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2022.10.25

『逆襲天の橋立』 岩見重太郎再び! 悪に挑む豪傑二人

 東映時代劇YouTubeで先日配信された『怪獣蛇九魔の猛襲』に続く、里見浩太朗が岩見重太郎を演じる二部作の後編『逆襲天の橋立』であります。父の仇・広瀬軍蔵を追って旅をする重太郎が巻き込まれた、丹後宮津中村家の御家騒動。その中に仇の影を見て取った重太郎は、後藤又兵衛らとともに激闘に挑みます。

 狒々を操る妖賊・蛇九魔と結び、筑前小早川家を乗っ取らんとした一味を壊滅させたものの、その一人・広瀬軍蔵に父を殺され、逃げられた岩見重太郎。敵討ちのために旅立った彼は、大坂で一組の男女が大野治長の家臣らに打擲されている場に遭遇し、割って入るのでした。
 と、そこに踊りこんできたのは、黒田家を退身して豊臣秀頼に仕える後藤又兵衛。二人の豪傑は一歩も退かず互角の戦いを繰り広げたものの、すぐに争いの誤解も解けて、たちまちのうちに胸襟を開くのでした。

 そして男女――丹後宮津中村家の家老・石垣三左衛門と娘のぬいから、主の式部少輔に取り入った広田伝蔵なる男が、徳川方と気脈を通じているのを、秀頼に直訴しに来たと聞かされた重太郎と又兵衛。やがて重太郎は、伝蔵こそが憎き広瀬軍蔵であると知ることになります。

 石垣親子や、大坂で知り合ったおかしな浪人・山坂伴内、旅の女芸人・小万一座、そして又兵衛とともに、宮津城下に乗り込む重太郎。しかしそこでは、軍蔵と結んだ山賊・大蛇丸一味が夜な夜な狼藉を繰り広げた末、その罪を重太郎になすりつけていたのであります。
 又兵衛や伴内とともに大蛇丸一味を粉砕した重太郎。しかしやはり軍蔵を追ってきた重太郎の許婚・園絵が軍蔵に一味に捕らえられ、重太郎は絶体絶命の窮地に陥ることになるのでした。

 そして中村家で毎年恒例の、天の橋立での源平合戦を模した演習の場に、必殺の罠を張って待つ軍蔵。はたして重太郎の運命は……


 講談で重太郎が繰り広げる冒険活劇のうち、狒々退治と並ぶ――そしてそれ以上のクライマックスである、天の橋立での仇討ち。前作にあたる『怪獣蛇九魔の猛襲』ではこの狒々退治が描かれましたが、本作ではタイトル通り、天の橋立での仇討が描かれることになります。
 キャスト的には、前作に登場したキャラクターで続投するのは重太郎と園絵、そして軍蔵のみ(ただし……後述)で、それ以外は一新。冒頭には(味のある絵で)前作のダイジェストも語られ、まず独立した作品として楽しめるものとなっています。

 さて、天の橋立の仇討ちといえば、重太郎が軍蔵の擁する無数の軍勢を相手にすることになるわけですが、しかし一人だけではさすがに分が悪い――と、講談では彼に助太刀するのが後藤又兵衛と塙団右衛門の二大豪傑。
 重太郎も合わせて三大ヒーローの大暴れを期待したところですが、本作では後藤又兵衛と、後は山坂伴内というオリジナルキャラクターなのは少々残念――ではありますが、60分強という短時間では、重太郎と並ぶ豪傑を二人描くのは難しいという判断なのかもしれません。

 そして本作でその又兵衛を演じるのは品川隆二。シュッとした中にも豪快さ、そして茶目っ気が感じられて、実に良い豪傑ぶりであります。(特に大坂場内で、重太郎を取り押さえずに大野治長を張り倒し、さらにどやどややってきた侍たちが治長に追い打ちをかけるシーンは爆笑)。
 しかしその品川隆二は前作では長屋の面白浪人枠だっただけに(そして本作のそれは別の役者が伴内というキャラでやっているので)いささか混乱するところですが……


 正直なことをいえば、一種の怪獣(というかゴリラ)時代劇としての楽しさがあった前作に比べると、よくも悪くも普通の時代劇になっている本作。しかし一時間強という限られた時間内で非常にテンポよく物語が進むため、気楽に観られる作品であることは間違いありません。
 重太郎のもう一つの冒険である大蛇退治を、山賊大蛇丸との対決という形でアレンジしているのも心憎く、講談ヒーローの映像化として、楽しませていただきました。

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