大羽快『新選組といっしょ』第1巻
ほとんどあらゆる戦国武将をギャグにしまくった四コマ漫画『殿といっしょ』の大羽快の新作は『新選組といっしょ』――もうタイトルが雄弁に語っていますが、あの新選組の面々が大変なことになってしまう幕末ギャグ漫画であります。
時は幕末、所は江戸――天然理心流の剣術道場・試衛館を継いだばかりの若き道場主・近藤勇。身を立て名を上げ天然理心流を世に知らしめんと青雲の志を語る近藤ですが、その素顔は見栄っ張りで嫉妬深くてすぐスネるという実に面倒くさい人物であります。
しかし彼だけでなく、その周囲に集まった土方、沖田、山南、藤堂、永倉、原田も皆、非常に個性的――というよりポンコツ揃い。道場唯一の常識人である井上源三郎は、一人で振り回される羽目に……
という、ある意味、実に「らしい」基本設定(特にツッコミ役の源さんの配置とか)で展開する本作は、ストーリーがあるようなないような――というゆるーいノリで展開していくギャグ漫画。必ずしも一ページ四コマというわけではありませんが、四コマ的なノリでポンポンとテンポよく展開してくボケとツッコミの嵐は、『殿といっしょ』に親しんだ方であれば、懐かしくも楽しいものでしょう。
しかし何と言っても最大の魅力は、そのキャラクターたちの壊し具合でしょう。
ガチの意味で近藤に惚れ込んでいる土方(諸般の事情で表に出る時は常にたくあんをほおばる)、ゆるふわ毒舌系で集中力が一瞬しか保たない沖田、ひたすら解説しかしない山南、異常に汗かきでドジっ子の藤堂、記録マニアの事件屋・永倉と、基本居眠りしかしていない(そして何故か○○っぽいポーズになる)原田……
どこからどこまで元ネタがあるのか、一歩間違えれば原型を留めなさすぎてわからないレベルながら、それでいて何故か納得させられてしまうキャラ造形もまた、相変わらずの楽しさです。
さて、上ではストーリーがあるようなないようなと書きましたが、本作は試衛館に集った連中の騒がしい日常を描きつつも、この巻の中盤からは、徐々に史実に沿った物語が展開されていくことになります。
近藤の講武所教授就任の失敗(こんな理由で失敗する新選組もの初めて見た――当たり前ですが)から浪士組の募集に応募、京に出発――という、新選組もの序盤の定番の展開が、ここでは描かれているのであります。
もちろん、点で見れば史実通りであっても、それを繋ぐ線は本作ならではのものであることはいうまでもありません。特にある理由から是が非でも近藤を立ち直らせることを決意した面々が、検討を重ねた末の結論は――というくだりは、各キャラの個性が出まくった議論の模様といい、そこにつながるの!? というオチといい、実に愉快なのです。
というわけでこの巻のラストでようやく京に旅立った試衛館の面々。まだまだ「新選組」への道は始まったばかりですが――この先、試衛館の面々が何をやらかすのか、どんな新キャラが登場するのか、本作らしい歴史ギャグを今から楽しみにしているところです。
既にこの巻の時点で、どう見ても表裏がありすぎる清河八郎、もはや人間なのかすら怪しい芹沢鴨、ぜよぜよ言いながら誰でも仲良くさせようとするヤツが登場しているだけに……
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