賀来ゆうじ『地獄楽』第7巻 決戦開始、前門の天仙・後門の追加組!
本書とは同日に小説版が刊行されるなど、いよいよ注目度が高まる『地獄楽』。天仙と怪物たちが潜む恐怖の島の戦いもクライマックスとなり、島からの脱出を賭けて死罪人と浅ェ門たちの連合チームが最後の戦いに挑むことになります。しかしそこに全てを滅ぼしかねない追加組が迫ることに……
不老不死の仙薬を守るという七人のてんせん(天仙)様のうち辛くも一人を倒し、また氣(タオ)の使い方で暴走した画眉丸も己を取り戻して、一時の平穏を得た画眉丸と佐切たち。
それぞれの思惑はあるものの、仙薬を得てこの島を出るという目的の下にまとまった総勢九人は、これまでに得た情報を総合して、ついに最終的な目的地を知るのでした。
それこそはこの島の中枢・蓬莱――残る六人のてんせん様と、謎多き宗師・徐福が潜むこの地に、仙薬と島からの脱出口があることを知った一堂は、蓬莱を目指すことになります。
もちろんそこに待つのは今なお自分たちを遙かに上回る力を持つてんせん様であり、見つかって戦いになれば無事で済むはずもありません。それでもなお虎穴に入らずんば――の喩え通り、二手に分かれて蓬莱に潜入する画眉丸たち。しかしそれはてんせん様たちの思惑どおりだったのであります。
一方、追加組として派遣された四人の浅ェ門と石隠れ衆たちがついに島に上陸。
そこでこれまでに犠牲になった浅ェ門たちのことを知った浅ェ門殊現――一同を率いる若き最強の剣士の、危険性と異常性がついに露わになることに……
というわけで、これまで毎回巻末の男だった浅ェ門殊現がついに本格的に動き出したこの第7巻。これまで幕府のお偉方をも怖れさせる「例の事件」の存在など、一見真面目なようでいて実は相当危ない奴、という印象が先行していましたが、ついにその正体が明らかになることになります。
これまで登場した浅ェ門の面々は、剣呑なところはありながらも、その素顔はごく普通の若者らしさ、人間らしさがあり、それがこの殺伐とした物語の中でホッとさせる要素だったのですが――彼の場合は、そういう部分を持ちつつも、闇というか病みの部分が圧倒的に大きいキャラクター。
おそらくは浅ェ門でも最強の男であり、味方になれば最も頼もしいはずが――悪・即・斬どころか、悪の回りの人間も皆斬という彼の存在は、脱出のために一丸となった画眉丸や佐切たちにとって、むしろ恐るべき敵と言うべき存在であります。
とはいえ、画眉丸たちの目下の強敵はもちろんてんせん様。彼らを避けることを念頭に侵入計画を立てたものの――それが上手くいくはずがないのは、(身も蓋もないことを言ってしまえば)読者の誰もが予想するところでしょう。
しかし潜入計画が失敗に終わった時の画眉丸の作戦は、もうそうこなくては! と言いたくなるようなものであり――これまでこの作品を読んできた者であれば、誰もが声援と喝采を送る選択であります。
しかしもちろん、その先にあるのは絶望的なまでの戦いの連続であることは間違いありません。
後ろからは追加組という狼が迫る中、てんせん様という恐るべき虎たちを前に画眉丸たちは生き残ることができるのか? さらにこの戦いの行方が、そのまま世界の命運に繋がっていると思うと、もうここから先の物語からは全く目が離せないのです。
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