第2回新潟国際アニメーション映画祭 オールナイト時代劇アニメ特集(その一)
3/19夜に開催された第2回新潟国際アニメーション映画祭のオールナイト時代劇アニメ特集に行ってまいりました。上映作品自体もさることながら、目玉はなんといってもトークイベント――會川昇×虚淵玄「時代劇アニメの魅力、ファンタジー全盛期のいま作られるべきものとは?」であります。
結果として虚淵氏はリモート参加だったのが残念ではありましたが、代わりに途中から『REVENGER』の脚本を担当したニトロプラスの大樹連司氏の参加もあり、あっという間の一時間半でした。
全体の流れを追った記事は既に他のサイトに掲載されているので、個人的に印象に残ったものを箇条書きします。
(以下 會:會川昇、虚:虚淵玄、大:大樹連司 各氏の略)
○時代劇への思い入れについて
虚:他のアニメにはないような暗さが許されるのが時代劇。後は人の命の軽さ。日常の脇で人が死ぬという世界でのドラマツルギーに興味がある。
會:時代劇アニメは多いが、うねりになっていないというのが今回整理してみての感想。単発でヒットしても、それに続く作品がなく、ジャンルにならない。
〇資料の「日本・時代劇アニメ年表」を見ながら
會:『カムイの剣』や『浮浪雲』は時代劇に拘りのある虫プロ・マッドハウスのスタッフが作った。その前に『佐武と市捕物控』もあった。その流れが『獣兵衛忍風帖』に帰結している。我々の世代にはその影響から逃れられていないところがある。
會:OVAは川尻善昭が作った歴史といえる。『妖獣都市』一本がOVAを代表していると言っても過言ではない。大人向けに面白いものをちゃんとつくるのはこういうことだ、と作られてしまった。さらに『獣兵衛忍風帖』がバーンと出てて、これを見たかったんでしょと言われたら、こちらとしてはもう何も言えない。
會:その一方で忍者ものアニメの完成版はまだないと思う。山田風太郎の映像化も『バジリスク』くらいしかない。『獣兵衛忍風帖』で山風的なものをやってしまったので、忍者ものはもうできなくなったという印象があるのかもしれない。
〇『REVENGER』について
虚:『REVENGER』は「あのスタイル」の時代劇をアニメ化したいというリードがあった企画。テンプレートがあったので企画段階では苦労はなかった。
會:同じニトロプラスで時代劇的なものとして『刀剣乱舞』があるが、そちらで培われたものがあるか?
虚:『刀剣乱舞』は継続的に愛されるコンテンツなのでキャラを使い切るのはNG。『REVENGER』はそういう縛りがない。人の命が燃え尽きていくというドラマツルギーを描いた。
會:あのラストは最初から決まっていたのか?
虚:キャラ設定の初期から決まっていた。
大:僕はアニメ時代劇の原体験は『るろうに剣心』だった。
會:『るろうに剣心』は他に時代劇がない時代にジャンプでいきなり始まったが、時代劇慣れない世代としてはどうだったか?
大:中学生には刀好きのDNAがある。西洋ファンタジーゲームにもサムライがいてムラマサとか出てくる。だから受け入れていたのでは。
會:『REVENGER』はパラレルではなく本当の歴史でやろうと思わなかったか?
虚:アニメなので実写ではやれないような嘘を作りたかった。ロケできないだろうという絵を作りたかった。
虚:今後ますます厳しくなるかもしれないが、時代劇はポリコレと絶望的に相性が悪い。女性が活躍できない。今回は開き直って男だらけにしたが、世界観があるゆえの女性キャラの動かしにくさがあった。
會:そこはパラレルワールドということでできるのでは。
虚:我々の価値観からずれたディストピアな世界で物語を作るのは外したくなかった。
〇これからの時代劇アニメ
會:やっと日本の時代劇アニメはこう作らなければならないというのが抜けてきたのではないか。マッドハウス的なものと関係なく、自分のテーマを描くのに時代劇を選ぶというようになってきた。選択肢の一つとして気楽に選べるジャンルになればいい
虚:『鬼滅の刃』や『ゴールデンカムイ』のような、ディストピア封建社会から外れた祝祭的な世界は自分の中からは出てこない。その点で殺し屋ものは渡りに船だった。
會:大樹さんは祝祭感があるものは認められるか?
大:物心ついた時のTV時代劇は、もう『水戸黄門』や『暴れん坊将軍』だけだった世代なので、そもそも暗いという印象がない。
個別の作品についてのコメント(と各作品への私個人の感想)は次回に掲載します。
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