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2019.05.05

『鬼滅の刃』 第五話「己の鋼」

 異形の鬼を倒し、最終選抜の七日間をくぐり抜けた炭治郎。最終選抜を突破した炭治郎を含む四人は、日輪刀を造るための玉鋼を選ぶように告げられる。そして鱗滝と禰豆子のもとに炭治郎が帰って15日後、炭治郎の日輪刀を手に刀鍛治の鋼鐵塚が現れる……

 水の呼吸の壱ノ型 水面斬りで異形の鬼・手鬼の首を断った炭治郎。その瞬間、手鬼の脳裏をよぎったのは、47年前に鱗滝に敗れた瞬間であり、そして鬼になったばかりの自分の姿――誰よりも慕っていた兄を食い殺してしまった自分の姿でありました。その末期の悔恨の中身まではわからぬものの、兄に手を差し伸べたような形で事切れた手鬼から悲しい匂いを感じ取った炭治郎は、その手を握ると、後生の安らかならんことを祈るのでした。

 と、その後も数々の鬼との戦い(その中で禰豆子を元に戻す方法を聞くも収穫なし)をくぐり抜け、「切り抜けた……」と犬塚信乃のようなことを言いながら七日目の夜明けを迎えた炭治郎。そして藤の花が咲き乱れるスタート地点に戻った彼が見たものは、あの双子と自分以外の三人の少年少女――無言で蝶々と戯れる美少女と、異常にネガティブなことをブツブツ呟く金髪と、異常に目つきと態度の悪いモヒカンのみでありました。
 この四人の最終選抜合格者に対して、淡々と新人向けの業務連絡を行う双子ですが、ここでモヒカンの態度の悪さが大爆発、刀を今すぐよこせと、双子の一人を殴りつけて凄むのでした。が、ここで蛮行を見過ごせないのが長男気質の炭治郎――今すぐ手を離せ、さもなくば折る、というこれはこれでハードな二択を突きつけると、応じない相手の手首をバキッと握りつぶすお仕置きを食らわせるのでした(家で弟たちにどのようなしつけをしていたのか……)。

 しかしその騒ぎも流した双子は、一同に刀のための玉鋼を選ぶように命じます。唯一鬼の首を滅することが出来る武器・日輪刀の原材料となる玉鋼ですが、いきなり鉱石の段階で選べと言われてもわけがわからない中、それでも炭治郎は自分の鼻を頼りに一つの鉱石に手を伸ばすのでした。
 さて、日輪刀の仕上がりは約10から15日後ということでその場は注文のみ、文字通り這々の体で狭霧山に帰ってきた炭治郎ですが――到着してみればすでに日も暮れた中で彼を出迎えたのは、よくわからないうちに目覚めた禰豆子と鱗滝であります。涙ながらに彼を出迎えた鱗滝から、炭治郎は、禰豆子が人を喰う代わりに眠ることで体力を回復しているのかもしれないと聞かされるのですが……

 それはさておき、15日後に炭治郎を尋ねてきたのは、三度笠の回りに幾つもの風鈴をぶら下げた異様な風体の男。しかも傘の下の顔はほっかむりとひょっとこの面! と、初登場の時点からインパクト満点の三十七歳児・鋼鐵塚の登場であります。ビジュアルの異常さとは裏腹に非常なイケボの鋼鐵塚ですが、全く相手の言うことを聞かずに一方的に自分の言いたいことだけをまくしたてるというマニア特有のナニっぷりを発揮、空気を読まないことでは結構負けない炭治郎を圧倒いたします。
 何はともあれ、その別名「色変わりの刀」のとおり、持ち主によって色が変わるという日輪刀が炭治郎の手でどのような色に変わるのか、固唾を呑んで見つめる炭治郎・鱗滝・鋼鐵塚の三人ですが――その変わった刀身の色は漆黒でありました。刀身が鮮やかな赤になると思っていたのに、と理不尽な怒りを爆発させてウザ絡みする三十七歳児に辟易していた炭治郎ですが、そこに突如飛び込んできたのは、山崎たくみの声で喋る鴉。北西の町で毎夜毎夜少女が消えているという事件の調査を命じられた炭治郎は、鬼狩りとして最初の仕事に挑むことに……


 冒頭の回想シーンでの鱗滝と手鬼の対決を除けば、アクションシーンはほとんどなしの今回。物語の動きとしては静かでしたが、鬼殺隊の階級や伝達役の鎹鴉などのシステムや日輪刀の説明、血鬼術の解説など、本作独自の様々な概念が説明された回であります。
 そしてキャラクターの方も、まだまだ顔見せ的な扱いではありますが、徐々に各人の個性が表れてきたという印象。三十七歳児はいきなりフルスロットルでしたが……

 ちなみに今回は原作の第8話・9話に該当する内容ですが、上で述べた鱗滝と手鬼の対決、その後の炭治郎と鬼たちの戦い、玉鋼を匂いで選ぶくだり(あと、何気に三十七歳児のウザ絡みを力づくで外す炭治郎)など、原作にないオリジナルシーンが少しずつ追加されているのが面白いところ。原作の流れさえ踏まえていれば、細かいアレンジや補足は大歓迎なので、この調子で進めていただきたいものです。
 もっとも、個人的にはもっとスピードアップしてもよいとは思いますが……

 ちなみに今回までが『兄妹の絆』で劇場公開された部分。この先、作品のクオリティがどうなるか、少々気になるところではあります。


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