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2019.06.19

『どろろ』 第二十三話「鬼神の巻」

 鬼神から百鬼丸の両眼と両腕を与えられた多宝丸・陸奥・兵庫と対峙する百鬼丸とミドロ号。駆けつけたどろろと縫、琵琶丸たちが見守る中で繰り広げられる死闘の中、ミドロ号と陸奥・兵庫が相討ちとなり、百鬼丸に両腕が戻ってくる。なおも激しく激突する兄弟の戦いは、終わることなく続き……

 災いの子である百鬼丸を倒し、その身を鬼神に捧げることで醍醐領に安寧を取り戻そうと、喪った体を補うようにその百鬼丸の体を十二番目の鬼神から与えられた多宝丸と陸奥・兵庫。対するは百鬼丸と妖怪(鬼神ではない模様)と化したミドロ号――もはや言葉は不要、ただ相手の命を奪うのみとなった両者は、駆けつけたどろろと縫、琵琶丸、そして前回から登場の村の若者三人組が固唾を呑んで見守る中、ぶつかりあいます。
 百鬼丸と多宝丸が激しく切り結ぶ一方で、ミドロ号の動きを封じるべく立ち塞がる陸奥と兵庫――と思ったら、次に場面が変わった時にはミドロ号に踏み潰されている兵庫。しかしそこにミドロ号の子供が現れ、気を逸らしたミドロ号に対して兵庫の、陸奥の刀が突き刺さります。しかし怒ったミドロ号に兵庫は首を引っこ抜かれ、そして陸奥も後ろ脚で蹴り飛ばされ――と、それでも鬼神の力か動き出した兵庫の体は再びミドロ号に一撃! 同時に陸奥も深々と刃を突き刺します。しかし二人の生命力もそこで燃え尽き、そしてミドロ号もついに息絶えるのでした。

 と、百鬼丸自身の手ではなくとも、百鬼丸の体の一部を奪った陸奥と兵庫が命を落とした結果、ついに戻ってきた百鬼丸の両腕。百鬼丸は襲ってきた多宝丸の攻撃を受け止めるため、自分の義肢に刺さっていた刀を素手で掴んだものだから手を血塗れにしつつも、なおも残る多宝丸を討とうとするのですが――そんな彼の前に立ったのは縫の方であります。はたして母の前で血塗れの両手を恥じたのか、はたまた取り戻したばかりの両腕を奪われまいとしたのか、両手と刀を背に回して隠した百鬼丸は、その場から走り去り、多宝丸も後を追って姿を消すのでした。

 その場に取り残され、息絶えた者たちを弔う中、百鬼丸と国を秤にかけるようなことを言い出す青年団に素晴らしい跳躍で殴りかかるどろろ。しかし縫の方は青年たちの発言を肯定しますが――しかし彼女は続けます。何者かに頼って築く平安は脆いと。この平安は百鬼丸ただ一人の犠牲で得られたものを享受していただけであって、自分たちの努力で得ていないものは、守ることもできないのだと……
 ここでどろろの脳裏によぎるのは、これまでの人生で、そして百鬼丸との旅の中で出会い、別れた人々――武士や戦に様々なものを奪われ、それでいて自分たちの力では何も出来なかった人々のこと。守りたいものがあるのなら、自分自身が力を得て強くならなければならないと気付いたどろろは、強すぎることの危険性を語る琵琶丸の言葉にも、大事なのは心の持ちようだと、決然とした眼差しでもって力強く返すのでした。

 そして景光自ら出陣する中、城に残った者たちの前にその異形の姿を現し、百鬼丸がやってくる前に去れと促す多宝丸。城から皆が去り、ただ一人残った多宝丸の前に、百鬼丸が現れます。そして自分たちだけの城の中で、幾たび目かの一騎打ちを始める二人。激しい激突の中で灯火が倒れ、辺りが炎に包まれる中、なおも二人の戦いは続いて……


 かなりの部分を使って、ひたすらバトルが繰り広げられるという、ある意味ラスト前に相応しい今回。全般的に作画は低調でしたがその分アクションに全振りしたかのように、縦横無尽に切り結ぶ百鬼丸と多宝丸の戦いは、まさしく触れれば斬れそうなほどの凄まじい迫力がありました。
(自らの腕を取り戻した百鬼丸が、手で刀を持つことで間合いを伸ばしながらも、しかしそのために屋内の戦いではそれが災いして長押に刀を引っかける場面も面白い)

 しかし気になるのはもちろんこの先の物語。どう転んでも誰かにとっては悲劇しか待っていない状況の中、どのようにこの物語は結末を迎えるのか。今回一気に成長した感のあるどろろは、朧気に向かう先を掴んだようですが、しかしその傍らにはやはり百鬼丸がいてほしい――それはどろろのみならず皆の願いでしょう。
 城が炎に包まる中、何か心に期するところがあったらしい表情を見せる寿海。果たして彼の存在が、どろろが、縫が何かを生み出すのか――ただ観ているしかないこちらとしては、縋れるものには何でも縋りたい気分であります。


 しかしミドロ号、最初の死に続いて、二度目の死も何だか雑な扱いでした。ここまで頑張ってきた陸奥と兵庫も。


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