舞台は再び前線へ 梁と魏それぞれの事情 栗美あい『白花繚乱 白き少女と天才軍師』第4巻
梁と北魏の戦いを名将と白衣の少女を通じて描く『白花繚乱』も、気がつけばもう第四巻。物語の舞台は建康から再び魏との戦いの最前線に移ります。梁も魏もそれぞれに事情を抱える中で繰り広げられる駆引きは、魏の要衝・合肥を巡って加熱します。その中で、祝英台の活躍は……
江南城からの撤退戦の中で行方不明となった梁山伯の捜索を直訴するために、戦況報告に向かう陳慶之とともに王都・建康に向かった祝英台。そして皇帝と謁見した祝英台は、皇帝の近臣たちの陰湿な妨害を受けながらも、豪放な将軍・曹景宗の助けもあり、皇帝から願ったものを勝ち取りました。
そしてこの巻の冒頭ではもう一つの願い、すなわち陳慶之の願い――白装束の騎馬隊を作るための白馬三百頭の最初の一頭に、祝英台は乗ることになります。
成り行きから皇帝と同乗することになった祝英台は、そこで一つの命を受けます。軍略は並ぶ者がない一方で、騎乗はからっきしの陳慶之のために、共に馬に乗ってほしい、と。
それに従い、陳慶之と共に再び最前線に向かうことになった祝英台。しかしその直後、建康では前皇帝・東昏侯の残党がテロを行い、祝英台たちも残党との戦いに巻き込まれて……
と、周囲の文官どもはさておき、非常にフレンドリーで物わかりの良い(良すぎて不安になるくらいの)皇帝の登場で、陳慶之たちの戦いに強力なバックアップが得られた一方で、梁の国内も一枚岩ではないことが明らかとなった建康でのエピソード。そしてこの残党の一件がきっかけとなって、皇帝は魏との再戦を陳慶之に命じます。
一方、一枚岩ではないのは魏の側も同じ。気弱な皇帝が周囲から操られる中、自ら率先して梁と戦うことを望む中山王ですが、彼が戦功を挙げるのを危ぶむ者たちによって、彼自身が前線に出ることを阻まれます。
かくして、それぞれに国内に不安を抱えながら、国境で再度激突する梁と魏。梁の主力として、韋叡の軍は、魏の要衝である合肥攻略に向かうものの、みすみす魏がそれを許すはずもありません。
そこで皇帝から韋叡を助けることを命じられた陳慶之の軍略が発揮されることになるのですが――というわけで、この巻の後半では、再び舞台は戦場に戻ることになります。
ちょっと身も蓋もないことを言ってしまえば、史実においては、この戦いでは韋叡が梁側の中心でした(というか陳慶之はこの頃、まだ前線に出ていなかったのでは……)。
そんな中で陳慶之を、そして祝英台を活躍させるには――というステージを用意してみせたここでの展開には、なかなか感心させられました。
さらに祝英台は、あの楊大業を向こうに回して、白馬に乗っての颯爽たる活躍が――と、ちょっと活躍しすぎな印象もありますが、上で述べたように本来では韋叡が主役だった戦場での二人の活躍を描くには、これくらい派手な方が良いのかもしれません。
もっとも、その韋叡の見せ場はこれから来るわけですが――その模様は次巻になります。
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