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2021.03.26

久正人『カムヤライド』第4巻・第5巻 猛襲天津神! そしてヒーローの原点と新たなる力

 神話と歴史の境目の時代を舞台に繰り広げられる日本最古の変身ヒーローアクション漫画の第4巻・第5巻のご紹介であります。ついに姿を現した真の敵・天津神をヤマトで迎え撃つモンコ・ヤマトタケル・オトタチバナの戦いの行方は。カムヤライド誕生の刻とは、そしてカムヤライドの新たな力とは……

 各地で国津神との戦いを繰り広げた末、ヤマトを訪れることとなったモンコとヤマトタケル。しかしモンコがかつて王命で処刑されたノミの宿禰と瓜二つであったことから、彼はヤマトの兵に追われることになります。
 さらにその混乱の中、モンコたちを探してやってきた天津神――国津神を生み出してきたウズメの仲間であるイシコリドメとコヤネがヤマトに現れ、無差別殺戮を開始して……

 と、第4巻で描かれるのは、この波乱含みどころではない大乱戦となったヤマトでの戦いの顛末。前巻ではカムヤライドとオトタチバナ・メタルの再戦が描かれましたが、やはりヒーローはヒーローとではなく、怪人とこそ戦って欲しいもの、ここでようやくそれが実現することになります。
 が、ここで登場する天津神(実は単行本を読むまで、ウズメたちを何と呼ぶべきか悩んでいたのですが、考えてみればこれ以外の名前はないですね)は、いわば幹部クラス。それが二人も登場するのですから、ただですむはずがありません。

 かくて繰り広げられる、カムヤライドvsコヤネ=アマツ・ノリットと、オトタチバナ・メタル&ヤマトタケルvsイシコリドメ=アマツ・ミラールの二元バトル。誰もがそれぞれの得意技を引っさげて激闘を繰り広げるのですが――その中で最も活躍したのは、ヤマトタケルでしょう。
 物語当初の非力な姿はどこへやら、凶暴なアマツ・ミラールを相手に一歩も引かぬ射撃戦を繰り広げたと思えば、オトタチバナがダウンした後、黒盾隊を率いて一転攻勢。そしてその果てに見せた姿は――と、見どころだらけのこの巻でも、一際輝く(そして意外性に富んだ)戦いを見せることになります。

 そしてその一方で、これまで快勝を続けてきたカムヤライドは大苦戦、守るべきものたちを前にしながら――と苦い思いを味わうことになります。この辺りはヒーローとしてあまりに辛い展開ですが、救いは守るための戦いを繰り広げる者同士、黒盾隊と心が通じ合ったことでしょうか……


 そして続く最新第5巻では、トレホの親方の助けで、辛くもヤマトの追手かられたモンコが、意外な人物と再会することになります。その名はノツチ――調合する薬で国津神すら撃退してみせる凄腕の薬師にして、モンコが師匠と呼ぶ人物であります。

 このノツチ、眼帯にグラマラスな肢体の初老の美女という、作者ならではの尖ったビジュアルがまず印象に残りますが、しかし何よりも強烈なのはそのキャラクター。
 敵はもちろん患者にも容赦なく、自分の求めるもののためであれば手段など選ばない――人を食った態度では右に出る者がいなかったモンコが、彼女の前では借りてきた猫のようになってしまうというのもむべなるかな、という危険人物なのであります。

 そして彼女の口から語られるモンコとの出会いは、そのまま、彼のミッシングリンクの一つに繋がることになります。
 かつてヤマトでハジの長として暮らしながらも、異形の鎧の力に魅せられた末、処刑されたノミの宿禰。彼がモンコと同一人物であるならば、彼は何故生きていて、そしてカムヤライドとして戦っているのか? その一端が、彼女とモンコの出会いを通じて語られるのです。

 そしてこの出会いは、そのまま次なる戦いとモンコの新たなる力に――そして彼の戦いの原点に繋がっていくこととなります。
 超音速で自在に宙を舞う国津神に、ノツチを攫われたモンコ。自分よりも遥かに早く動く相手に、それもいまだヤマトでの傷が癒えぬ状態で如何に戦うか? 苦しみの中でモンコが得た新たなる力とは……

 と、ここから先の展開は、これはもう是非とも実際の作品を見ていただくしかないインパクト。ここまでやるか、やっていいのか!? と、もう唖然とするしかない、しかしムチャクチャに格好良い超展開であります。
 しかしその中で同時に、モンコがカムヤライドとして――人を守るヒーローとして生まれ変わった、その理由が語られるのには、もう熱く拳を握りしめるしかないのであります。(そしてデレる師匠)


 かくして自分の原点を見つめ直し、新たな力を手にしたモンコ。彼の次なる戦いは、そして天津神の次なる手は――まだまだ謎は多く、全く展開が読めませんが、だからこそ先が楽しみでたまらなくなる、そんな物語であります。

『カムヤライド』(久正人 リイド社乱コミックス) 第4巻 Amazon/ 第5巻 Amazon


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