こはく『平安あかしあやかし陰陽師』第2巻 超美形陰陽師、後宮に潜入……?
最近平安もので躍進著しい遠藤遼原作の『平安あかしあやし陰陽師』の漫画版、第2巻にして完結編であります。藤原師輔を悩ます人面の怪鳥の一件を解決した賀茂光栄と藤原為頼。しかしその後も内裏と後宮で凶事が続き、光栄たちはその源に迫らんとするのですが……
太宰府から京に戻って早々、幼馴染みの光栄のもとを訪ねた為頼。彼が持ち込んだ物の怪騒動をきっかけに、光栄は右大臣・藤原師輔から、彼を襲った人面の怪鳥退治を依頼されることになります。
しかし光栄は、実はそれが師輔に弄ばれた女房の生き霊であることを見抜き、為頼の優しさが彼女の魂を救うことになって――というところで第1巻は終わりましたが、これだけでは光栄たちの腹の虫が治まりません。
かくて、弟子の晴明にも一枚噛ませて、光栄たちは師輔にお灸を据えることに――というある意味とんでもない一幕から始まるこの第2巻ですが、しかし師輔の一件は、始まりに過ぎなかったのです。
その後、光栄や晴明の占いに示された、数々の凶兆――後宮に潜む何者かが様々な物の怪たちを操り、巨大な異変を起こそうとしていたのであります。そしてこの一連の事件に現れた手紙や呪符に共通するのは、滅多に見られない上質な「墨」の存在……
はたして敵は何者なのか。光栄の力を以てしてもその見抜くことができないその強大な呪の使い手の正体を見抜くためには、直接後宮に赴く必要があります。
しかし当然ながら後宮はおいそれと立ち入ることが出来ない場所。そこで光栄が選んだ手段とは?
――というわけで、女装して後宮に潜入する光栄。本作の光栄は元々美女と見紛うばかりの美貌の持ち主なので違和感ゼロ。しかしそれにしても――と言いたくなるかもしれませんが、私が知る限り、超美形陰陽師が女装して後宮に潜入する作品は本作を含めて最低三つはあるので、これはもう定番の趣向というべきでしょう。
それはさておき、そこで師輔の娘である中宮・安子と出会った光栄は、父親とは似ても似つかぬよくできた人間である安子の協力で、真相に迫っていくことになります。
(ここで為頼が、文人ならではの知識でもって、件の墨の正体について推理を巡らせるくだりは、やはり秀逸だと改めて感じます)
そして光栄たちが対峙する怨念の正体とは――正直なところ意外性はないのですが、しかしその怨念が復讐のいわば手段として操る対象というのが、これはあまりこれまで見たことがない人物なのが実に面白い。
そしてこの人物を通して語られる過去の悲劇、さらにそこからの救済は実にエモーショナルで、(かなりのところ復讐者の方に)感情移入させられました。この辺りはやはり漫画ならではのインパクトで、画の力というものは偉大と感じます。
原作同様、堅実ながらよくできた陰陽師ものというべき作品でした。
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