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2020.01.29

忠見周『竜侍』第2巻 竜侍、時間と空間を飛び越えて人の悩みを吹っ飛ばす!?


 どこから来てどこへ行くのか誰も知らない謎の怪人(?)竜侍の活躍を描く連作シリーズの第2巻であります。今日も今日とて悪の前に泣く人を――いや、団子を求めて彷徨う竜侍の姿は、何と江戸時代だけではなく、様々な時代に現れて……

 各地で噂が流れる謎の剣士・紅蓮の竜。長い一本差しと真紅の襟巻を目印に、破落戸や剣士、忍者が束になっても敵わないほどの途方もない強さを持つ彼の正体は――

 竜。二本足で歩く竜。着物を着て刀を差して、尻尾の長い竜。もう本当に見たまんまの竜侍だったのです。
 口から出すのは獣めいた吼え声のみ、果たして周囲と意思疎通が出来ているのか怪しすぎるところですが――好物の団子のため、今日も今日とて竜侍は、困っている人々を偶然助けては、何処かへ去っていくのであります。

 そんな基本設定の本作は、これまでは江戸時代を舞台に描かれてきた作品でありました。しかしこの巻では冒頭から平安時代――平安時代!?
 さる姫君を巡り、貴族たちの間で繰り広げられることとなった競べ馬で、代理の乗尻(騎手)となった東国出身の武人を主人公にしたこのエピソード、悪辣な貴族の企みで乗る馬を亡くした武人が――という内容で、ある意味インパクト勝負の本作の中でも、屈指の衝撃映像が序盤に待ち構えている物語であります。

 その後も江戸時代を舞台としたエピソードもあるものの、明治初期を舞台としたもの、平成を舞台としたものと時代が一気に近づいたと思いきや、その次はいきなり本作でも最古の時代である古代に飛んで――ともう時間と空間を飛び越えた大暴れであります。
(それでいて、ラストに収録された書き下ろしでは、原点(?)とも言うべき江戸時代を舞台とした一種の人情ものになっているのも心憎い)

 身も蓋もないことを言ってしまえば、インパクト勝負を比較的似たような舞台で続けるのは難しいのは道理で、ある意味必然の展開であるかもしれませんが――しかし「侍」という先入観があったところにこの展開には、やられた! というしかありません。


 とはいえ、基本的に善男善女が苦しめられる展開のため、読んでいてストレスが溜まる部分があるのは否めないのですが――これはまあ、物語のスタイル上仕方ないことと言うほかないのでしょう。
 ひたすらシリアスな人間の悩みを、あっさりと吹き飛ばしていくのが竜侍の魅力なのですから……
(ただ、あまりシリアスに見えない上に必然性があまりないセクハラも加わる平成編はちょっとどうかとは思うのですが)


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