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2020.04.27

陶延リュウ『無限の住人 幕末ノ章』第2巻 勢揃い新選組! そして池田屋へ

 アニメも無事完結した『無限の住人』ですが、こちらの公式スピンオフはここからが本格始動という印象。幕末の京を舞台に、万次が新選組と激突する『幕末ノ章』第2巻であります。万次を巡る様々な思惑が交錯する中、舞台は池田屋に……

 逸刀流との戦いから数十年――アメリカに漂流して帰ってきてから土佐に隠棲していた万次。そこにやってきた坂本龍馬に連れられ、京に向かった彼はそこで出会った新選組と早速事を構えたり、武市半平太と龍馬の軋轢に巻き込まれたりと早速騒々しい日々を送ることになります。
 しかしその新選組が、死んだはずの山南敬助を中心に異形の使い手を集めた「逸番隊」を結成。半平太を捕らえただけでなく、万次の不死身の肉体を狙って動き出すことになります。

 そしてその一番手、犬を操る奇怪な犬面の剣士・喜多見が万次の前に立ち塞がることに……


 と、万次の肉体を狙う逸番隊との戦いと、維新浪士たちと新選組の戦いが平行して描かれるこの巻。
 もっとも、実は逸番隊との戦いは喜多見戦くらいで、正直なところまだまだ戦力不足の印象は否めません(もっとも、思わぬ大型新人が参加することになるのですが……)。

 とはいえ、逸番隊の背後にいる人物――あの綾目歩蘭人の曾孫である綾目歩蘭なる少女が、この巻では本格始動。というかいきなり暴走。歩蘭人とはまた異なる(歩蘭人にこれやられても困りますが)手段で血仙蟲を求める手段を熱く語る姿には、強烈なインパクトがあります。


 が、この巻でそれ以上にインパクトを与えてくれるのは、ついに勢揃いした新選組オールスターの顔ぶれでしょう。
 これまで登場した近藤・土方・沖田だけでなく、原田・永倉・斎藤・藤堂・源さんが見開きで一堂に会する姿は、いかにも何かの組織の幹部めいた(組織の幹部です)姿で、これが実に格好良いのです。

 その姿やキャラクターも、お馴染みのイメージを踏襲しつつも、いかにも「むげにん」的なアレンジとなっているのが嬉しいところで、新選組好きとしては彼らの活躍を早くみたい――と一瞬何の漫画か忘れて思ってしまったところで、池田屋事件に雪崩れ込むのが実に盛り上がります。
(ちなみに本作では御所焼き打ちは半平太が白状しているのに、歴史と辻褄を合わせるために拷問される古高俊太郎が可哀想すぎる)

 一方、万次の方はといえば、一旦江戸に行くことになった龍馬に頼まれて桂小五郎のボディーガードになった――ちなみに実は吉田松陰とも知人だった万次――ことがきっかけで、「その時」に居合わせることになります。

 これは本作の特徴というか、この時代の万次は随分分別くさい――というより政治的なものに距離を置く性格のためか、維新浪士たちには比較的冷淡。ここでも積極的に戦うことなく、桂を逃がすことを優先する万次ですが――しかしそう簡単に脱出できるはずがありません。

 この巻は、新選組最強のあの剣士が万次の前に出現、いよいよ色々な意味で万次の本領発揮か――? という展開で引きということになりますが、ほとんど逸刀流剣士のような存在感の宮部鼎蔵も気になるところで、次巻ではさらに派手な剣戟を見ることができそうです。


『無限の住人 幕末ノ章』第2巻(陶延リュウ&滝川廉治&沙村広明 講談社アフタヌーンコミックス) Amazon

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