三人の少年たちの新たな一歩 安田剛士『青のミブロ 新選組編』第1巻
いよいよアニメ放送開始も一ヶ月後に迫った『青のミブロ』、その原作は本書より新選組編に突入します。芹沢鴨という巨大な存在を喪いながらも、「新選組」として大きな一歩を踏み出したミブロたち。その中で、三人の少年たちも、それぞれに大きな飛躍を遂げることになります。
巨大な壁であり、大いなる理想であった芹沢を死闘の末に倒し、心機一転「新選組」として活動を開始した若者たち。近藤・土方・沖田・藤堂・永倉・原田・山南――そんなお馴染みの面々に加えて、新たな仲間が加わります。
武田観柳斎、谷三十郎、松原忠司、安藤早太郎――色々な意味で今なおその名を残す豪傑たち(人によっては初登場場面で、さりげなくその後を予見させる言動が入るのが面白コワい。具体的には松原)を加え、組織としての偉容を整えた新選組。その中には、当然ながら三人の少年たちがいます。
それぞれの立場から芹沢暗殺に関わったにお、太郎、はじめ――背負ったもの、受け止めたものは決して軽くはありませんが、しかし新たな道を歩む決意にかけては、他の誰にも負けない三人です。
この巻では、そんな三人を中心に、比較的
短いエピソードを重ねる形で、新たなミブロ「新選組」の姿が語られていきます。
ガラス職人になるために新選組脱退を望む馬越三郎ににおが語る言葉、はじめと会津藩士・斎藤の意外な繋がり、剣士として意外な成長を見せる太郎の増上慢がきっかけで開催される剣術大会――いずれもユルさとテンポの良いギャグを交えつつも、同時に新選組もの、そして青春ものとして成立しているという、いつもながらのバランス感覚が楽しいところです。
特に剣術大会は、近藤と山南以外はほとんど全員参加という、ある意味夢のイベントですが、面白いのはトーナメントなどではなく、全員一斉に戦うバトルロイヤルという点でしょう。
たとえ強豪でも、集団であるいは死角から襲いかかられればひとたまりもない――そんな大番狂わせの連続のこの戦いですが、そんな中でもやはり注目は土方vs沖田、におvs太郎vsはじめの対決です。
この戦い、台風の目が三人の少年であることは言うまでもありませんが、初めから図抜けていたはじめ、永倉という師を得た太郎はともかく、におが剣士としての成長を見せるのは、物語冒頭から見ていた読者ほど意外に感じるかもしれません。
しかしここである人物が告げるにおの強みは、なるほどと納得のいくものであって、その言葉通りににおが成長したとしたら、かなり面白いことになりそうです。
しかしこの巻の終盤では、そんな新選組内の明るい雰囲気を吹き飛ばすような怪物が登場します。新選組隊士を次々と血祭りにあげる怪剣士の名は岡田以蔵。いうまでもなく土佐の人斬り以蔵、幕末四大人斬りのあの男です。
歴史に名を残すだけあって、これまで本作に登場してきた剣士たちとはまた別格の強さですが、その怪物の前に沖田総司が立ちます。いうまでもなく、彼もまた本作では別格の強さを誇る天才。激しく切り結ぶ天才と怪物ですが――その果てに、沖田は意外な言葉を語ります。
果たしてその意味するところとは――次巻は沖田の秘められた過去が語られることになりそうです。
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