栗美あい『白花繚乱 白き少女と天才軍師』第2巻 援軍、将らしくない将と破天荒な快男児(!?)と
田中芳樹の『奔流』の漫画化――「梁山伯と祝英台」を大胆にも戦記ものとミックスしてみせた物語の第二巻であります。魏軍に攻められ孤立した河南城に対し、祝英台と共に救援に向かう知将・陳慶之の策とは、そして祝英台は兄と再会することができるのか!?
六世紀初頭の南北朝時代、国境で激しくぶつかり合う梁と魏。そんな中、梁軍の軍営に兄を訪ねてきた白衣の「少年」・祝英台は、およそ軍人らしくない将軍・陳慶之と出会います。
彼に手を貸して予州に入り、魏の中山王・元英の軍と戦うことになった祝英台ですが――そこに、梁が奪取した河南城から急報が入るのでした。
元英の腹心にしてその武名を轟かす楊大眼の軍に包囲された河南城。その知らせの筆跡が、自分が探す兄・梁山伯のものだと知った祝英台は、救援に向かおうとするのですが、しかし予州の兵力にも余裕はなく……
という展開から始まるこの第二巻ですが、ここでも冴え渡るのは陳慶之の知略であります。
楊大眼の妻であり、自らも武人の(そして美形に目がない)藩宝珠が虎視眈々と狙う中、はたして予州から如何にして脱出し、河南城に向かうのか。そして、戦力を割く余裕がない中で、いかなる救援を行うのか。そして河南城を包囲する楊大眼の大軍を如何にして打ち破るのか?
どれ一つとっても難題である中で、それをいとも容易く陳慶之が解決してみせるのが、この巻の見せ場であることはいうまでもないでしょう。
特に河南城に送られた救援の内実を知ったときには、そのある種の豪快さに思わず笑顔になってしまうのですが――それも将らしくない将である陳慶之と、破天荒な快男児(!?)祝英台のコンビあってこそというべきかもしれません。
そしてまた、城を脱出する際、ある扮装をした祝英台と藩宝珠が遭遇するくだりは、こちらは非常に少女漫画的なシチュエーションではあるのですが、相手が勇猛にして艶麗な藩宝珠だからこそ、意味あるものに感じられるところであります。
(そしてまた、いずれ明かされるであろう祝英台の真実と照らし合わせた時にも……)
ただ、本作の場合、やはりどうしても軍記ものとして見ると絵柄的に軽さが出てしまっているのも確かなところではあって、ロマンスとして見た場合にはそれが合っているだけに、難しいところではあります。
何はともあれ、奇策に次ぐ奇策の末に、河南城の将兵の救援には成功した二人ですが、しかし祝英台にとっては思わぬ悲報が舞い込むことになります。
まだまだ戦いから抜け出せぬ祝英台を待つものは何か――この巻のラストのエピソードでは、単純に悪役・敵役とも言い難い元英の姿も描かれ、まだまだ物語はどこに落着するか見えないのであります。
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