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2023.06.25

『地獄楽』 第12話「傘と墨」

 蓬莱の門に至った佐切・杠・仙汰の前に現れた天仙・ムーダン。人体を弄り回すことを好むムーダンに挑む三人だが、タオを自在に操る相手に苦戦を強いられる。しかし佐切の太刀で傷を負わせられると気付いた三人は、傷だらけになりながらも、連携攻撃でついにムーダンを倒すことに成功するが……

 このアニメ版も残すところついにあと二話、ラスト一話前である今回は、まず間違いなくアニメのラストバトルであろう天仙ムーダン戦に突入。アニメとしてのクオリティも前回までとは雲泥の差で、もっと早くこれが出来ていれば――と言いたくはなるものの、しかし満足のいく内容でありました。

 内容的には、見比べてみると思った以上に省かれた台詞はあるものの(あと、その直前の天仙たちのナイトプールはさすがにカット)原作にほぼ忠実な内容で、一番感想が書きにくいタイプの回ではあるのですが、原作と見比べてみると、特にアクション描写がパワーアップしていると感じます。
 もちろん、原作の時点で見応えのあるアクションだったことは間違いありませんが、四人のキャラクターが入り乱れる情報量が多いバトルであったためか、改めて見てみると意外と一コマ一コマが小さい――それを逆に利用して動きを感じさせているのが巧みなのですが――印象があります。それをこのアニメ版ではアングルを微妙に変えたり、途中の動きを加えることにより、よりダイナミックなものとして描き直しています。

 特に印象的なのはついに本性を見せた杠の忍法粘糸から派生する忍法蜜牢→忍法線斬行のコンビネーションで、その大きく舞うような、それでいて俊敏な動きは、アニメならではというべきでしょう(その直後の、ムーダンの再生をじっくり見せる、良い意味の悪趣味さも印象的)。また、杠に襲いかかる僵尸二人を、自分の羽織を使って絡めとる仙汰のムーブも、漫画以上にわかりやすく、印象に残ります。

 そして激しく動き回るバトルの果てに、仙汰が後ろから押さえつけたムーダンを、佐切が「皮一枚」で斬るという、浅ェ門ならではの静の技で決着をつけるのも見事であります。
(ここはもちろん原作通りなのですが、唯一、「空飛ぶなら気をつけて 僕胖子(デブ)だから」と、散々ムーダンに「胖子」呼ばわりされたのを皮肉る仙汰の台詞がカットされたのは残念)

 そしてこの後、仙汰もまた密かに抱えていた浅ェ門というお役目への葛藤と、そこから生まれた杠への憧れ――それを「少し」としつこく強調しつつ、佐切が共感するのにも納得――が描かれるわけですが、今回のサブタイトルの由来であろう、山積みの生首を蹴飛ばして、降りしきる首を傘回しで弾き飛ばすという、仙汰の中の杠のイメージシーンは、文章にすると「仙ちゃん、いくら杠担の強火オタだからって、相当鬱憤が溜まってたんだな……」と心配になりますが、画にしてみると、確かに不思議な解放感があるのは、これもアニメならではの説得力というべきでしょう。

 その後の絶望的な彼の姿の見せ方もまた、動きと声のあるアニメならではのものなのですが……


 そしてムーダンが巨大な鬼尸解を遂げ、さらなる絶望的な状況となったところで、その絶望を文字通り叩き斬る士恩が、粋男度をさらにアップして登場! という、最高に盛り上がる場面で、次回に続きます。
(そういえば、主人公はこのまま鼻血を出して人事不省のまま、アニメが終わるのでしょうか……)


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