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2020.03.28

『無限の住人-IMMORTAL-』 二十四幕「無限の住人」

 突如襲った銃弾の嵐に倒れる槇絵と燎。それぞれ残された天津と吐鉤群は最後の死闘を繰り広げる。そして残った天津と万次が激突し、最後に残ったのは万次だった。右腕を失いながら生き延び、海の向こうに旅立とうとする天津。そこに現れた凜は……

 最終回らしく、オープニング映像抜きでいきなり本編からスタートする今回。前回ラストに、生き残った者たちを襲った銃弾を放った「懸巣」のメンバーたちと尾羽打ち枯れた態の英の会話より後は、10分近く台詞なしで物語は展開していくことになります。
 そこで繰り広げられるのは、天津と吐――愛する槇絵を失った(といっても槇絵はもの凄いパワーで「懸巣」と幕府の侍たちを皆殺しにしているのですが)天津と、己の血を残す最後の便だった燎を失った吐の激突。もはや勝っても何も得られるものもなく、いや失うものすらない二人の激突は、紙一重の差で天津が勝利し、ついに吐は盛大に血を噴いて倒れるのでした。

 しかしまだそれでも戦いは終わりません。天津の前に現れたのは、前回から引き続き、荒篠の左腕を右腕に装着し、吐の羽織を素肌にまとったという、最終決戦モードにしては異形すぎる万次。どちらも満身創痍ながら、その状態ではやはり万次の方が有利であったか――万次が天津の右腕を奪い、ここに全ての戦いは終わりを告げることになります。
 と、ここまでが無音。唐突な演出という気がしないでもありませんが、これはこれで引き込まれるものがあったのは、確かであります。

 それはさておき、何とか命を拾いながら、ただ一人海の向こうに渡って子孫を増やし、再び脅威となって帰ってくると何処まで本気なのか語る天津。万次はそれを見逃すのですが――そこに駆け寄ったのは凜の手に握られた刃は天津の身を深々と抉り、ついに天津は息絶えることになります。
 これまで様々な戦いを経ながらも、万次や他の者に助けられ、自分自身の手を他人の血で汚すことはなかった凜(自分自身の血ではけっこう汚しましたが)。その彼女が最後の最後に、ついに人を殺めたことになりますが――しかしそれは単なる仇討ちのためでなかったことを、凜は後に語ります。

 その理由とは恨みの連鎖を子孫にまで残さないため――すなわち、自分たちの代で終わらせるため。
 思えばこの争いの根源は、天津の祖父が凜の曾祖父に対して抱いた逆恨みに近い怨念であり、それが孫の影久に受け継がれて逸刀流の浅野道場襲撃に繋り、そしてそれに対して万次が凜の用心棒となって――と、復讐の連鎖となったことを思えば、凜の想いは理解できるものがあります。


 しかし、それでは一度血に塗れた手同士は、繋ぎ合わされることはないのか――それは生き残った者たちのその後を描いたエピローグの、そのまた先で描かれることになります。

 時は流れに流れ、いきなり明治――汽車が走り、刀を持つことが禁じられた文明開化の時代、万次は八百比丘尼に呼び止められ、布由という少女を託されることになります。曾祖母から代々託されているという、見覚えのある短剣を手にした少女を……
 そしてその少女に差し出された万次の手は、小指を失った右手――そう、天津の右手。変則的な形ではありますが、ここに浅野家の血を引く者と、天津家は、手を取り合ったのであります。

 かつて天津が願ったように、無限の時を生き、そこで出会った人々の生を見つめる者によって……


 というわけで、ついに完結した本作。全30巻の原作を、全24話で完全アニメ化すると聞いた時にはさすがに驚きましたが、途中、加賀編や不死力解明編のかなりをはじめ、諸処で省略――個人的にはそのほとんどは納得がいくものでしたが――はあるものの、しかしまずは原作をそれなりのクオリティで一通りアニメ化してみせたのは大きな成果でしょう。
 もっとも、時々理由がわからないようなアレンジや、食い足りない部分はあります。今回も、万次と別れた後の凜の涙――文字通り、凜とした態度を見せていた彼女が、みっともないくらいに顔を歪め、身も世もないように泣き崩れる場面など、演じる佐倉綾音の気合いの入った演技をもっとしっかりと聴かせて欲しかったものですが……

 それにしても――これは失礼な言い方になりますが――全編を通してそれなりの形になるように物語の進行を整えられながらも、やはりどこか歪みを感じさせるような格好となっているのは、それはそれで『無限の住人』という作品らしいと思わなくもありません。
 何はともあれ、大団円であります。


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 無限の住人

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