『ゴールデンカムイ』 第三十八話「繭」
刺青囚人・関谷の毒によって仮死状態にされ、地中に埋められた土方と牛山。土方を探す門倉とキラウシの元に関谷の脅迫状が届き、二人は懸命に対策を練る。一方、覚醒した牛山は朦朧としたまま這い出し、いじめられっ子の少年・チヨタロウと仲良く(?)なるが……
前回の後半から引き続き、土方チームと関谷和一郎の対決が描かれる今回。戦闘力は大してないものの、その毒の知識と話術でもって土方と牛山を罠にかけ、仮死状態に追い込むという恐るべき敵であります。
もっともこの関谷、決して相手をすぐには殺さず、人質として生き残るチャンスを与えるという、奇怪なルールを課す男。「試練」と称する彼の独特の行動にはその過去が影響しているのですが……
と、関谷(あと土方)が一人でシリアスな一方で、いきなり始まるのはゴールデンカムイならではのすっとぼけたギャグ展開。関谷の目が届かぬうちに覚醒して監禁場所から抜け出したものの、意識朦朧としてほとんどフランケンシュタインの怪物状態の牛山は、前回も登場した金持ちのボンボン・チヨタロウと出会い、彼だけの「怪人」として交流する(というか餌付けされる)ことに……
という、いい話なんだか何なんだかわからない展開が、関谷を追う門倉とキラウシの姿と並行して描かれる展開に、こちらの感情はわけのわからない形で揺さぶられることになります。
この辺り(に限らず今回の内容)は原作と全く同様ではあるのですが、声と動きが付くとインパクトがあるもので、特にこのパートはチヨタロウを演じる小林由美子のいい芝居のおかげで、本筋ではないはずなのに、妙に印象に残るものとなっていたかと思います。
(ただ、チヨタロウをいじめる悪ガキに、牛山がガチバイオレンスを喰らわせる場面がマイルドな感じになっていたのは残念――ギャグかと思ったら唐突に通常営業になる落差がよかったのに)
その一方で門倉とキラウシの凸凹コンビも必死に関谷を追うわけですが、用心深い関谷に対して、門倉がキラウシから借りたマキリをヒドい場所に隠して――というギャグ、原作の有古関連のエピソードを読んだ後だと、ことさらヒドいものに感じられるのが楽しいというか何というか。
その一方で、クライマックスの関谷との対決は、そんな門倉も単なるふざけたおっさんではなく、土方に賭ける想いは真剣であることを描いて印象深い場面ではあります。しかしその一方で、凶/強運の持ち主である門倉はともかく、土方までももの凄い引きの良さを発揮して自力で解毒していたという展開は、「度胸と経験で運命を引き寄せた」と言われても、ジョジョの「凄み」ではあるまいし――という印象は原作の時から変わりません。
が、立木文彦のナレーションで断言されると何となく納得してしまうのもまた確かなのですが――これがアニメの力でしょうか。(違います)
ちなみに関谷が毒殺魔となったのは、幼い娘を全く理不尽に失ったのをきっかけに、神の存在を疑うようになったためであると語られますが、原作ではこの直後のエピソードで、あの長谷川さんの悲劇が描かれることになります。この『ゴールデンカムイ』という物語では、親と子というモチーフが様々に変奏して描かれることになりますが、この関谷のエピソードもその一つであったかと、今更ながらに気付かされた次第です。
まあ、このアニメ版ではエピソード順が変わってしまったわけですが……
そしてエピソード順が変わったといえば、次回のサブタイトルは「硫黄のにおい」――原作では同じサブタイトルの回が第20巻に収録されていますが、そうだとすれば、OPでは一足先に裸体を晒していた菊田と有古が、ついにアニメ本編デビューするということなのでしょう。冷静に考えれば、本編でもいきなり全裸で登場だったのか、あの二人……
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