« 賀来ゆうじ『地獄楽』第13巻 大団円 地獄と極楽の島での戦いの先に | トップページ | 蝉谷めぐ実『化け者心中』 芸道に生きる人と鬼たちの境目にあるもの »

2021.05.06

賀来ゆうじ『地獄楽 解体新書』 最高のタイミングで発売されたファンブック

 昨日ご紹介したとおり、第13巻を以って大団円を迎えた『地獄楽』。その最終巻と同時発売となったファンブックであります。当然ながら最終話までの全ての内容をカバーした本書は、特別描き下ろし漫画や単行本未収録のエピソード等、本編を補完する情報満載の一冊であります。

 そんな本書の主な収録内容は以下の通り――
・カラーピンナップ(描き下ろし2点)
・主要人別帳(キャラクターガイド:死罪人・浅ェ門・天仙・石隠れ・その他でそれぞれ掲載)
・キャラクター人気番付(二度の人気投票結果)
・二大作家特別対談集(三浦建太郎、藤本タツキ(?2)との対談。ただし、藤本タツキとの最新の対談以外は、以前行われたものの掲載ページをQRコードで掲載)
・戦闘記 技の極意(各キャラの忍術・剣術紹介)
・解体新書 附録(初期設定画集、Twitter投稿画集、おたずね目安箱(質問コーナー) 等)
・特別描き下ろし漫画5篇(死罪人編・浅ェ門編・天仙編編・石隠れ編・特別編)
・単行本未収録漫画2篇(出張版読切)

 ご覧いただければわかるように、基本的にはファンブックでは定番の内容ですが――しかし内容の充実度はかなりのものであります。

 その中でも特に必見は特別描き下ろし漫画と、単行本未収録漫画でしょう。前者は最後の一本を除けば一つ2ページと、単行本のおまけ漫画的存在(内容的にもコミカルなテイストなこともあり……)ではありますが、幻の存在だった山田浅ェ門第六位・第七位がついに登場するなど、見逃せない内容。
 そして巻末に収録された全5ページの最後の一本では、ついに画眉丸の本名が――と、ある意味掉尾を飾るに相応しい内容と言えるでしょう。

 また、単行本未収録漫画は、週刊少年ジャンプに掲載されたそれぞれ30ページ強のエピソードを再録しています。出張版というだけあって、特に「壱ノ巻」は作品そのもの紹介的側面が強い一編。死罪人と浅ェ門たちを乗せた船が島にたどり着く前の船上での出来事を題材に、キャラクターと基本設定が紹介されることになります。
 一方「弐ノ巻」の方は、本編開始前の時間軸を舞台に、画眉丸を中心とした石隠れ衆の姿を描く、外伝的内容の作品。石隠れ衆の通常任務(?)というある意味貴重なものを描きつつ、妻との出会いから人間的な感情を取り戻し始めた画眉丸の姿を浮き彫りにする一編であります。

 このように、収録された漫画だけでも読み応え十分なのですが、このほかにも「主要人別帖」と「おたずね目安箱」は、語られざる情報の宝庫。特に殊現と十禾のある因縁などは、思わず言葉を失うような内容で、これが本編で描かれていれば、また印象もだいぶ異なっていたのでは――と思わされるほどであります。
 そしてまた、佐切や画眉丸たちの「その後」に繋がる情報も断片的ではあるものの描かれているのですが、そのテイストがまた、実に本作らしい。特に佐切のそれは、設定的にアレとナニすることになるのでは――と気になっていただけにある意味納得であります。


 と、まさにファンにとっては垂涎の内容である本書。唯一難点をいえば、かなりサイズ的に細かい絵(特にTwitter掲載画)や文章も多いため、電子書籍で読む時には大きめの画面が望ましいことくらいでしょうか(拡大すれば良いといえばそれまでですが)。
 何はともあれ、最高のタイミングで発売された最高の内容の一冊であることは間違いありません。


『地獄楽 解体新書』(賀来ゆうじ 集英社ジャンプコミックス) Amazon

関連記事
 賀来ゆうじ『地獄楽』第1巻 デスゲームの先にある表裏一体の生と死
 賀来ゆうじ『地獄楽』第2巻 地獄に立つ弱くて強い人間二人
 賀来ゆうじ『地獄楽』第3巻 明かされゆく島の秘密、そして真の敵!?
 賀来ゆうじ『地獄楽』第4巻 画眉丸の、人間たちの再起の時!
 賀来ゆうじ『地獄楽』第5巻 激突、天仙対人間 そして内なる不協和音と外なる異物と
 賀来ゆうじ『地獄楽』第6巻 怪物二人の死闘、そして新たなる来訪者
 賀来ゆうじ『地獄楽』第7巻 決戦開始、前門の天仙・後門の追加組!
 賀来ゆうじ『地獄楽』第8巻 人間の心、天仙の心
 賀来ゆうじ『地獄楽』第9巻 天仙との死闘終結 そしてその先の更なる絶望
 賀来ゆうじ『地獄楽』第10巻 三つ巴の大乱戦の果ての更なる混沌と絶望
 賀来ゆうじ『地獄楽』第11巻 呉越同舟 それぞれの戦い、それぞれの想い
 賀来ゆうじ『地獄楽』第12巻 最後の戦いに「人」を駆り立てる「想い」
 賀来ゆうじ『地獄楽』第13巻 大団円 地獄と極楽の島での戦いの先に

 菱川さかく『地獄楽 うたかたの夢』 死罪人と浅ェ門 掬い上げられた一人一人の物語
 おおはし『じごくらく 最強の抜け忍 がまんの画眉丸』 公認パロディ!? 強烈なキャラ変で辿る地獄楽

このエントリーをはてなブックマークに追加
 

|

« 賀来ゆうじ『地獄楽』第13巻 大団円 地獄と極楽の島での戦いの先に | トップページ | 蝉谷めぐ実『化け者心中』 芸道に生きる人と鬼たちの境目にあるもの »