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2021.04.08

白石純『魍魎少女』第6巻 学校の幽霊殺し そして急転直下の決戦

 七つに裂かれた師匠の体を求める魍魎少女・林檎丸の戦いもいよいよ終盤。左目・左腕・背骨・足・右腕(は失われましたが……)と取り戻し、残すは首と心臓であります。しかし首が隠された女学校で起きた行方不明事件の調査に向かった林檎丸とチカの冒険は、意外な方向に向かって……

 数百年前にその道を違え、相争うこととなった二人の不死者・雪之丞と八房。その結果、七つに裂かれた雪之丞の体を求める林檎丸の旅は、大正にまで至ることになります。
 大陸からやってきた第三勢力・饕餮との戦いも休戦となった中、八房が敷地内に首を埋めた白菊女学園で起きる生徒の連続行方不明事件。それに雪之丞の首が関係している可能性が高いことから、林檎丸と八房に仕えるチカは、共に学生に身をやつして潜入するのですが……

 と、学園定番の七不思議の各所に現れる雪之丞の「首の無い」亡霊。学園の異変は雪之丞の首が原因とすれば、その首が生み出したと思しきこの亡霊を「殺して」いけば――と、チカはともかく林檎丸までこの奇妙な競争に乗り出し、この巻の前半では思わぬ戦いが学園各所で繰り広げられることになります。

 ここで描かれる、七不思議に即して登場する雪之丞との戦い(二人とも表面上は学生なので、登下校を挟んで何日間かに渡ったりする)も楽しいのですが、しかし何と言っても、面白いのは林檎丸の姿。
 チカに殺されるくらいならばと、亡霊とはいえ最愛の師匠を嬉々として手にかける彼女は、実に彼女らしい、そして本作らしい存在で、微笑ましさすら感じさせられる――というのは本作の毒にやられたかもしれませんが、正直な印象であります。


 しかしこの競争の決着した直後、思いもよらぬ展開に突入することになります。突如天空に現れた布の球ともつかぬ物体から無数に落ちてきたもの――それは、休戦したはずの饕餮の落とし子たちだったのです。
 そして饕餮を奉じる「飛龍楼」の当主であり、饕餮の「口」を持つルイによって呼び出されるあまりに巨大な饕餮の本体。かくて底無しの食欲を満たすため、不死者たちを狙う饕餮との決戦が、この巻の後半で繰り広げられることになるのであります。

 ここから展開するボスバトルは、雪之丞と林檎丸、八房とチカ、四人の規格外の存在がその能力をフルに発揮してなかなかに面白いのですが――しかし如何せん、いきなり始まったという印象が強すぎるのが残念なところではあります。
 ほとんど前フリなしに始まったため(以前の饕餮とのファーストコンタクト自体が前フリといえないこともないですが……)、これから始まる真の戦いの前に第三者を片付けておきたかった――という印象を受けてしまうのは、こちらがひねくれているからでしょうか。

 決着をつけるのが思わぬキャラクターであったのも、意外性と違和感が半々であったというか……


 何はともあれ、残る雪之丞の体は、チカの体に収められた心臓のみ。そして残るは雪之丞と八房――そして彼らに仕える林檎丸とチカのみ。
 次巻、第7巻で物語がいかなる結末を迎えるのか――ここまで来たからには見届けたいと思います。


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