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2019.07.17

「コミック乱ツインズ」2019年8月号(その二)


 「コミック乱ツインズ」誌、2019年8月号の紹介の後編であります。

『武蔵の理』(柴田真秋&永井義男(協力))
 幕末の佐賀藩で、次々と強者に挑戦しては破っていく二刀鉄人流の剣士・牟田文之助。しかし流祖である宮本武蔵の五輪書を重んじる父からはその派手な剣を厳しく咎められ、文之助は不満と悩みを抱えていたのでした。
 そんな中、彼の前に現れた幼馴染みの直心影流の剣士・誠士郎。全国武者修行の権利を賭けて誠士郎と立ち会う文之助ですが……

 非常にインパクトの強い流派名ですが、その「二刀」が示すとおり、宮本武蔵の弟子が創始したと言われる二刀鉄人流。本作の主人公・文之助は、その皆伝者であり、幕末の佐賀にその人ありと知られた実在の剣士であります。
 その青年時代を描く本作では、派手な技に流れまくって、二刀鉄人流の道理=武蔵の理を理解しない文之助が登場するのですが――ライバルに完膚なきまでに敗れて、そこで初めて、というのはお約束ながらやはり盛り上がるところであります。

 ただ、本作で文之助が目覚める場面が、いわゆる「覚醒」的で説得力に欠けるのと、使う技も二刀鉄人流という本作ならではの流派を踏まえたものとして感じられるかというとちょっと苦しいところであります。題材は非常に面白いだけに、少々勿体なく感じたのが正直なところです。


『カムヤライド』(久正人)
 難波での戦いで出会ったオトタチバナに不審者扱いされた末にのされ、連行されてしまった主人公二人は置いておいて、今回は、彼らの敵であり、国津神を各地で目覚めさせてきた謎の男・ウズメを中心に描かれることになります。
 たった一人でモンコ=カムヤライドとヤマトタケルを手玉に取ってみせた怪物・ウズメ。しかしそのウズメには何と仲間が、それも四人も!? という衝撃の事実が、今回明かされることになるのですが――その面子が、また実に作者らしいビジュアルと言動の奇っ怪な連中揃いであります。

 ウズメ一人でも大変なところに、一気に同格が四人も増えてどうなるのか――と心配になりますが、しかし彼らにも弱味と悩みがある様子。それは――と、いうのも大いに気になりますが、モンコたちの運命も気になるところ。そろそろまた格好良い活躍を見せていただきたいものです。


『政宗さまと景綱くん』(重野なおき)
 芦名氏との戦いに劇的な勝利を収め、奥羽の覇者となった政宗。しかしそれが関白・豊臣秀吉の逆鱗に触れてしまい、政宗は北条家を巻き込みつつ、状況を打開すべく動くことになります。しかし北条家と真田家の激突が、その思惑を狂わせ、そして伊達家の中でもある動きが……

 という史実どおりの、そして非常に緊迫した状況を、四コマ漫画でギャグを絡めつつ描いてみせるのに相変わらず驚かされる本作。
 今回は前半部分に「その後の」秀吉が出ずっぱりで、シリアスなのに妙におかしい――というのはさておき、そりゃあ第二の○○○を期待したくなるだろうなあ、と伊達家に同情させられるというものです。

 ちなみに先月号ラストの四コマに冠されたタイトルは「終章の幕開け」。政宗にとって「最大の危機にして最悪の事件」の存在がここで予告されるのですが――間違いなくそれが指すのはあの出来事だとは思うものの、それが本作のラストとなるのか? それはそれでキリは良いとは思いますが――とこれは先のことを気にしすぎですね。


 来月号はやまさき拓味『用心棒稼業』が巻頭カラー&最終回とのこと。これまで様々な剣戟シーンを楽しませていただいただけに残念ですが、最後まで見届けたいと思います。


「コミック乱ツインズ」2019年8月号(リイド社) Amazon
コミック乱ツインズ 2019年8月号 [雑誌]


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