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2023.12.17

『るろうに剣心』 第二十四話「明治十一年五月十四日」

 斎藤の背後にいた大久保利通から事の次第を聞かされる剣心たち。京都で政府転覆のため暗躍する志々雄真実なる男を止めてほしいと語る大久保に、身勝手だと憤る仲間たちだが、剣心は明確な言葉を出さない。そして一週間後、大久保に剣心が回答することになっていた明治十一年五月十四日が訪れる……

 というわけで二クール放映された本作も今回で終幕。激しいバトルは前回まで(激しく殺害された人はいましたが)、今回は基本的に静かな展開で、今後に続く物語が語られることになります。が、内容的には前回・前々回同様、原作をほぼ忠実になぞっているため、原作読者にとっては改めて語りづらいというのが正直なところであります。
(剣心用に首輪・痺れ薬を持ち込む恵のハードなナニっぷりがカットされたのはまあ仕方ないとして――そういえば前回は剣心の鎖プレイ疑惑もカットされましたが、まあこれも残当)
 せめて、抹殺されかかる前の志々雄の姿はここでオリジナルでよいので描いてもよかったのでは――と思いますが、それは今後のために取っておくということなのでしょう。

 そんな原作既読者の重箱の隅つつきは置いておいて改めて見てみると、剣心組の皆さんの大久保・川路に対する反論がいちいちごもっとも過ぎてなかなか楽しい。この中では直接的に新政府に恨みがある左之助は置いておくとしても、ある意味一番フラットな立場の弥彦の「お子様の俺にはよくわかんねーけど(中略)オッサン達ちとおかしいぜ」という言葉が、やはりダイレクトに響くところであります。
 そもそもここでは非常に理想的で高潔な政治家として描かれた大久保も、まあ幕末の頃は極悪非道の限りを尽くした挙げ句に縮地使いの御庭番に手も足も出ずに叩きのめされて逃げ出した色々と後ろ暗いことがあったわけで、まさにその具現化というべき志々雄を、その前任者である抜刀斎に殺させようというのは、まあ明治の御代だというのに随分と幕末思考というほかありません。
(すぐそばに幕末以来まだまだ青春真っ只中で悪・即・斬とか言ってる人がいますが……)

 そして一週間後の明治十一年五月十四日――この日に何が起きたかは作中で描かれていますが、これまで直接的に(リアルタイムでは)歴史上の事件と接点を持ってこなかった物語が、ここにおいて初めて交わるというのはやはり盛り上がるところであります。幕末史の裏側で生きてきた者たちが明治史の表側に一瞬顔を出し、そして再び歴史の裏側に消えていく――それをもって東京編の、そして今回のアニメの最終回とするのは、それなりに納得がいくところではあります。

 そしてエンディングと共に剣心と薫の別れが描かれ(ここで薫の抱きしめ方が原作と違うのが何というか興味深い)、物語はひとまずの終わりを迎えるわけですが――ここで蒼紫・操・比古清十郎・宗次郎・志々雄の台詞が入るのは良いものの、志々雄以外は映像なしでただ流しただけなのは、もうちょっと何とかして欲しかった、というのが正直なところではあります。
 折角の第二期の期待を煽る最高の機会であったのに――と、一番早いTV放送時には二期の発表はされていなかったのである意味仕方ないのですが、それはそれとして。(ジャンプフェスタ合わせとはいえ、これもちょっと)


 と、最終回だというのに厳しいことばかり書いてしまいましたが、今回のアニメ化は、もう少しテンポアップしてよかったのではと思う部分は多々あるものの(二クールで丁度東京編を終わらすためには必要だったというのもわかるのですが)、特に黒碕薫脚本回の原作アレンジの面白さは強く印象に残るところで、今回のアニメ化で何を目指していたかは理解できたところではあります。
 その一方で作画パワー的には色々と不安になる部分も多く、これからバトルに次ぐバトルの京都編は、もっとパワーアップしてほしいと心から願う次第です。
(実は私は旧アニメ版はほぼ観ていないので比較はしませんが、やはり観ている人は絶対比較するので……)


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