「怪奇時代劇傑作選 妖の乱」「続・妖の乱」 再録ながら油断できない怪奇・伝奇時代漫画アンソロジー
コンビニコミックは再録中心といえど、そのチョイスの面白さや、単行本未収録作品の収録など、要チェックのものも少なくありません。この夏二月連続刊行された本書もその一つ――「民話ファンタジー、伝奇ホラー、退魔アクション…豪華作家陣による「妖」の競演」と銘打たれた怪奇時代劇傑作選です。
リイド社が刊行している(刊行していた)時代コミック誌「コミック乱」「コミック乱ツインズ」「戦国武将列伝」の三誌から、上記のとおり怪奇・伝奇性の強い作品を採録した本書。正続の収録作品は以下のとおりであります。
「妖の乱」
『ゲゲゲの鬼太郎』(水木プロダクション)
『怨ノ介 Fの佩刀人』(玉井雪雄)5話
『江戸奇談』(幻影堂)3話
『鬼切丸伝』(楠桂)2話
『寝小魔夜伽草子』(的場健)3話
「続・妖の乱』
『寝小魔夜伽草子』(的場健)3話
『江戸奇談』(幻影堂)4話
『鬼切丸伝』(楠桂)3話
『怨ノ介 Fの佩刀人』(玉井雪雄)6話
収録作品のうち、『怨ノ介 Fの佩刀人』は単行本全2巻分をそれぞれ収録、『寝小魔夜伽草子』は単行本1巻分を分割、『鬼切丸伝』(今回収録はいずれも「戦国武将列伝」掲載分)も単行本収録済み――というわけで、本書のみに収録(再録)ということであれば、『ゲゲゲの鬼太郎』と『江戸奇談』が本書の目玉ということになるでしょうか。
うち、江戸時代を舞台に鬼太郎たちお馴染みの面々が活躍する『ゲゲゲの鬼太郎』は以前ご紹介したのでそちらをご覧いただくとして、恥ずかしながら私も初見だったのが『江戸奇談』。
「コミック乱」に2013年から不定期掲載された本作は、1話8ページのショートコミックで、タイトル通りに江戸時代を舞台にした奇談――というより実話風怪談ものであります。
登場人物はいずれも2.5頭身と漫画としてデフォルメされた絵柄ながら、その人々が繰り広げるのは、理不尽かつ壮絶な怪異譚。
その絵柄と短いページ数を効果的に使い、緩やかに始まった物語が急激に奈落の底に向かい、ギョッとさせるような画を提示して終わる――必ずしも全てがこのパターンではありませんが――物語は実に強烈で、後を引くインパクトがあります。
(こういう表現は滅多に使わないのですが、平山夢明の『大江戸怪談どたんばたん(土壇場譚)』に極めて近い手触りの作品であります)
その他、『鬼切丸伝』は言うに及ばず、作者ならではの黒と白のコントラストと気っ風のいいヒロインの活躍が魅力の『寝小魔夜伽草子』、全てを失った男が仇敵を求めて刀剣女子とともに魔剣狩りに挑む『怨ノ介 Fの佩刀人』など名品揃い。
(『寝小魔夜伽草子』第二部を収録して欲しかった――というのは厭なマニアの戯言だとしても)
残念ながら現在「妖の乱」の方は手に入れにくくなっていますが、未読の方で機会があれば、ぜひ手に取っていただきたい一冊、いや二冊であります。
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