「コミック乱ツインズ」2024年2月号(その二)
今年最初の「コミック乱ツインズ」2月号の紹介の続きです。
『風雲ピヨもっこす』(森本サンゴ)
シリーズ連載の本作ですが、ここ数回、やたらと印象に残るのが、ピヨ一家(?)の母・ピヨでっぷりの存在。ピヨもっこすの様子を見に行った家族が戻ってこないのに業を煮やして自分もやってきたピヨでっぷりですが、今回はその彼女とピヨもっこすの京見物――といっても当然ながら平和に終わるはずがありません。
押し込み、拐かしと物騒極まりない京ですが、そんな悪党たちよりも一目でより物騒とわかるピヨでっぷりの暴れっぷりが実に素晴らしい。特に三人の押し込みを相手にしてのアクションは、わずか一ページ、いや実質三コマの中で激しい動きを感じさせるもので、漫画表現というもののセンスを感じさせてくれます。
しかし確かにピヨ一家のサイズ感は謎――女性の方が体が大きくなる種族なのかしら。
『江戸の不倫は死の香り』(山口譲司)
不義密通が毎回悲惨な結末を招く様を描くエロ残酷物語というべき本作――今回冒頭で描かれるのは、古道具屋を訪れて刀を探す冴えない中年の男。店の主人が出してきた刀を手にした男は、その刀を抜くと――という、見るからに不穏な場面から始まります。
そして時を遡って描かれるのは、この男、水油商・越後屋の主人・大介の物語。十三歳年が離れた女郎・お兼を妻に迎えた大介ですが、真面目で気が弱く、男っぷりも悪い大介にお兼が満足するはずもなく――と、見ているだけでお腹が痛くなる展開であります。
そしてその果てに冒頭に繋がるわけですが――基本的に不義密通の果てに人殺しをして獄門、というパターンが多い本作。たまには違うパターンを見たいと思っていましたが、こういうのじゃない、こういうのじゃないんだ……! と心をかきむしられるような結末であります。
『真剣にシす』(盛田賢司&河端ジュン一・西岡拓哉/グループSNE)
大坂城での大塩平八郎との勝負もいよいよスタート、カードゲーム「蔵騒動」での対決が始まります。
金・銀・陶磁器・米・銃・酒の六種類の品札を手札・場札にして行われるこのゲーム、要はそれぞれ点数が設定された品札をできるだけ集めて、より高い点数を集めれば勝ち――ではありますが、この場合非常に面白いのは、ゲームで取った品札と同じものをもらうことができる、という点でしょう。
(ちなみに今回の勝負、ちょっと手札と場札の区別が付きにくいところを除けば比較的状況もわかりやすく、ルールの複雑さもちょうど良いくらいで、これまでのゲームの中でも出色かと感じます)
相手のプレイヤーが大塩平八郎とくればなんとなく想像できますが、彼が狙うのは金と米と銃――ゲームに勝つだけでなく実際に蜂起のための物資までもらえるのですから、彼にとっては一挙両得でしょう。というか、ルール紹介の時点からそんな気がしていましたが、これはどう考えても主催者が大塩を煽っているのでは……
審判のビジュアル的に京の香りがしますし、天下博徒御前試合を利用して倒幕とか企んでない? といささか心配になってきました。
それはさておき、ゲームは大塩優勢、それどころか大塩にスカウトされてしまった夜市ですが、今回わざわざ酒の札を集めているのは、前回の描写合わせて考えれば、もちろん伏線なのでしょう。さて、それが次回炸裂するのか?
『殺っちゃえ!! 宇喜多さん』(重野なおき)
案外楽勝かと思えば激戦が続く三村元親戦、父子ともどもに苦しめられる形になった直家ですが、謀略家の常か、正面からの力押しに弱いということでしょうか。
もっとも、彼は一人で戦っているわけではありません。昔から彼を支えてきた異母弟・忠家――普段は兄の言動のツッコミ役、というより不用意なことを口にして粛正されかけ役というべき彼が、ついに本領を発揮するようですが……
直家と対照的な存在として描かれてきた三村元親もこれから前面に出てくるものと思われますし、まだ一山二山はありそうです。
次号は表紙が『前巷説百物語』、巻頭カラーが『江戸の不倫は死の香り』とのことです。
(しかし今号、いわゆる剣豪が主人公の作品が『鬼役』のみというのが、ある意味本誌らしくてなかなか印象的ではあります)
「コミック乱ツインズ」2024年2月号(リイド社) Amazon
関連記事
「コミック乱ツインズ」2024年1月号
| 固定リンク
