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2019.04.21

『どろろ』 第十四話「鯖目の巻」

 自分の背中に隠された秘密を知り、複雑な心境での旅の途中、幽霊に巨大な赤子の妖怪を押しつけられたどろろ。途中、焼け落ちた寺の跡で赤子は消え、そこで二人はこの辺りを治める鯖目に声をかけられる。誘われるまま彼の屋敷の客となった二人に、その晩、奇怪な怪物が襲いかかる……

 前回、温泉に入ったどろろの背中に浮かび上がった地図のようなもの。どろろの体温が上がった時に浮かび上がるそれは、父・火袋が蓄えた、貧しい人々が立ち上がる時のための隠し金の在処を記したものだったのであります。お自夜の背中と半分ずつ描かれたものが合わされば、おそらくは莫大な金が見つかるはず――しかし母の背中のそれはどろろの記憶にしかなく、どろろは自分の背中を見られない(そしてその存在を知る百鬼丸と琵琶丸は目が見えない)。
 よく考えられたものですが、琵琶丸はその金が世を動かす大きな力の源になるかもしれないと、微妙に不穏なことを言い出すのでした(初めから見ていないと、どう考えても黒幕な言動の琵琶丸であります)。

 そんな琵琶丸と別れ、また鬼神退治の旅に出る二人ですが、その途中、人気のない道で聞こえてきたのは、買うて下され、という声。そこに現れたのは、巨大な赤子めいた妖怪を連れた、不気味な尼のような姿の幽霊であります。鬼神ではないとスルーの百鬼丸ですが、何故か妖怪小僧にピカピカした感じの声で「まんままんま」と懐かれた彼は、妖怪をおぶって――いや妖怪に抱えられて旅を続ける羽目になります。

 そんな中、焼け落ちた寺の廃墟にたどり着いた二人。そこで百鬼丸は尼の幽霊に導かれて油が撒かれた跡を見つけ、どろろは相変わらず妖怪小僧にまとわりつかれていたのですが――そこで突然妖怪は姿を消してしまいます。と、そこに現れたのは、ここには夜になると妖が出ると語る鯖目と名乗る男――その名の通り、魚のように丸く、瞬きをしない鯖目に厭な印象を受けるどろろですが、この辺りの村を治めているという彼の屋敷に招かれ、歓待を受けることになります。

 その宴席で、あの焼け跡はかつて孤児を集めては牛馬のように働かせた末に人買いに売っていた尼僧の寺であり、ある日雷が落ちて尼僧や子供もろとも焼け落ちてしまったのだ、と語る鯖目。しかしそれであればあの油の跡は、とどろろは疑念を抱くのでした。
 何はともあれ、その晩は屋敷の広い部屋にただ二人泊まることとなったどろろと百鬼丸。相変わらず鉄面皮の百鬼丸に、微妙に怖がってるどろろと、何となく微笑ましいムードの二人ですが、その時、天井の梁に蠢く不気味な影が――それは、人間以上の大きさの芋虫に、人間の手を四本生やしたようなおぞましい怪物!

 二人めがけて襲いかかってきた芋虫を迎え撃ち、芋虫の放つネバ糸に刀を封じられたりはしたものの、すぐに振り払って芋虫を叩き斬った百鬼丸。が、倒したかに思われた芋虫が咆吼を上げたとき、外の戸が激しい風とともに吹き飛び、現れたのは巨大な蛾の鬼神――マイマイオンバであります。その羽ばたきから放たれる鱗粉に二人がたじろいだ隙に、マイマイオンバは芋虫を連れて姿を消すのですが――人間の女に変じた鬼神は、屋敷の外で待っていた鯖目のもとに現れます。どうやら鯖目は彼女の正体を知った上で側に置き、誘い込んだ人間を餌として与えていたようですが……


 これまでで一番ホラームードが強かった今回、妖怪小僧を連れて現れる尼僧の幽霊の、ねじれ細ったような異形ぶりもコワいのですが、夜中に天井から襲ってくる人間大の芋虫というのは、実に実に厭なシチュエーションであります。その一方で、異形ながら赤子の要素を多く持つ妖怪小僧は、見ているうちにだんだん可愛くなってくるのですが……

 それはさておき、どろろたちが先に出会った妖怪が実は敵ではなく、そしてその妖怪を悪役に仕立てようとする人間の側が、実は鬼神と繋がっている――というのは、万代様とシチュエーション的に被るお話。もっとも今回の場合、鯖目とマイマイオンバの間に恋愛感情があるようですが、これはこれで以前に絡新婦の話があります。
 これらのエピソードとどのように差別化してみせるのか――おそらくそれは、マイマイオンバに子供がいるということに繋がるものなのでしょう。そしてそれはどろろと母の関係に重ねられるのでは――という気がしますが、さて。


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