『Thunderbolt Fantasy 東離劍遊紀3』 第6話「禍世螟蝗」
かつて仲間たちと禍世螟蝗に挑んだものの、全く力及ばなかった殤不患。その苦い経験から、殤不患は一人東離に去ったのだった。一方、凜雪鴉が加わったことにより、刑亥と溝を深める結果となった萬軍破。さらに西幽に戻った彼の前に、殤不患を追うために皇室の力を利用せんとする婁震戒が現れる……
いきなり殤不患・浪巫謠・睦天命vs禍世螟蝗というボスバトルが始まった今回の冒頭。もちろん過去の回想シーンでありますが、ここで描かれる禍世螟蝗が強いのなんのって、殤不患たちの攻撃が全く通じません。至近距離ではほとんどバリアというか不可視の壁で守られている上に、衣装の領巾様のパーツに剣を持たせて中・遠距離から襲いかかるというあまりにも攻防に隙のない強キャラであります(あまりに強すぎるので、それ自体が何らかの術の可能性も……)。
終始圧倒しながら、殤不患に魔剣目録を開けと挑発する禍世螟蝗ですが、殤不患はこれに乗らず――いや乗れず、結局、三人は終始圧倒された末に、睦天命は無惨にも目を斬られて失明、怒ゲージが振り切れた浪巫謠が超必殺技みたいなのを放っている間に、殤不患は彼女とともにその場を脱するしかなかったのであります。
そして自分が魔剣目録を持っていることで二人を危険に晒すことを怖れ、ただ一人西幽を離れ、東離にまで逃れることを選んだ殤不患。この魔剣目録の始末をつけるまでは、睦天命に合わせる顔がないというのは、これはこれで一個の好漢の考え方ではありますが、同時に単なる男の独りよがりとも言えるでしょう。そんな彼の考えとと、前回の睦天命の態度を見れば、二人の間の考え方の違いはあまりにも大きいと言うべきでしょうか……
と、いきなり深刻な展開でしたが、ここで場面はガラリと変わり、無界閣に戻ってきた萬軍破と異飄渺が、刑亥のもとに顔を出すのですが――さらにそこに顔を出したのは凜雪鴉。わざわざ自分の過去を知っている刑亥の前に顔を出すのも大概ですが、ぬけぬけと刑亥の過去の悪行を挙げて自分の正当性をアピール、返す刀で萬軍破を持ち上げる凜雪鴉の舌先三寸は今日も絶好調であります。
しかし刑亥が凜雪鴉を評して「他人の謀を邪魔して悦に入ることしか考えていない」「ただ悪党の悔しがる顔を見たいというだけの加虐趣味」というのはあまりに正論で、さすが被害者代表と感心してしまったのですが――それを受けて「邪知暴虐の徒を陥れ、辱めることにのみ執着するような気の触れた輩がいたとしましょう。そのような変質者の標的になり得ると思いますか?」とシレッと萬軍破に問いかける気が触れた変質者、あいや凜雪鴉は一枚も二枚も上手としかいいようがありません。
それに丸め込まれたかに見えた萬軍破ですが、しかし「あの殤不患に背を向けるような輩だ。さぞや卑劣な外道であろう」と当たっているような当たっていないような理屈で、心を許していないのはさすがというべきかもしれません。尤も、刑亥と凜雪鴉がちゃんと語っていたにもかかわらず、その目的を完璧に誤解しているのが、今後とんでもない悲劇を招くことは間違いありませんが……
さて、そんな動きとは全く関係なく、殤不患を探してうろついていた婁震戒は、西幽の兵士に職務質問されるもののこれを一蹴――と、そこで閃いた婁震戒は、彼らに案内させて王宮に向かいます。そこで嘲風を前に、自分には殤不患に遺恨があること、彼を追うために兵を貸して欲しいことを簡潔かつ明瞭に語るのですが――あまりに図々しいといえば図々しい。しかしヤンデレはヤンデレを知るというべきか、嘲風は快諾し、萬軍破に介添え役を命じるのでした。
ここで困ったのは萬軍破であります。前々回、婁震戒の乱入で殤不患を取り逃がしたのもさることながら、彼が禍世冥蝗の配下であることを婁震戒は知っているのですから。といっても婁震戒の関心は七殺天凌を取り戻すことのみで、何はともあれ、共通の敵である殤不患を倒すため、萬軍破と婁震戒は手を組むことに……
と、あまりに桁違いの実力を見せた禍世冥蝗の印象が、周囲に変質者と狂人しかいない萬軍破への同情で上塗りされてしまう今回。普通、強敵同士が手を結べば、これは主人公たちのピンチだ! という気持ちになるものですが、本作の場合はあまりに敵側がガタガタ過ぎて、むしろ安心感が湧いてくるのが面白いところであります。もっとも、安心感の原因は、獅子身中の虫となった凜雪鴉の存在によるところも大きいのですが……
とはいえ、殤不患側があまりにも劣勢であるのもまた事実で、何よりも刑亥の手にはあの七殺天凌があることを考えれば、この先予断を許しません(単に婁震戒を怒らせるだけという気もしますが……)。
何はともあれ、あっという間に折り返し地点の本作。この先も予想の及ばぬような展開が続きそうであります。
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