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2023.04.08

賀来ゆうじ『地獄楽 勿怪の森』 二重に「らしい」後日談

 アニメ化、小説第二弾刊行と最近ファンには嬉しい展開が続いていた『地獄楽』ですが、まさかの新作短編の発表であります。短編といっても77ページの大ボリューム、描かれるのは本編終了後の画眉丸の姿――と大いに気になるところですが、内容のとんでもなさもまた本作らしい作品です。

 アキの住む村の外れの森に住み着いた白髪のよそ者。村の和尚から聞いた、最近解放された奇怪な島帰りの罪人ではないかと考えたアキをはじめとする子供たちは、村を守るためにこの男を殺そうと決意するのですが――振り降ろされた鍬が体に刺さっても平然としている男は、「ワシを殺したければ殺していい ただし一回殺すごとに野菜の作り方を教えてくれ」と告げるのでした。

 かくて始まった白髪の男とアキたちの奇妙な交流――大岩を落とされても、首を締められても、水中に沈められても平然としている男に、野菜の作り方を教える中、いつしか男とアキたちは友達のような関係になっていくのでした。
 そんなある日、アキを家まで送る途中に、村の大人たちが流行病で倒れて身動き取れなくなっていることを知る白髪の男。そしてその前に現れた和尚に招かれて寺を訪れた彼が語るのは……


 というわけで、本編終了後、ようやく平穏を手に入れた画眉丸が巻き込まれた出来事を描く本作。

 内容的には「舐めてた世捨て人が実は殺人マシンでした」ものなのですが――そこに子供ならではの残酷な無邪気さ・生真面目さと、忍びとして異常な生活を送ってきた画眉丸の「常識」が妙な形で噛み合ってしまったおかげで、えらくブラックな笑いを生み出しているのが『地獄楽』らしいというべきでしょうか。
 しかし、画眉丸の相変わらずの底知れぬ戦闘力を描きつつも、子供たちとの物騒な触れ合いの中で彼が人間として再生していく様を描てみせるドラマ部分もまた、実に『地獄楽』らしいと感じます。
(そしてまた、さらりと本編の総集編的語りも入れているのが心憎い)

 何はともあれ、物語が終わったその後を覗き見るのは野暮だと言われようとも、やはり好きだった作品のその後を(本編の幸せな結末を崩すことなく)見ることができるというのは嬉しいもの。
 画眉丸のその後が描かれたからには、ぜひ佐切のその後も――と思ってしまうのは、これは野暮というより欲張りではありますが、ファンとしての正直な気持ちであります。


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