かったというのであります。そして今も、国境を越えようとする者は、朝倉の見張りによって殺され、ばんもんに晒されると……

 そこで二人の前に現れたのは、どろろとあまり年も変わらぬような少年・助六。朝倉側の住人だった彼は、偶然醍醐側に遊びに来ている時に塀が建てられ、両親と引き離されて以来、何とか国境を越えて両親の元に帰ろうとしていると二人に語ります。
 と、その手の話を聞いて黙ってはいられないのがどろろ。助六を手助けすると決めたどろろは、昼間は国境を朝倉の兵が守り、夜は化物が出る――という助六の言葉に、それならば丁度いいと、夜を待つことにするのでした。

 そして夜――ばんもんの前で三人の前に現れたのは、不気味に輝く狐の群れ。一匹一匹はどろろの投石で消えるほど弱いのですが、何しろ数が多い。その間に二人を置いて国境に走っていってしまう助六をどろろに追わせ、百鬼丸は単独で狐の群れに対峙することになります。
 と、集合した狐たちは、巨大な狐の鬼神・九尾に変化。一度は九尾に地面に押し倒された百鬼丸ですが、巴投げの要領で弾き返し、さあ逆襲か――と思われたところで、百鬼丸の周囲に幾本もの矢が突き立ちます。そこに現れたのは兵を率いた景光――間者から体中が作り物の若者が鬼神を討って回っているとの報を受けた彼は、自ら出向いて百鬼丸に矢を向けたのであります。

 そしてその頃、町をうろつく狂女が実は縫の方に仕えていた女房であったことを知った多宝丸は、彼女の口からかつての出来事を聞くことに……


 国境に立てられ、望まぬまま引き裂かれた人々を無情かつ無惨に隔てる壁「ばんもん」――何をモデルにしているかは明確ですが、少なくともその一つがいまだに残っていることを思えば、助六の抱く嘆きと悲しみはこのアニメでも描かれる必要があると言うべきでしょう。

 と、そうした物語が展開する一方で、今回、ついに父と子の対面が描かれることになります。そして多宝丸も十数年前の真実を知り、次回には兄と弟としての対面を果たすことになると思われるのですが――しかしそれらの出会いが何を生むことになるのか、もう嫌な予感しかいたしません。
 いずれにせよ、次回は物語の前半の締めくくりに相応しい内容になることだけは間違いないでしょう。


 にしても百鬼丸、いつの間にかずいぶんと喋れるようになって……。声優さんの出番があってちょっと安心であります。


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