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2021.11.18

「コミック乱ツインズ」2021年12月号(その三)

 「コミック乱ツインズ」誌2021年12月号の紹介、第三回(ラスト)です。

『雑兵物語 明日はどっちへ』(やまさき拓味)
 久々登場の本作、捨丸と春は前回の天目山の戦の後に職を失い、いまや京で寺に忍び込んで仏像を「一時拝借」する有様――なのですが、その寺というのが本能寺だったおかげで、思わぬ形で歴史に関与することになります。

 そう、二人が本能寺に忍び込んだのは、まさに明智光秀が謀叛を起こしたその日。二人はその騒動の中で、寝間着姿の見るからに只者ではない、威圧感溢れる(でもあまり美男ではない)男と出会うことになります。大乱戦が始まった中、あの寝間着の男こそが信長と見て取った二人は、どさくさに紛れて信長の首を狙うことを決意します。
 そしてわざわざ炎に包まれた本能寺に潜入し、凄まじい炎の中(いつもの事ながら作画が素晴らしい!)、手負いの男と対峙した捨丸。そして8ページにもわたる激闘の果てに、ついに相手の首を落とすのですが……

 そして意気揚々と首実検に臨むことになった二人。その場にいる者の中で唯一信長の顔を知るというルイス・フロイスがその首を見て、発した名は――この展開であればある程度先は読める、と思いながら読んでいましたが、この結末には流石に仰天。フロイスの言葉が真にせよ偽にせよ、本シリーズらしい皮肉な結末というべきでしょう。


『カムヤライド』(久正人)
 単行本第6巻も本誌と同時に発売された本作ですが、前回仄めかされた地獄のような真実が、いよいよ今回明かされることになります。

 伊勢の地下に眠っていた巨大な骸骨・ヤマトオオクニタマ――それは二百年前の天孫降臨によって大打撃を受けたヤマト族が最後の手段として、天から落下したモノの肉を用いて作り出した最終決戦兵器。絶大な力を発揮しつつも、搭乗する者、いやその子孫幾代にも影響を及ぼすその力を安全に用いるため、オシロワケ大王たちが作り出そうとしたものの一つが、ノミの宿禰が作ったカムヤライドの原型であったのです。

 しかしその他にもオシロワケとその妹・ヤマトヒメが着手した手段がもう一つ――それは王族の血を引く者たちに、ヤマトオオクニタマの肉を食べさせること。しかし近寄っただけでおそらく遺伝子を狂わせる「それ」を食べて、普通の人間がただで済むはずがありません。自分の子供たちを利用しての悪魔の実験の末、ただ二人生き残った者は――その名を書く必要はないでしょう。
 しかし真の地獄はこの先にあります。生き残った二人を襲う恐ろしい変異。その果てに二人の間に起きたのは……

 いやはや、ここまでやるか、としか言いようのない地獄絵図。前回、ヤマトヒメは天孫降臨とヤマトオオクニタマにまつわる真実を指して「新古事記」と呼びましたが、ここで描かれたものは「古事記」の描写にある意味忠実というべきでしょうか。ありそうだけれども、まさかやるまいと思っていたその描写に……
 この真実から、はたして彼は立ち直ることができるのか――まだまだ地獄は続きそうです。


 次号は創刊19周年特別記念号。レギュラー陣に加え、『軍鶏侍』『はんなり半次郎』『かきすて』と、えらく豪華な顔ぶれであります。


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