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2023.10.20

『るろうに剣心』 第十六話「理想の男」

 自分の誘いを断った剣心に襲いかかる雷十太だが、剣心に刀を折られ、その場は引き下がる。翌日、神谷道場を訪れ、弥彦に勝負を挑む由太郎。しかし彼の竹刀の持ち方がデタラメなのを見た薫は、由太郎に剣術を教える。道場に馴染んでいくものの、雷十太の下で強くなりたいと語る由太郎だが……

 雷十太編の第二回となった今回、アバンがほぼ丸々前回の振り返りだったのはもったいない気もしますが、本編では冒頭から雷十太が凄まじい勢いで剣心に襲いかかります。この辺りの、力任せのような、ちゃんと技があるような――という動きはなかなか面白いですが、刀を折られて引き下がるのは、ギリギリ大物の対面を守ったムーブというべきでしょうか。

 しかし今回のメインは、雷十太よりも弟子の由太郎の方。前回はイキリまくった小僧という感じでしたが、今回はそんな彼が何故強さを求め、雷十太の弟子になったか、そして神谷道場の人びととの交流が描かれることになります。
 そもそも由太郎が神谷道場に足を踏み入れることになったのは、弥彦と勝負するためでしたが、そこで竹刀の持ち方を知らないことがバレてしまう――という展開は、それだけで彼が置かれている境遇や彼のキャラクターが現れていて、今見ても秀逸と感じます。

 そんな彼が、薫や弥彦と交流するうちに――というのは実に微笑ましくも、それ自体が雷十太の思想のアンチテーゼとなっているのが興味深いのですが、しかし彼が強くなろうとする理由は、それなりに「明治」を感じさせるものといえるでしょう。
 士族の出でありつつも商人の道を選び、そして強盗に襲われても土下座するしかない――そんな父を見返し、士族として生きるためというのは、ある意味弥彦とは対照的な理由。そこで彼が出会ったのが雷十太ではなく、剣心たちであったなら――この先の展開を見れば、そう思わざるを得ません。

 そう、雷十太にとっては由太郎はスポンサーの子に過ぎず、そして知り合ったきっかけである強盗から救ったのも、仕込みだった――やっぱり比留間兄弟並みの悪知恵の持ち主だった雷十太ですが、しかし技だけは一流。『るろうに剣心』の中でも純粋な遠距離剣術(という言葉があるのかどうか)である「飛飯綱」がついに炸裂であります。
 仕掛けがあるわけではなく(少なくとも原作の時点では)、純粋に剣の振りだけで旋風を起こして空を裂き斬るこの技を、独学で会得したらしいのは驚きですが、しかし剣心に放ったのは避けられ、由太郎に当たってしまったのは色々な意味で大誤算。原作のように「生き地獄を味わわせてやる」とまでは言われなかったものの、抜刀斎の地が出た剣心を前に、ついに冷や汗タラリ――次回、本当に地獄を味わうことになるのか、それともアニメオリジナル描写で面目を保つのか、雷十太というキャラクターの未来がかかっているだけに必見です。


 と、途中で気付いたのですが、原作で神谷道場を襲撃した弟子四人は、このアニメ版ではカット。なくてもそれなりに繋がる展開なので、スピードアップのためなのかもしれませんが(そしてこういうアレンジは大歓迎なのですが)――ということは本作の雷十太、もしかして同志ゼロ?
 一部にはそれなりにあった人望も失われた(ように見えてしまう)雷十太が、次回どのような決着を迎えるのか、心配というか楽しみというか……


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