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2022.02.17

「コミック乱ツインズ」2022年3月号(その二)

 「コミック乱ツインズ」2022年3月号の紹介の後半であります。

『ビジャの女王』(森秀樹)
 単行本第1巻が発売されたばかりの本作ですが、今回繰り広げられるのは、宰相ジファルの裏切りによって負傷し、虜囚となったブブの大脱出劇。前回、警備が手薄となったところを相棒(?)の墨蝗に助けられて単身脱出したブブは、馬を奪ってビジャの城壁まで急ぎますが、追いかけるのは無数の蒙古兵であります。ブブも一騎当千の暴れぶりを見せますが、しかし目的はあくまでも脱出です。

 ここで城門が蒙古兵を恐れて閉ざされたままでは意味がないわけですが、前回ラストに描かれたように、オッド姫はあくまでもブブを信じて城門を開けておくよう命じます。一歩間違えればブブに続いてそのまま蒙古兵が入り込みかねない決断ではありますが――しかしそれを受けてのビジャの兵たちの言葉が熱い! そしてジファルもまた(やむを得ずとはいえ)、被害を最小限に抑えるための対応を命じ、かえってビジャが一体となって闘志を高める様は実に盛り上がります。

 しかし本当にブブは脱出できるのか、そしてビジャはブブのみを迎え入れることができるのか――見るからに異様な(ドラクエのさつじんきみたいな)蒙古兵も迫り、まだまだ油断はできません。


『小平太の刃』(山口正人)
 シリーズ連載の本作、今日も今日とて三次とともに各地をさまよう渡世人・小平太が今回出会ったのは、人相の悪い侍たちに追われている浪人で――と、シリーズではお馴染みの逃亡者パターンの今回ですが、この逃亡者・半九朗はかなりのツワモノであります。
 その剣術の腕を買われ、越後の大名家で主君の護衛となった半九朗。しかしどうしようもない漁色家の主君に対し堪忍袋の緒が切れた半九朗は、この大名の煩悩の元を切り落とし、逃げてきたというではありませんか。

 この半九朗、一度は小平太たちの機転で逃れたものの、思い出の味であるのっぺ汁を食べておきたいと飯屋で小平太と再会。そこで町の強欲狒々爺が、金にあかせて町娘を奪っていこうとしたところに出会い、また堪忍袋の緒が切れたところに、さらにそこに追手たちまでも現れ、大乱闘が始まることに……
 というわけで、悪人たちに対しては怒り爆発しやすい小平太並みに悪を許さぬ半九朗のキャラクターが面白い今回。何かと×××を切りたがるのはどうかと思いますが、ある意味小平太と似たもの同士の彼の大暴れで、普段とはひと味違うエピソードとなりました。


『カムヤライド』(久正人)
 巨大国津神を前に窮地に陥ったところを、異形の姿・神薙剣(カムナキラー)に変じたオウスに助けられたオトタチバナ。彼女をお姫様抱っこできてしまうオウスの姿に、神話のような展開が――と思いましたが、オトタチバナは遥かにしっかりした人物でした。
 オウスが姿だけでなく、その精神までもがこれまでと異なってしまったことを見て取り、それがヤマトヒメによるいわば人体実験の結果であることに不快感と怒りを示すオトタチバナ。元々彼女が反骨心旺盛であることはわかっていましたが、人の尊厳を奪い、兵器として扱うことに反発する健全性を持つ人物であることに――このところの地獄展開を見ていただけに――ホッとさせられます。

 しかしそんな彼女も身分はヤマトの武人、ヤマトを守るためという大義名分を持ち出されては分が悪い。反発しつつも、ヤマトヒメが目論むモンコ(の封印した国津神)追跡にやむなく従うことになりそうですが――しかしここで急展開。オウスの秘密――すなわち自分たちが探し求めてきたニ=ギの肉体の在り処を、天津神も知ることになってしまったのであります。これはモンコを挟んで、天津神と神薙剣の激突待ったなし、ですが……

 ここでモンコサイドに視点が移ってみれば、またもや急展開、というか一体何が起きているのか!? という大変な展開。古墳時代のメジャーな勝負事「殖す葬る」って? 対戦相手がバンデラスと二人の仲間? さらに助っ人が二人――ってアナタ方!? と何を言っているかわからないと思いますが、これはぜひ実際に見てひっくり返っていただきたいと思います。前半と後半、ほとんど別の漫画のようなノリに愕然とすること請け合いです。


 次号は新連載でグルメ漫画(?)『仕掛人めし噺 藤枝梅安歳食記』(武村勇治&池波正太郎)がスタート。その手があったか……
 そして特別読み切りでは、まさかまさかの伊藤黒介の『おんな座頭けもの道』が登場。新作準備中とのことでしたが、ここに登場とは……。その他、同じく特別読み切りとして『儘に慶喜』(日高たてお)、『徒花』(鶴岡孝雄)と盛りだくさんです。


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