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2022.11.12

羽田豊隆『幕末賭博バルバロイ』第2巻 いきなり激突、ラスボス戦!?

 ギャンブルが世の向かう先を左右する幕末を舞台に、豊臣家の末裔の少年ギャンブラー・豊臣秀と、侍になるべく奮闘する女剣士・大御神甘楽のコンビが大勝負に挑む幕末ギャンブル漫画の続巻です。いきなり大敵と対決することになった二人の勝負の行方は――思いもよらぬ展開の連続であります。

 命を賭けた御前賭博の場で十三代将軍・家定を破り、家定を名乗る少女が支配する江戸時代。父の剣術道場で師範代を務めるほどの腕でありながら、女に生まれたというだけで認められない日々に鬱屈を感じる甘楽は、賭博師を名乗る青年・秀によって、命懸けのギャンブルの世界に引き込まれることになります。
 この時代の日本人の常識を超える知識量で、次々と強敵を破っていく秀の目的は、将軍家打倒。その軍資金を集めるためにペリーの孫娘から大金をふんだくった二人ですが、その前に刺客として坂本龍馬と岡田以蔵が現れ……

 我流の剣を操る以蔵に己の剣で挑む甘楽、龍馬の拳銃相手にギャンブルを仕掛ける秀――剛と柔、巻頭からいきなりこの両者の対決が描かれる第2巻ですが、実はそれは前座にすぎません。
 両者の決着がついたと思われた時、その場に現れた謎の美女――それこそは十四代将軍・家定。沖田総司一人を供に連れて平然と江戸城の外に現れた彼女は、こともあろうに秀が目指していた御前賭博――勝てば即将軍、負ければ即切腹の勝負を、向こうから持ちかけてきたのであります。

 かくてその辺の道端で突如始められることとなったラスボス戦。秀は自分に有利な勝負として「西洋かるた」を取り出しますが、家定はそれを「トランプ」と呼ぶではありませんか。はたしてこの時代にあり得ない「トランプ」という語を平然と用いる家定とは何者か……

 と言いたいところですが、何分本作の世界観が世界観なので、あまり意外な気はしないのが正直なところ。それでも何はともあれこの時代において、家定が色々な意味で明らかに規格外な存在であることは間違いありません。
 秀の得意とするイカサマと賭博に対する知識に対し、その尽くを桁外れの強運――この後に起きることを知っているとしか思えないツキでもって覆していく家定。

 この逆境を打開する術は――秀のパートナーたる甘楽しかない! と思いきやその前に立ちふさがるのは沖田総司。あまりに分の悪い勝負の行方は……


 まあ、この時点で主人公とラスボスが対決したら、その結果は目に見えているわけですが――肝心なのはその結果よりも過程、内容でしょう。しかし本作の場合、内容の上でも、それだけでなく、決着した後の姿もどうにも締まらないのは困ったものであります。
 第1巻の時点で、秀の強さの源がその精神性やテクニックといった賭博師のある意味基礎よりも、「知識」――それも他の人間が持っていない知識に依っている点に違和感と不安を感じていましたが、完全にその点が当たったというべきでしょうか。

 もちろん、この巻で描かれたような展開は、ギャンブルものにおいてはある意味定番ではあります。そしてここからの再起こそが、ギャンブルものの醍醐味の一つであることは間違いありませんが――賭博師としての基礎に不安が感じられる秀が、この先どこまでやれるのか、今は首を傾げざるを得ません。


 さて、再び出直しとなった秀と甘楽の前に現れたのは、謎のくノ一。彼女が語る秀の、豊臣家の秘密とは(何だか早くもその前の家定の言葉と矛盾しているような気がしますが)。一寸先は闇の賭博道、次なる展開は全く読めないまま次巻に続きます。


『幕末賭博バルバロイ』第2巻(羽田豊隆&河本ほむら 集英社ジャンプコミックス) Amazon

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