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2022.12.18

安田剛士『青のミブロ』第6巻 ダメな大人の金策騒動と近藤の心中

 武士の世の復活を目指す「血の立志団」から将軍家茂を守り抜き、意気上がるミブロ。その勢いで揃いの羽織を作ろうとしたものの、先立つものが――というわけで、この巻では、それぞれに金策に奔る面々が描かれることになります。しかし血の立志団も再び暗躍を開始、ついに全面対決の時が……

 将軍を暗殺し、戦乱の時代に戻すことで武士が武士らしく生きられる世を作ろうとする凶剣士・京八直純ら血の立志団から、辛うじて菊千代こと徳川家茂を守り抜いたにお。将軍を守り抜いたという大殊勲に意気上がるミブロの面々は、元々の目的であった揃いの羽織作りにいよいよ乗り出すのですが――その価、なんと二百五十両!
 その日暮らしのミブロたちにすぐに出せるはずもない金額ですが、しかしテンションの上がった状態の彼らは、金策に奔走することに……

 ということで、この巻の冒頭で描かれるのは、それぞれのやり方で金を稼ごうとする隊士たちの姿。なのですが、これがまあ、実に彼ららしいというか何というか――道場破りに走る奴、刀を質に入れたり博打に賭ける奴はまだマシな方で、近藤や沖田たちに至っては、もはや何を考えているのかというレベル。(しかし一番おかしいのは、いつの間にか女刀鍛冶からイイ話な感じで刀をもらってる土方だと思う)
 しかしギャグパートの時の本作らしく、隊士たちがテンポ良くテンション高く突っ走る姿は最高に楽しい。正直なところ、ずっとこのままこれらがわちゃわちゃやっているところを見たい程であります。

 それはさておきその結果は――本当にダメな大人だなこいつら! としかいいようがないのですが、そこできっちり動いていたのがあの二人、というのもまたらしいオチであったかと思います。


 さて、そんな中で主人公であるにおはといえば、この騒動の中で、とある剣術道場主の奥方であるナギと出会うことになります。マイペースというかぼんやりさんというか、不思議な空気を漂わせるこの女性に、独特の強さを感じたにおは、さっそく近藤やはじめと一緒にこの道場を訪ねるのですが――この道場主・陽太郎が意外な使い手。
 同い年で共に道場主、そして剣術マニア同士、さっそく意気投合した近藤と陽太郎は竹刀を交えるのですが――その実力派ほとんど互角! 力の近藤と手数の陽太郎、勝るとも劣らない実力者同士の仕合は、熱戦ながらスポーツマンシップ溢れる好勝負となります。

 そしてその中で合わせて描かれるのは、これまで時々良いことをいうけど基本面白天然兄貴だった近藤の心中であります。
 本作はにおたち少年サイドが主人公であり、近藤や土方といった元々の浪士組(新選組)の面々は、ある意味「おなじみ」のキャラクターとして存在している印象なのですが――もちろん、その内面が存在しないはずはありません。

 ここで陽太郎との対決を通じて描かれた近藤のキャラクターは、なるほどこれはいい近藤、と言いたくなるような、器の大きさを感じさせる好漢なのが嬉しいところであります。


 が、陽太郎が強いのも道理と言うべきか――彼の道場は京八流。そう、陽太郎はあの直純の弟にして、直純が武神とまで呼ぶ男だったのであります。
 そして陽太郎を巻き込んで、ついに本格的に決起する血の立志団。八人の幹部――「鈍心」「扇動」「武士」「猟犬」「鈴蘭」「寡黙」「夜叉」「花火師」による、京都を大火に包まんとする企てを大胆不敵にも予告してきた直純に対し、ミブロは隊を分けて阻止に向かうことに……

 ミブロを潰し、家茂を殺せば再び戦国の世に――という直純の理屈自体は相変わらずさっぱりわかりませんが、しかし敵の幹部連とミブロの面々の全面対決というのは、少年漫画的に盛り上がる展開であることは間違いありません。
 そしてその一番勝負を買って出たのは、いささか意外な人物――いきなり大将戦というべき展開になったところで、物語は次巻に続きます。


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