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2022.02.16

「コミック乱ツインズ」2022年3月号(その一)

 「コミック乱ツインズ」3月号は、表紙及び巻頭カラーが、連載100回の『鬼役』。特別読み切りは有賀照人&富沢義彦『玉転師』であります。今回も印象に残った作品を一つずつ紹介いたします。

『勘定吟味役異聞』(かどたひろし&上田秀人)
 権力の座から転がり落ちつつある中で、金からも縁遠くなってきた間部越前守。玉落ち――すなわち家臣に扶持米を支払った直後の手元不如意の状態に付け入るように、紀伊国屋の配下が近寄ります。
 一方、紀伊国屋本人は、死の床の柳沢吉保から、将軍家継暗殺を命じられることになります。しかし江戸城内の奥も奥に居る将軍暗殺とは、いくら紀伊国屋でもさすがに渋い顔であります(渋い顔で済むのだからスゴいといえばスゴいですが)。現在進行形の米相場の操作といい、相変わらず本作のジョーカーというべきでしょうか。

 一方、我らが聡四郎はといえば、給料日後に楽しく一杯――って、その辺の煮売屋に裃付けて入るのにはさすがに驚きますが、しかしここで食べる煮物がやたら美味そう……(さすがは『そば屋幻庵』の作者)
 というのはさておき、その聡四郎をゆさぶるため、町の破落戸を誘導したのは、何だか久々な気がする永渕。しかしそこらの破落戸相手に聡四郎が屈するはずもなく、ステゴロ殺法炸裂! ある意味剣術よりも痛そうな技の連発で破落戸を鎮圧し、自らの身分を明かして自身番に引き渡した聡四郎に対し、永渕は表の顔である目付として対峙しようと――あっ、目付として働くシーンほとんどないからこの人の職忘れてた、というところで次回に続きます。


『玉転師』(有賀照人&富沢義彦)
 創意溢れる時代ものをはじめとして、ユニークな漫画を次々と仕掛ける富沢義彦が、私の世代的には『舞って!セーラー服騎士』の有賀照人と初めて組んで描くのは、玉転がし(女衒)ならぬ玉転師――「玉」を磨いて売る三人組を描く短編であります。

 破落戸に一両で買われた少女・お篠を助けた狂歌師・稲城東豪。素手の武術の達人・十郎、元・明和三美人の一人で介添え女のお芳と組んで玉転師を名乗る東豪は、お篠を外見だけでなく内面まで磨き上げ、竹細工物の大店の跡取りの嫁の座につけようとするのですが……

 というわけで、一風変わった、そしてちょっと艶っぽい裏稼業ものというべき本作。艶っぽい話も裏稼業ものも、本誌にはこれまで様々な作品が掲載されていますが、さすがにベテラン同士がコンビを組んだだけに、画も物語も水準をだいぶ上に行く印象であります。
(それにしても明和三美人の中でも蔦屋お芳を出してくる辺りが、実にこの原作者らしい)

 ただ、いかにも曰く有りげな三人のキャラが、お芳以外あまり掘り下げられていないのは勿体無いところで、善玉とも悪玉ともつかぬ玉転師たちのさらなる登場を期待したいところであります。

 ちなみに富沢義彦原作の時代ものは、先日発売された「週刊漫画ゴラク」2022年2/18号で、こちらは以前から組んでいる、たみを作画に『辰女 浮世絵人情絵巻』が掲載されています。
 こちらもちょっと艶っぽい人情ものですが、主人公の設定がやはりこの原作者ならではのひねりの効かせ方で、一読をお勧めします。


『殺っちゃえ!! 宇喜多さん』(重野なおき)
 主たる浦上宗景から、同族の浮田国定討伐を命じられた直家。ここは一気に仕留めて名を挙げるチャンス――と思いきや、名城たる砥石城に依る国定に大苦戦。この回の冒頭でいきなり四年経っていたのには驚きました。

 というわけで十代後半を丸々費やした浮田国定討伐ですが、戦を繰り返しながらも国力を蓄えてきた直家はついに勝利。しかし長きに渡り多大な犠牲を出した直家は、正攻法では埒が明かないと気付き――と、ここでアレに目覚めてしまうのか!? という不安と期待を感じつつ、次回に続きます。


 長くなりましたので、後半はまた明日。


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