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2024.12.18

「コミック乱ツインズ」 2025年1月号(その一)

 号数の上では早くも2025年に入った今月の「コミック乱Twins」1月号、巻頭カラー&表紙は久々登場の『そば屋幻庵』です
。今回ほとんどレギュラー陣ですが、特別読切として『老媼茶話裏語』(小林裕和)が掲載されています。今回も、印象に残った作品を一つずつ紹介しましょう。

『そば屋幻庵』(かどたひろし&梶研吾)
 冒頭から非常に旨そうな力蕎麦(作中で言われている通り、柚子が実に良いかんじです)が登場する今回ですが、この力蕎麦、近々行われる力石大会の応援を込めたもの。しかしこれを食べた石工職人の岩蔵は、かねてから娘のお照と交際している天文学者の鈴平が気に入らず、大会で十位以内に入らないと交際は認めない、しかも自分のところの若い職人・剛太が一位になったら、そちらにお照をやる、などと言い出して……

 と、とんだ横暴親父もあったものですが、まあ職人としては、娘は手に職を持った男に嫁がせたいというのもわからないでもありません。しかし鈴平も、剛太も実に好青年で、一体この勝負の行方が気になるのですが――これが実にあっけらかんと意表を突いたオチがつくのが楽しい。悪人もなく、誰かが割りを食うわけでもない、本作らしい気持ちの良い結末です。(ただ、そばが冒頭のみだったのは残念)


『前巷説百物語』(日高建男&京極夏彦)
 「周防大蟆」編もこの第五回で最終回、前回は立合いの同心たちの口から、仇討ちの場に現れた大ガマの怪と仇討ちの結末が語られましたが、実は大ガマの存在はあくまでも目眩まし、真の仕掛けは――というわけで、又市と山崎の会話で、それが明かされます。
 前回、同心の口から、ガマは見届け人に退治され、そして岩見平七は見事に疋田伊織を相手に仇を討ったと語られましたが、前者はともかく、後者は望まれた結末ではなかったはず。それでは仕掛けは失敗したのかといえば――思いもよらぬトリックの存在が語られます。

 正直なところ大ガマ自体は(後年の又市の仕掛けと比べると)決して出来のいい仕掛けではないわけですが、本当の仕掛けはその先に、というのが面白い。そしてその中身は又市の青臭い、しかし後々にまで続いていく想いに支えられたものであったことが印象に残ります。
 もちろんこれは原作そのままではあるのですが、又市がこの仕掛けに辿り着くまでに、調べ、迷い、悩む姿が描かれるのは漫画オリジナルで、この時代なればのこその描写というべきでしょう。
(ちなみに問題のお世継ぎに対する山崎の言葉が、原作からはかなり大きく異なっているのはちょっと引っかかりますが、このずっと後に登場するある人物の存在を連想させるのは興味深いところです)

 それにしても今回冒頭に登場するおちかさんが、くるくる変わる表情など、相変わらず実に良いのですが――良ければ良いほど、この先を想像してしまい...…


『殺っちゃえ!! 宇喜多さん』(重野なおき)
 前回、一応主君である浦上宗景の奸計により、存在が毛利家にロックオンされてしまった直家。今回はその毛利家がメインとなり、直家はオチ要員で一コマ登場するのみというちょっと珍しい回となっています。

 そんな今回登場するのは、毛利元就の次の代の毛利家を支える「三本の矢」――毛利輝元・吉川元春・小早川隆景の三人。そして三人が直家をいかに攻めるか語り合うその場には、なんとあの三村元親が――と、ある意味タイムリーなビジュアルが懐かしいですが、この三人(というより隆景)を前にしてはレベルが違いすぎるのが哀れです。

 それはさておき、実際に直家を攻めるのは誰か――と思いきや、ここで登場するのは「四本目の矢」こと毛利元清! えらく渋好みのキャラですが、実際に直家とは死闘を繰り広げた好敵手ともいうべき人物です。
 しかし登場するなり突然自虐的過ぎることを言い出すのですが、これがなんとまあ史実とは……(隆景が理解者っぽいのも史実)


 残る作品は、次回紹介します。


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