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2024.04.28

モコ『化け絵 石燕妖怪噺』第2巻

 老境の鳥山石燕が、飛頭蛮(ろくろ首)の女性と生活を共にしながら様々な妖怪と出会う、ショート妖怪漫画集の第二巻にして最終巻です。可笑しいもの恐ろしいもの哀しいもの、今日も今日とて石燕は様々な妖怪と関わりを持ち、絵に残すことになります。

 ある晩、一夜を過ごした吉原で飛頭蛮(ろくろ首)の遊女・お遊と出会い、彼女を身請けした石燕。人間と妖怪と関係なく、仲睦まじまく暮らす二人ですが、そのためか、石燕の前には様々な妖怪たちが姿を現すことになります。
 かくて、石燕やお遊、弟子の北川豊章(後の喜多川歌麿)は、妖怪が引き起こす騒動に次々と巻き込まれることに……

 という基本設定の本作ですが、今回も石燕は様々な妖怪と出会うことになります。
 岸涯小僧・貉・濡れ女・逆柱・機尋・火間虫入道・返魂香・鳴釜・雪女・しょうけら・面霊気・小袖の手・野槌・鉄鼠・雲外鏡・ぬらりひょん・宝船――
 収録された全十七話は、今回も一話八ページということで良くも悪くもあっさり目の味付けなのですが、その中で各回の妖怪の特色を出し、石燕らと絡めることでドラマを生み出しているのは、なかなか大変な試みだったのではないかと感じます。


 その中で幾つか特に印象に残ったエピソードを挙げましょう。

「機尋」
 町中で迷子の子供と出会い、家に連れ帰った石燕。聞けば五年前に行商に出たっきり帰ってこない父を探して、江戸に出てきたというのですが……
 よくある話のようでありながら、子供の身なりや話の内容に、どこか不自然なものを感じさせられていると、それが――という一編。イイ話が多めでも、怖い話もしっかり含まれているのが、本作の面白さかもしれません。

「野槌」
 子供の寄り道にいちいち目くじらを立てる寺子屋の先生。その教え子の弟が、野槌を探して行方不明になったと聞いた先生は……
 ツチノコの元祖(?)として有名な野槌ですが、本作はその野槌を変化球で描いた作品。直接登場するわけではない野槌が、現在に残す暗い影の存在を描いて、何とも言えない後味を残します。

「雲外鏡」
 酔っ払って寝てしまった石燕の横で一枚の鏡を見つけたお遊。実は妖怪だったその鏡の中にお遊が閉じ込められてしまう一方で、偽物のお遊は石燕にしなだれかかって……
 本作の特徴の一つである、石燕とお遊の大人の関係を活かした一編。偽物が石燕に迫っていく描写がなかなか色っぽく、その様を見せられる本物のお遊さんにとっては災難以外ではないのですが――そこで偽物に対して石燕が見せる態度が何とも心憎い。オチのちょっと艶っぽい一ひねりも、どこか微笑ましさを感じさせます。


 といったところで、ラストはやはりこれしかない、という(石燕の四冊目にして最後の妖怪画集『百鬼徒然袋』の掉尾を飾る)「宝船」で幕を下ろす本作。
 正直なところ、題材となる石燕の妖怪画も、石燕の周囲の人物もまだまだたくさんあるだけに、ここで終わるのは勿体無いのですが――しかし、賑やかで、同時にどこかあっけらかんとした味わいを残す内容は、本作にお相応しい大団円の姿であることは間違いないとも感じられます。


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