坂ノ睦『明治ココノコ』第4巻 崩れゆく漆黒の楼閣!! そして新たなる架け橋の男!?
明治の世に現れたニゴリモノ――物の怪の成れの果てと対決する元九尾の狐とその「尾」たちの戦いを描く物語もいよいよ佳境。浅草に出現し、周囲に災厄を撒き散らす漆黒の楼閣での戦いもいよいよ決着することになります。そこで深い傷を負った川路に替わる、人間と物の怪の架け橋になる人物とは……
かつて恣に暴れ回りながらも天狐に封印され、八本の尾を奪われた九尾の狐。明治の世に封印を解かれ、ビャクと名乗ることになった彼は、尾たちとともに川路利良配下の妖狐邏卒隊として、帝都を騒がす奇怪なニゴリモノと対決することとなります。
そんな中、浅草に現れた漆黒の楼閣。人間が近づけば狂ったり怪死を遂げ、物の怪が近づけばニゴリモノに変わる――そんな魔塔の中でニゴリモノを生み出しているのが尾の一人・コクであることを知ったビャクは、七人の尾と共に、楼閣に乗り込むのでした。
天狐の秘薬によって一時的にパワーアップし、楼閣の中を突き進むビャクたち。一人先行してコクと対決したビャクは、一度は追い詰められながらも駆け付けた川路に助けられ、ついにコクを打倒するのですが……
というわけで、物語当初から対立していたコクとの決着をようやくつけたビャク。しかしコクの陰には真の敵がいました。コクを使嗾してニゴリモノを増やし、ついには彼もニゴリモノに変えようとした謎の怪人――正体不明ながら強大な力を持つこの怪人に挑むビャクと川路ですが、既にここまで来るのがやっとの二人ではあまりに分が悪い戦いであります。
何故か彼を知っているらしい怪人に(決着がついたのにビャクとコクがまだやり合っている間に)川路は深手を負わされ、圧倒的な力の前にビャクたちも打つ手なしの状態の中、思わぬ救いの手が――というのは定番の展開ではありますが、しかしタイミング的には今までお荷物だったキャラクターが真の力を見せる、というのは納得できるところでしょう。
そして今一つ力の意味がわからなかったコクの力の真の意味も明かされ、これで八尾全ての力も明らかになった――というところで、もう一本、大事な「尾」のを忘れていた、というのは確かに言われてみればその通りで、なるほどそう来たか、とこれはちょっと意表を突かれました。
かくて浅草の漆黒の楼閣は滅び(凌雲閣との関係も語られて)、ビャクと八尾の力も全て明らかになり、めでたしめでたしと言いたいところですが、結局あの怪人は姿をくらませたまま。そして怪人に負わされた川路の傷は、天狐でも治せない呪いとなって彼を苦しめます。
そんな中でも公務で海外出張することになった川路が、自分の不在の間に、人間(の警察)と妖狐邏卒隊の架け橋として、代理を選ぶことになるのですが――その人物とは、前巻でも意味有りげに登場していたあの人物。もう明治ものでは完璧に常連状態なので登場自体は意外ではありませんが、しかし本作ではある理由で、物の怪に対して極度に鈍感になっている、という設定が面白いところであります。
(もっともその理由もすぐに解消されてしまうのですが……)
どう考えても現実主義者っぽい彼にとっては迷惑この上ない状況ではありますが、しかし任務とあらばきっちり果たすのもこのお人らしい。頼もしい味方を加えることとなった妖狐邏卒隊ですが――しかしナノラズと呼称されることとなった怪人が、川路を放っておくはずもありません。
横浜から出発する川路たちを守るために集ったビャクと八尾+一ですが(ここで横浜まで汽車に乗る一堂に、真剣な形相で厠は大丈夫か確認する川路が実におかしい)、早くも敵の魔手が迫ります。
天狐の身にも異変が起きていることが仄めかされる中、いよいよ決戦――次巻最終巻に続きます。
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