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2019.06.12

『どろろ』 第二十二話「縫の巻」

 囚われたどろろを逃がし、自分も百鬼丸に会うために館を抜け出した縫の方。その百鬼丸は、己の身体とどろろを求めるあまり、鬼神と化したミドロ号と一体化して、醍醐の兵を手に掛けながら突き進む。一方、余命幾ばくもない中、自分の身を地獄堂の鬼神に捧げようとするも拒まれる陸奥。しかし……

 いよいよ醍醐と朝倉の間で戦いが始まろうとする中、醍醐に向かう寿海。しかしその彼も、目の前を行く一団が、百鬼丸と共に在ったどろろを捕まえて帰る途中であるとは思いもよりません。そして醍醐の館で牢に閉じこめられたどろろですが――彼女を助けたのは、なんと百鬼丸の母・縫であります。
 どろろを逃がすという縫ですが、彼女のばんもんでの言動をしっかり覚えていたどろろは不満タラタラ。しかしお母ちゃんに滅茶苦茶弱いどろろは、文字通り縫に抱き込まれ、結局彼女とともに行動することになります。

 その縫も初めはどろろを抜け穴から逃がすだけのつもりだったのですが、しかし百鬼丸と行動を共にしてきた彼女と一緒にいるうち、自分も百鬼丸に会いたくなって出奔。二人で小舟で川を下るのですが――しかし急流に捕まって、川に投げ出されるのでした。
 と、どろろが目覚めてみれば、そこにいたのはミドロ号の子供と、相変わらずタイミングの良い琵琶丸。戦や病で住むところを奪われたり、傷を負った人々が寄り集まった集落に、どろろは救われたのであります。そして同様に救われた縫は、自ら人々の助けになろうと働くのですが――意外と醍醐の所業に理解のある人々は、彼女の正体が半ば公然の秘密となっても受け入れているようです(これでは原作の一揆エンドはないか……?)

 さて、そんな中で醍醐の兵がおかしな動きをしていることを知るどろろたち。どうやら向かってくる何者かと戦い、そして敵わず浮き足立っているようですが――さては百鬼丸かと思えば、彼だけではなかったのであります。百鬼丸がまたがるのは、前回可愛い子供から引き離された上、無惨に特攻兵器に使われて爆死し、燃えるたてがみを持つ姿で甦ったミドロ号。まさか百鬼丸が鬼神(とは明言されていないのですが)と行動を共にするとは――と思いつつも、しかし百鬼丸もミドロ号も、醍醐に大切なものを奪われたという点は共通なのです。
 ……が、何の罪もない、醍醐の側にいるというだけの兵を叩き斬り、蹄にかけ、そして火だるまにするというのはいくら何でもやりすぎであります。もはや二匹、いや一体の鬼神と化した百鬼丸とミドロ号は、あの密偵もあっさりと消し炭にすると、ひたすら醍醐領に向かって突き進むのでした。

 さて、その百鬼丸を前回三人がかりで襲いながらも、顔に再び深手を負った多宝丸と、それぞれ片腕を失った陸奥と兵庫。しかも陸奥は疾病を発症し、体中には赤い腫れものが浮かび上がる状態であります。しかしそんな中でも、ある一念から必死に体を動かし、療養中の館から姿を消す陸奥。「姉上がいなくなった!」と驚く兵庫とともに、その行方を探す多宝丸ですが――姉上!?(完全に声の高い青年という設定だと思いこんでおりました)
 その陸奥が向かった先は、あの地獄堂――最後の鬼神が地獄堂に潜むことを知る陸奥は、醍醐を、多宝丸を守るために、自らの身を鬼神の生贄として捧げようとしていたのであります。そして駆けつけた多宝丸と兵庫の前で、鬼神に訴えかける陸奥ですが――彼女は残酷な真実を知ることになります。鬼神が生贄として受け取るのは、あくまでも醍醐の跡継ぎの身体のみ、と。しかし、あくまでも受け取るのはであって、与えるのは……

 そして四度、百鬼丸の前に立ち塞がる多宝丸、そして陸奥と兵庫。しかし陸奥と兵庫には、失われたはずの腕があるではありませんか。そして多宝丸の潰れた目が、そして新たな傷が口を開け、そこから現れたのは二つの目玉――そう、奪われた百鬼丸の身体のうち、いまだ戻ってきていない両腕、そして目は、最後の鬼神によって多宝丸たちに与えられたのです。
 奪われた身体が自分の敵に与えられたことに怒り狂い、襲いかかる百鬼丸ですが……


 残すところついに3回となったところで、寿海までもが醍醐に現れ、ついに百鬼丸に関わる全ての人間が集まった感がある今回。しかし物語の方は予想をはるかに超えた地獄絵図が繰り広げられることとなります。
 ミドロ号に乗る百鬼丸という、ある意味夢のコラボに驚く間もなく、ついに身も心も鬼神と化し、己の行く手に立つ者全てを血祭りに上げる百鬼丸。そして彼の前に立つ多宝丸は、醍醐を守るためとはいえ、その百鬼丸の身体を奪って異形と化すのですから。

 実は多宝丸が片目を失いながら生存した時点で彼が鬼神の力を得ることは予想していたのですが――しかしこの形で、このタイミングで描くとは。もはや希望は百鬼丸のもとに急ぐ縫の方のみですが――しかしそれとて、新たな惨劇の予感しかしないのです。嗚呼!


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