『半妖の夜叉姫』 第36話「永遠にない場所」
是露と七星の罠にはまり、心の中の孤独や悲しみの記憶を覗かれるとわ。その中の負の感情を暴き立てる是露に怒りを燃やしたとわは妖怪に変化し、襲いかかるが、それこそが是露の真の狙いだった。一方、りんの呪いが進行する中、殺生丸の言により母のもとに駆けつけたせつなにりんが語った言葉は……
前回、是露と七星の罠にはまり、苦しむ姿が描かれたとわ。しかし何に苦しんでいたのかが描かれなかったため、彼女の怒りの理由がわからなかったのですが――その部分が今回描かれることになります。
○とわの記憶
是露の術によって動きを封じられた末、七星の放った常世虫に取り憑かれ、己の中の孤独や悲しみの記憶を暴かれることとなったとわ。自分にそんなものはないと抗うとわですが、しかし彼女が過去に抱いた感情は、容赦なくえぐり出されていくこととなります。
森を襲った火事でせつなの手を離してしまった悔恨、ただ一人現代に飛ばされてしまった心細さ、草太の娘となったものの消えない戸惑いと違和感、家族以外の周囲の人間との孤絶、そして再会したせつなが変貌していた悲しみ――これでもかと言わんばかりに曝け出されていくとわの中の想い。これまで常に明るく振る舞ってきたとわですが、草太というある意味最良の理解者と出会い、家族に恵まれた環境にあっても、どうしても拭えない想いがあったのですー
そして是露がそれを論い、煽っていくのですが――これは是露の一種の詐術というべきでしょう。もちろん、とわが過去にこうした感情を抱いてきたのは事実としても、彼女の過去にあったのは、決してそれだけではないのですから。それ以外にあった楽しかった記憶、嬉しかった記憶、彼女を慈しみ愛してきた人々の存在――それらを無視してことさらに悲しみと孤独のみを拾い上げ、突きつけるのは、一種の洗脳というべきものと感じます。
○怒りのとわ 是露の真意
しかしここまでとわが成すすべもなく苦しめられるだけだったのは、朔の日であったから――夜が明けて朔が終われば、彼女は決して術に囚われた存在ではありません。髪の色も元に戻り、怒りに燃えるとわという、前回ラストで描かれた場面に続くのは、久々の妖怪化した彼女の姿であります。
と、ここにとわのハンドクリームのラベンダーの香りを追って、理玖とりおんが駆けつけるのですが――しかし怒りに燃えて暴走するとわは止まらない。問答無用で七星を一刀の下に叩き斬り、襲いかかるは是露のもと――しかしここで是露の恐るべき真意が明らかになります。それはここでとわの刃で命を落とすことにより、縁で繋がったりんの命をも奪い、間接的に母の命を奪ったという決して消えない心の傷をとわに与えることだったのであります。理玖が割って入ったものの、暴走状態のとわを止めることは容易ではなく……
○急ぐ殺生丸(置いてかれる邪見)
そんな緊迫した状況とも知らず、北国からのんびり帰ってきた退治屋たち。そこに殺生丸の娘・せつなを狙って、見るからに雑魚い緑鬼たちが大量に襲いかかってくるのですが――そこに現れたのはなんと殺生丸。りんに対する是露の呪いがいよいよ進行したため、せつなの所縁の断ち切りの力を求めて急行してきた殺生丸は、せつなを時代樹に急がせると、自分は退治屋(というか琥珀)とともに、緑鬼たちを粉砕にかかるのでした。
一方、言葉には出さないものの滅茶苦茶焦っていたと思しき殺生丸に振り落とされた邪見が落ちた先は、狸穴島からこれまたのんびり帰る途中のもろはの上。ここで邪見と出会ったことで、もろはもこの状況に巻き込まれていくことになるのでしょう。
○せつなが斬るべきもの
時代樹の中に駆けつけたせつなが見たのもの――それは全身に銀の鱗が転移した、無残なりんの姿でした。りんも最後の願いなぞと言い出して、ヤバいムードが漂いますが(何しろ今この瞬間にも、とわが是露を殺しにかかっているので)、既に所縁の断ち切りの力を引き出せるようになったせつなは、ここで無数の赤い糸の中から是露とりんの縁を見つけ出し、一刀両断に――しようと思ったところで、娘を静止するりん。縁を斬っただけでは呪いは消えない、そのためには――というところで、次回に続きます。
これまでしばらく三元中継だった物語が、一気に収束の気配を見せた今回。考えてみれば次回で一クール終了、これが前半の山場ということなのでしょう。しかし単にとわに対する憂さ晴らしにしか見えなかった是露のいたぶりに、こんな真意があったとは、さすがに驚きかされました(その割にはラストで虹色真珠を全て己に戻していましたが……)。
しかし引っ張った割にはあっさりと退場することとなった七星、テンションが上がるといきなり能舞台を作り出して舞う(公家とは……)など、なかなか面白いキャラでした。合掌。
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