伊藤勢『瀧夜叉姫 陰陽師絵草子』連載開始 原作を踏まえた、そして作者自身の物語の始まり
昨日ドラマ版をご紹介した『陰陽師 瀧夜叉姫』ですが、記事中でも言及したように、新たな漫画版がComicWalker" target="_blank">web連載でスタートしました。作画担当は『荒野に獣慟哭す』『闇狩り師 キマイラ天龍変』とこれまで二度、夢枕獏原作作品を担当してきた伊藤勢――文句なしの人選であります。
首なしで五体バラバラの肉体を掲げ、夜の京を謡い囃しながら往く百鬼夜行。それに行き当たった賀茂忠行と息子の保憲、そして弟子の信太丸(後の安倍晴明)は、いち早く気付いた信太丸の知らせと、忠行の術によって、辛うじて難を逃れるのでした。
そしてもう一人、謎の小汚らしい老人が、生きてるかのように動く右腕を拾って……
という、原作の冒頭部分を忠実に、しかし作者一流の迫力溢れる絵柄で(そして大和弁で)描いてみせる連載第一回の冒頭部。
そしてそれ以降も、物語は原作に忠実に、しかし強烈に本作独自のカラーで以て、描かれることになります。
その中でも何と言っても印象的なのは、晴明のキャラクターと博雅との関係性でしょう。尖り耳でシャープな印象の晴明と、どこか茫洋とした人の良さを感じさせる博雅と――ビジュアル的にはイメージ通りの二人ですが、原作の過剰な仲の良さはどこへやら、博雅のボケに容赦なく毒舌でツッコミを入れる晴明の姿は、ある意味強烈なインパクトがあります。
(これはこれで仲が良い、と言えなくもありませんが……)
そして二人がいつものように(?)呑んでいるところに現れたのは、金烏玉兎の紋も印象的な賀茂保憲なのですが、そのビジュアルは長髪無精髭に煙管――あなたが今回の胡散臭いおっちゃん枠か! と作者のファンであればツッコミを入れたくなってしまうこと間違いなしであります。
まあこの保憲のキャラクターはさておき、晴明のキャラクターを見るに、本作は原作の単純な漫画化ではないことが想像できます。
物語そのものは原作を踏まえていても、そこで描かれるものはあくまでも作(画)者自身の物語――そんな物語が、これから描かれようとしているのでしょう。
だとすればそれはもちろん大歓迎。これは別の原作者ではありますが、作者の前作に当たる『天竺熱風録』を読んでいれば、そう感じずにはいられないのであります。
ちなみに――作者には賀茂保憲を主人公としたオリジナル連作『陰陽頭 賀茂保憲』がありますが、こちらは美形の保憲と可哀想な晴明が活躍するスラップスティック伝奇と、本作とは全く異なる作品。
それでもこちらを読んでいると、晴明も逞しくなって、などと感じてしまって――というのは完全に蛇足ですが……
『瀧夜叉姫 陰陽師絵草子』(伊藤勢&夢枕獏 ComicWalker連載)
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