2019.01.19

平谷美樹『百夜・百鬼夜行帖』 第10章の4『瓢箪お化け』 第10章の5『駒ヶ岳の山賊』 第10章の6『首無し鬼』


 北から来た美少女陰陽師の戦いを描く本作の第10章の後半のご紹介であります。これまでとは趣向を変えた箱根編もいよいよ佳境、倉田屋徳兵衛のお供をして箱根にやってきた百夜を迎えるのは温泉――だけではなく、もちろん怪異と、そして悪人たちとの戦いであります。

『瓢箪お化け』
 芦之湯に流れる怪異の噂――阿字ケ池弁天の杜に、瓢箪の形をした白いお化けが出没するというのであります。そこでおかしな気配を感じていた左吉は、百夜の命で肝試しに行く羽目になるのですが、果たして白いお化けに追われ、羽織を引っ張られるのでした。
 左吉の目撃譚からお化けの正体を察知して弁天社を訪れた百夜が明かす真実は……

 本シリーズの王道ともいうべき、怪異の正体探しが中心となる本作。手足を生やした瓢箪のような姿のお化けとはなかなかユーモラスですが、しかし夜道を追いかけられたら怖すぎる相手なのはいうまでもありません。
 この瓢箪、上側の膨らみが細長く、正面が平らという少々変わった形、そして下の膨らみには何やら文字のような模様が描かれているというのですが――そこから正体を推理するのは我々には困難ですが、百夜、そして徳兵衛ならではの推理には納得であります。

 しかし本作のクライマックスは、その正体を解き明かすために百夜が行った口寄せでの、左吉のリアクション。普段の脳天気さ、軽薄さとは裏腹の、情に厚い彼の姿が印象に残ります。
 そしてこの一件のきっかけとなった相手を退治することを宣言する百夜ですが――その成り行きは次回に。


『駒ヶ岳の山賊』
 瓢箪お化け出現のきっかけが、山賊の跳梁にあると知り、仇討ちを決意した百夜。しかし相手は箱根山中にいくつもの砦を構え、30名以上の手下を従えた凶悪な連中であります。数で遙かに勝る相手に対する、百夜の目論みとは……

 というわけで、前作を受けて山賊退治に立ち上がった百夜ですが、一人一人の戦闘力はともかく、数の上では敵とは相当の差があります。ここは旅先ということもあり、彼女の味方となる(だけの力を持つ)人間はいないのであります。人間は。

 ……と書いてしまえば想像はつくかと思いますが、ここで繰り広げられるのは、百夜が怪異を退治するのではなく、百夜と怪異が山賊を退治するという変則パターンのお話。
 これに関しては文字通りの自業自得とはいえ、恐怖の一夜を経験した挙げ句に百夜に成敗され、死ぬよりも恐ろしい目に遭わされる連中には、ほんのちょっぴりだけ同情であります。


『首無し鬼』
 箱根の麓、小田原の西の集落に、30年ぶりに出現した首のない大鬼。6メートル余りの黒い巨躯で、どこから出すのか箱根の山に向かって咆吼を上げる鬼に手を焼いた村人は、偶然帰路に通りかかった百夜に調伏を依頼するのでした。
 その正体は簡単に見抜いた百夜ですが、何故いま、そして何のために鬼は出現したのか? 鬼を追った百夜たちが見たものは……

 箱根編のラストを飾るのは、またもや奇妙な外見の怪異を巡る物語。鬼はこれまでも何度かシリーズに登場しましたが、今回は首のない鬼で、それが夕方に現れて咆吼を上げるというのですから(そしてそれがその村でしか聞こえないというのが実に面白い)、そのインパクトはかなりのものがあります。
 しかし物語の中心となるのは、鬼との対決ではなく、その鬼が出現した理由探しというのが、やはり本シリーズらしいところでしょう。正直なところ、終盤の展開はこれまでのエピソードと重なるところがあるのはちょっと気になるところですが……

