「コミック乱ツインズ」2022年1月号(その二)
次号は『暁の犬』が表紙で『侠客』が巻頭カラー、『煩悩寺おつとめ日鑑』が再登場するようです。 「コミック乱ツインズ」誌、2022年1月号の紹介の続きであります。今回は『勘定吟味役異聞』『かきすて!』の二作品を紹介いたします。
『勘定吟味役異聞』(かどたひろし&上田秀人)
「暁光の断」編のラストとなる今回は、聡四郎の私(家庭)の面でも、公(任務)の面でも大きな動きのあった回となりました。
余命幾ばくもない状態で妄執を燃やす柳沢吉保が仕掛けた最後の秘策――将軍継承の最有力候補である徳川吉宗の狙撃を、西田屋経由で紀伊国屋文左衛門から知らされた聡四郎。わざわざ自分の企みを知らせる紀文の真意を測れぬまま、聡四郎は吉宗に報告することになります。これに対し、銃であれば玉込め役の右に出る者はないと余裕の表情の吉宗ですが……
一方、紅さんから父が会いたいと言っていると聞かされ、相模屋を訪れた聡四郎。そこで待っていたのは、紋付袴という、ある意味臨戦態勢の伝兵衛――本当に紅でよいのですかというその問いに、しかし堂々と胸を張って答えたことで、聡四郎はこのドキドキの瞬間をあっさりとクリアするのでした。(奇しくも同じ号で同じような顔合わせのあった『暁の犬』の佐内とはえらい違いですが……)
そして吉宗の見送りに品川に向かった聡四郎ですが、そこで彼が見たものは、紀伊国屋の船――そこで相手の企みを察知して飛び出した聡四郎は、巧みに隠れていた刺客たちと激突、間に合わなかったかに見えた一人も、意外な(?)人物が覚悟を見せて滅茶苦茶格好良くブロック! かくて暗殺計画は未然に防がれた――と思いきや、ここから始まるのは怒涛の口封じラッシュ。陰謀というものの底なし沼ぶりを感じさせられた思いであります。
そして吉宗からとんでもない礼をもらうこととなった聡四郎。まさかここでこの展開と繋がるとは――と、めでたいようで、よりのっぴきならないところに踏み込むこととなった聡四郎がどこに向かうのか。次回より新章突入であります。
『かきすて!』(艶々)
ナツ・ゆき・はるの三人娘の江戸への道中を通じて、江戸時代の各地の性風俗を描いてきたシリーズ連載の本作ですが、江戸に到着してもまだ物語は続く様子。今回は、おはるに旅の途中でデキた恋人・清さんが不審な行動を取ったことをきっかけに、思わぬ事件(?)が描かれることとなります。
突然おはると会わなくなった清さんが、江戸で評判の三味線の美人師匠・小若と歩いていたところを見かけた三人。早速彼を問い詰めるおはるとおゆきですが、ナツだけは小若が何者であるかを見抜いて……
と、江戸時代のジェンダー事情に詳しい方であれば、あるいは小若という名前で気付くかもしれません。この小若は江戸時代の事件や噂の記録集である「藤岡屋日記」に登場する実在の人物。はたして「彼女」がいかなる理由でこの日記に、そして本作に採り上げられることになったのか――それは、ここでは伏せるとしましょう。しかし本作においては、ナツという無垢な――というより物事の本質を見抜く力を持つ娘の目を通して、実際に記録に残された小若を巡る理不尽を鋭くえぐり出すことになるのです。
本作でこのような切り口の物語が描かれるとは――嬉しい驚きであります。
次回でラストです。
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