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2023.10.01

やまざき貴子『LEGAの13』第4巻

 16世紀末のイタリアを舞台に繰り広げられる絢爛な錬金術伝奇もいよいよ後半に突入、物語は大きく動き出します。元首の監禁からようやく解放されるかと思いきや、次の元首の囚われ人となったレガーレは、軟禁先の島で、奇妙な老人と出会うことになります。そして懐かしい友人たちにも……

 薬師の父・ゲオルグの下で薬師見習いをしながらも密かに錬金術の研究を行っていたのが露見し、ヴェネチアの元首パスクアーレの下に監禁されて黄金作りの研究を強制されることとなった青年・レガーレ。
 しかし囚われ人といいつつもマイペースに研究を続け、時に外の世界にも抜け出していたレガーレの運命にも、大きな転機が訪れることになります。

 パスクアーレが陰謀によって失脚、新たな元首マリーノによって、厳重な監視の下で黄金作りの研究を強いられるレガーレ。しかし元首の妻・カテリーナと思わぬ関わりを持ったことから、ひとまず元首の監視下からは離れることに……


 ここでレガーレが過ごすことになったのは、孤島にある変わり者の学者ネピ・ロマーノの屋敷。最初のエピソード「変な爺ィ」では、彼はネピの執事だというセバスチアーノに、次々と謎かけを出されることになります。
 その一方で、ネピの美しい二人の姪から、どちらが早く彼を落とすかの賭けの対象とされるなど、相変わらず美女に縁があるレガーレ。そして変な爺ィの謎かけと美女二人の鞘当てが思わぬところで結びつき、彼の運命を大きく動かすことになるのです。

 前巻では牢獄に放り込まれた末に、元首が変わったことで周囲の人々からも引き離され、一際孤独な状態に置かれたレガーレですが――この巻ではネピ・ロマーノという新たな知己を得たことで、一気に状況は好転していくことになります。
 実はネピこそはゲオルグの旧友であり、彼の過去を知る人物。大学で天文学と幾何学の教鞭を取る彼がいわば後見人となったことで、レガーレの人生は、そして彼の錬金術の研究は、大きく前進することになるのですから。

 そしてその好転は、次のエピソード「ロマーノの魔女」でも続きます。美女たちとの鞘当ての最中にホレ薬(と称する蒸留酒)を作り出したレガーレ。ネピの後見で、魔女に扮してこのホレ薬を売り出したレガーレですが、そこに客として現れたのは、トルコの商人・クリストバルと、その右腕であるオルベテロの二人――いずれもレガーレとは縁浅からぬ若者たちであります。

 かつて道ならぬ恋に悩む最中、レガーレと出会い救われた、彼の悪友・クリストバル。レガーレの弟子となり、献身的に仕えるも、彼が牢獄に入れられたため引き離されたピエロ・オルベテロ。
 それぞれ、レガーレが腹蔵なく語り合える(=安心してバカをできる)友人たちの登場は、これまで自分よりも立場が上の存在に翻弄されることが多かったレガーレにとって、大きな救いと感じられます。

 そしてこの出会いは、思わぬ形でレガーレの運命を変えることになります。不慮の事故で重傷を負ったクリストバルを救うため、レガーレが作りだし使った薬、それは錬金術師であれば誰もが夢見るもので……


 しかし好事魔多し――この巻のラストエピソード「仮面」で、胸を張って久しぶりにヴェネチアを訪れたレガーレ一行(素顔を隠すために仮面をつけて市場をぶらつく三人が、普通の若者っぽくてイイ)ですが、待ち受けていたのは意外な決定。
 さらに自分の正体を知るらしい仮面の暗殺者に狙われ、逃げ込んだ貧民街の少年を救ったことで、レガーレは魔女として捕らわれることに……

 一難去ってまた一難どころではない運命の変転に晒されるレガーレですが、しかしこれは真実に向かう第一歩。ヴェネツィアを離れ、ゲオルグとネピが若き日を過ごし、そして今また、行方不明のゲオルグが目撃されたというフィレンツェへ――仲間たちとともに、レガーレの新たな旅が始まります。


『LEGAの13』第4巻(やまざき貴子 小学館フラワーコミックスα) 

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