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2024.09.13

『君とゆきて咲く~新選組青春録~』  最終話「満開の花火の下で」

 坂本龍馬のもとに出入りしていたため、長州の間者疑惑をかけられた丘十郎。しかし幹部たちの会議の場で、伊東甲子太郎は長州から得た情報として、大作こそが真の間者であると明かす。しかし近藤は、かつて池田屋事件の際に見せた大作の誠を信じ、彼を逃がす。しかし土方は丘十郎に裏切り者を斬るよう命じて……

(以下、ドラマと原作の核心に触れますのでご了承下さい)

 いきなり丘十郎が長州の間者疑惑で捕らえられ、急展開で迎えた最終回。冒頭では土方・斎藤・原田・伊東・鈴木らが集まり、丘十郎についての会議が行われます。原田が吼え、斎藤が鋭く追求する中、伊東は実は桂から取り引きを持ちかけられ、自分が新選組を裏切ると見せかけて間者の正体を教えられたと明かします。
 その模様を廊下で立ち聞きしていた近藤は、丁度駆けつけた大作を怖い顔で捕まえ、屯所の外に引きずり出します。ああ、近藤もこのまま桂の策にはまり、大作を裏切り者として斬り捨てるのか、と悲しい気分で観ていると、意外にも近藤は大作に「ゆけ」と促します――あの池田屋事件の発端となった長州の密書を渡してくれたことで、お前の誠を知ったからだ、と告げて。微妙な表情の近藤、そして満面の笑みで見送る沖田を背に、大作は夜の闇に消えます。

 無罪放免となった丘十郎(しかし前回の引きは、全く意味がなかったことに――単なる鈴木の逆恨みだったということでしょうか)ですが、当然これで物語が終わるはずもありません。彼の前にに現れた土方は、大作こそが長州の間者であったと告げ、裏切り者を斬るよう命じます。
 原作でも土方は丘十郎に大作を斬れと命じますが、あちらは大義名分ばかりで人の情を感じさせない態度だったのに対し、こちらでは「俺は鬼の土方だ」と、本当の鬼が言いそうもないことを言います。勘の良い方であれば、ここでオッとなりますが……

 周囲の思惑はさておき、祭りで賑わう夜の町を、彷徨いながら、かつての大作との思い出に浸る丘十郎。そしてその前に現れた大作とともに、まるで何事もなかったように仲の良い友人らしく、二人は花火の下を歩きます。そして大作はそんな自分の状況をこう語ります。「夢を見ているのかもしれない。一度死んだ俺が見ている長い長い走馬灯」「君とゆくこの道を 満開の光の花が咲く中で……」

 しかし、人気のない場所に大作を誘った丘十郎は、大作に真実を問いかけます。それに対して、大作は庄内との関係を明かし、この時を待っていたと丘十郎に刃を向けます。どう考えても無理のある言葉ですが、しかしもう誰も彼を止めることはできません。そのまま激しく切り結び、互いに傷を負った二人ですが、最後には丘十郎の一刀に、大作が倒れることになります。そして観念したような大作に向けて、丘十郎は刃を振り下ろして……

 こうして物語は、ついに第一話冒頭で描かれた場面に戻ります。しかし丘十郎の刃は、大作には触れません。お前を斬ったら、俺の心は死ぬ――その丘十郎の言葉が、彼の想いを全て物語っているといえるでしょう。
 それでも、二人が共に逃げることはできません。それは大作が、丘十郎に最もさせたくない生き方だから――それを悟った丘十郎はその場から一人去ります――己の心を斬ってきた刀を置いて。

 その頃、土方は近藤や沖田と共に、丘十郎と大作の行方を語ります。やはり二人が新選組を去ることを予期していた土方は、まさか二人がこんなややこしい状況で斬り合っていたとは思っていないでしょう。それはともかく、「本当の友は斬れない」と語る彼は、芹沢の最期という呪いを乗り越えたように感じられます。

 そして、龍馬の手引きで海を越え、海外へと旅立つ丘十郎。一方、残された大作の前には、桂が現れます。もう気が済んだじゃろ、と声をかける彼の真意は――さすがにあれだけやらかした大作を無罪放免とは思えませんが、なんとなく見逃しそうな気がしないでもありません。というか、二人のことつけてたのかこの人……
 この状況で、果たして二人が再び巡り会えるかはわかりません。しかしこれが悲劇に終わった原作とはまた異なる、小さな希望の感じられる結末であることは間違いありません。(原作のラストでは激昂して丘十郎に斬りかかった桂も、また別の運命を辿ったといえます)


 二クールという長さを活かしきれていなかった点は色々とありますが、終わってみれば出演者たちの好演もあり、原作のアナザールートとして、楽しめる作品であったかと思います。
 上で引用した大作のセリフにも二周目感がある、というのはさすがにこじつけですが……


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