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2019.04.28

冬目景『黒鉄・改 KUROGANE-KAI』第2巻 裏切りと罠と家庭の事情と 巻き込まれ続ける迅鉄の旅


 鉄面の渡世人と喋る刀の新たなる物語――『黒鉄・改』の第2巻であります。旅の途中、それぞれ何やら怪しげな一団に襲われることとなった迅鉄と丹。曰くありげな連中と道連れになったり戦ったり、次から次へと面倒に巻き込まれる彼らの運命は――

 人斬りに次ぐ人斬りの果てに命を落とし、ある蘭学者の手により、失った体の一部をカラクリで、失った言葉を喋る妖刀・鋼丸で補って甦った「鋼の迅鉄」。
 渡世人としてのあてどない旅の途中、迅鉄そして彼とは腐れ縁の少女渡世人・紅雀の丹は、奇妙な刺青を入れた三度笠の一団に襲われることになります。どうやら三度笠は丹が偶然手に入れた書状を狙っているようですが――なんとか敵を撃退した二人は、それぞれの道を行くのでした。

 が、二人は再び厄介事に巻き込まれることになります。旅の途中で何者かの仕掛けた罠によって傷を負い、偶然出会った旅芸人の姉妹に匿われた迅鉄。再び三度笠の一団に襲われたところを、怪しげな学者・狩野久作に救われた(?)丹。
 それぞれ新たな道連れとともに旅する二人ですが、その道連れたちもまた、腹に一物ある連中であったことから、裏切りと罠と家庭の事情(?)と――迅鉄たちはややこしい状況に巻き込まれることになるのでした。

 そして二人の前に立ちはだかる思わぬ強敵。苦戦する迅鉄と丹の運命は……


 前巻のラストから続くエピソード「底根國の天探女」が描かれるこの第2巻。『黒鉄・改』として作品がリブートされてから続く、謎の書状を巡る三度笠の一団との戦いは、この巻でも展開されることになります。
 ……といっても戦いだけでなく、旅の道連れになった人々の人間模様、彼女たちとの迅鉄の交流が並行して描かれるのが、人情ものとしての要素も色濃い本作らしいところであります。

 この巻のゲストである旅芸人の少女・月等と、彼女の「姉さん」である月百――傷を負った迅鉄を助けた彼女たちには、実は思わぬ顔があるのですが、しかしそれと同時に、月等には月等なりの事情があることが描かれることになります。
 それは書状の秘密に比べれば遙かに普通の、言ってしまえばよくある話ではあるのですが――しかしそれだからこそその切実さは、何だかんだいって人の良い迅鉄や丹を動かすのであります。

 その一方で、思わぬ強敵として登場する鎖鎌使いの浪人も、実に面白いキャラクターであります。
 罠にかかって必ずしも本調子ではないとはいえ、真っ正面から一対一で迅鉄を圧倒するほどの強豪でありながらも、その言動はいい加減で人間臭い――というよりせこい。特にこの迅鉄との戦いの最中、あるキャラと口でやりあう姿は何とも愉快なのであります。
(これだけキャラが立っていて、結局名無しのおっさんなのが、またなんとも)


 その一方で、謎が謎呼ぶばかりで、物語的にはほとんど全く進展が見られないのは、やはりちょっと苦しいところではあります。
 確かに個々のシチュエーションやキャラは面白いものの、こう進展がないと、迅鉄と丹が一方的に巻き込まれてばかり――そう見えてしまうのであります。

 もちろん、それが迅鉄であり、彼の物語らしいといえばらしいのですが――そろそろ大きく物語が動いて欲しいかな、というのも、正直な印象なのです。


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