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2024.03.21

第2回新潟国際アニメーション映画祭 オールナイト時代劇アニメ特集(その二)

 第2回新潟国際アニメーション映画祭のオールナイト時代劇アニメ特集――そのうち、トークイベントの概要について前回触れましたが、今回は上映作品についての會川昇氏をはじめとするコメントと、私自身の作品を観ての感想です。

◯今回の上映作品について
會:『ストレンヂア』は『獣兵衛忍風帖』のあと、時代劇アニメでもっともパラダイムシフトを起こした作品。物語がチャンバラをするためのものになっている。
會:『レッド・サン』や『EAST MEETS WEST』『ウエスタン武芸帳』のように西部劇と時代劇がクロスオーバーした作品はあるが、本作はその逆の構図となっているのが素晴らしい。
會:一番素晴らしいのは、昔のアニメはどこかで実写の様式美に囚われ、実写を模倣したアクションになっていた。描こうと思えば動きを全部描けるのに、省略してしまうなど。『ストレンヂア』はそれがなく、アクションが全て次に繋がっている。
會:何故パラダイムシフトかというと、これを見てこんなのは出来ないと皆手を引いてしまった作品だから。
虚:15年前に『ストレンヂア』を見た時は脚本に乗り切れなかった。冒頭から自分が期待するものからどんどんずれていた。それがわかって観てみると凄まじく面白い。

會:『機巧奇傳ヒヲウ戦記』は今回全話リマスターされたが、第21話は内容的に第二部第一回という感じなので、ここから見ても大丈夫なのでは、と選んだ。また、後にコンビを組む水島精二さんがコンテを描いている回でもある。

會:『妖刀伝』は正直今見ると厳しいところはある。若い人がはしゃいで作っているので、真面目に観ると恥ずかしいかもしれない。

會:『少年猿飛佐助』はあくまでも記念碑的なものとして見てもらおうと思ったが、見直してみると美術が凄い。こんなのは見たことがないというレベルの美術が続く。ディズニー的なものを日本が作るとどうなるのか、という試みによるもの。


 最後に(作品の紹介については個別の記事にしているものもあるので)、今回の上映作品について簡単に私の感想を書かせていただきます。


『ストレンヂア 無皇刃譚』
 上で触れたパラダイムシフトという言葉を聞いた後では、凄まじいアクションの意味に、大いに納得できるものがあります(敵が中国の剣士というのも、そのアクションを成立させるための工夫なのでしょう)。
 ただ、実は初めて観た時から感じていた(以前書いた記事では触れていませんが)、うまく言語化できないモヤモヤが、今回も解消されず。ストーリーの方向性ではなく、クライマックスの主人公の立ち回りが、二つの勢力があらかた潰し合いをした後なのが、物語展開的にスッキリしないのかも……

 個人的に完全に勘違いをしていたのに気づいたのはラストシーン。仔太郎は(名無しがアレしたのに気づいて)泣き顔になってると思い込んでいましたが、笑っていましたね。


『機巧奇傳ヒヲウ戦記』第21話
 冒頭から寺田屋事件(薩摩の同士討ちの方)といういきなり濃いエピソードなのに改めて驚く今回。いつものことながらアバンタイトルの濃度はものすごいものがあります。

 本編については以前紹介をした記事ではあまり良くは書いていなかったのですが、正直なところ観直しても印象は変わらず――しかし振り返ってみると、結構その時の気分でものを言っている高杉の大人気なさがいちいちおかしい(そしてそれがまた高杉らしい)。
 しかしジョウブが自分の三味線に合わせてカラクリ人形を踊らせたのに気分を害するくだりが、クライマックスである第25話のラストシーンに繋がるかと思うとグッと来ます。

 グッと来るといえば、エンディング曲はやはり名曲――涙腺を刺激させられました。


『劇場版 戦国奇譚妖刀伝』
 劇場版は初見でしたが、特に第三話がかなり端折られている印象で、トークイベントで會川氏が語っていた、アニメに初めて登場した織田信雄がカットされたのは残念。
 内容やビジュアル、演出などは――一言でいえば、「あの頃のOVA」そのものという感じで、その集大成作品だったと改めて感じます。そして、それと同時に、作り手たちにとっての時代劇観の集大成だったとも。そこには確かに一つのジャンルに対する愛と熱意が感じられます。

 しかし確かに言われてみれば綾之介は猛烈に鳴海丈キャラです。この頃から既に……


『少年猿飛佐助』
 初見。正直なところ、オールナイトの最後に見るにはなかなか厳しいものがありました(特に動物周りのシーン。この辺りは白雪姫を意識しているのかな、と思いますが)。
 しかし確かに背景美術は何だか怖くなるほど――同時代の他の作品とレベル・方向性が違いすぎて――素晴らしく、冒頭から驚かされます。オオサンショウウオが潜む湖のシーンは、水の質感だけで本当の意味で怖い。

 そして怖いといえば悪役の夜叉姫――怨念で捻じ曲がった女の悪霊という設定を見事に体現したキャラで、こればかりはディズニーを超えたと感じます。山賊の親分とのじめっとしたやり取りも厭に印象に残りました。


 というわけでトークイベントといい、オールナイト上映といい、非常に得難い機会だった今回。特に會川氏の、ファンでありクリエイターである視点からの時代劇アニメ史観は目から鱗で、大いに刺激を受けました。
 個人的には他のメディアの時代劇をレイヤーとして重ねると色々と面白いのではないかと感じているので、いずれ自分なりに調べてみたいと考えています。

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