 しかし、ラストに待ち受けているのは大事件の予感。果たして江戸で何が――そこで描かれるシリーズ最大の激闘については、また次回にご紹介いたします。


『百夜・百鬼夜行帖』(平谷美樹 小学館) 『瓢箪お化け』 Amazon /『駒ヶ岳の山賊』 Amazon /『首無し鬼』 Amazon
夢幻∞シリーズ 百夜・百鬼夜行帖58 瓢箪お化け 百夜・百鬼夜行帖シリーズ (九十九神曼荼羅シリーズ)夢幻∞シリーズ 百夜・百鬼夜行帖59 駒ヶ岳の山賊 百夜・百鬼夜行帖シリーズ (九十九神曼荼羅シリーズ)夢幻∞シリーズ 百夜・百鬼夜行帖60 首無し鬼 百夜・百鬼夜行帖シリーズ (九十九神曼荼羅シリーズ)


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2019.01.18

速水時貞『蝶撫の忍』第3巻 全面戦争、甲賀と伊賀 十vs十!


 覇王・信長の首を巡る甲賀と伊賀の争奪戦はいよいよヒートアップし、ついに最強の甲賀十忍衆と伊賀忍十座の全面戦争が開戦することになります。次々と命が消えていく中で、鱗と半坐、二人の若き忍びの運命は……

 信長暗殺の命を受けながら、信長と不思議な絆で結ばれ、本能寺の変の直後に甲賀を裏切ったくノ一・鱗。蝶の能力を模した凄まじい忍法を操る彼女を師・服部半蔵の命で謀り、捕らえた半坐ですが、しかし半蔵に欺かれたことを知り、彼も伊賀を離反するのでした。
 そして伊賀忍十座の一人・「蟻地獄」獅子丸を倒したものの、毒に倒れた鱗を救うため、甲賀十忍衆と結び、色里に潜伏した半坐。しかし色里は既に伊賀忍十座に包囲され、半坐は鱗を逃すために単身立ち向かうものの……

 というわけで、自分たちを遙かに上回る力を持つ甲賀と伊賀、双方の最強クラスのメンバーを相手にすることになった鱗と半坐。あまりに分の悪い戦いですが、しかしここで覇王の首の存在が、事態を大きく動かすことになります。
 そう、首の行方は、甲賀も伊賀も(というよりその背後の二人の武将が)等しく求めるもの。だとすれば甲賀と伊賀は不倶戴天の敵、並び立つことなし……

 かくて始まる甲賀十忍衆と伊賀忍十座の全面戦争。既に前の巻の時点で甲賀と伊賀の戦いは始まっていたといえますが、ここに正面衝突、忍者ものの華であるトーナメントバトルが開始されるのですから、もう盛り上がるほかありません。

 そもそも甲賀十忍衆とは、鱗の師である鬼多川無法をはじめ、天牛・蓮柔郎・「泡吹」伊呂波・「華潜」厳臓・「御器噛」巡魅・「ヤゴ」彦左衛門・「羽衣」嘉納菊之介・更紗・「蛍」灯の十人。
 そして伊賀忍十座は、「螻蛄」服部半蔵・「蟻地獄」獅子丸・「蝉」服部針蔵・「蜘蛛」綾乃・「糞転」蘭・「田鼈」燕・亀十郎・「蠅」旻七・百地丹波の面々。

 ここで「」の中身は、それぞれの忍法を象徴する昆虫の名ですがまだ明らかになっていないものも多く、そしてこちらの見落としでなければ、伊賀側は九人しか登場していないように思うのですが、それはさておき……
 やはりこうして一癖も二癖も――いやそれどころではない面々がずらりと並ぶと、やはり大いにワクワクさせられます。

 何よりも本作の最大の特徴である、忍者たちが繰り出す昆虫の能力・性質を模した忍法が、これまで以上に次々と飛び出すのがたまりません。
 自然界で昆虫たちが繰り広げる生存のための激しい争い。それを移し替えたような忍法バトルは、最強の遣い手たちによって、より激しく、より多種多様に繰り広げられるのであります。

 忍法が繰り出されるや、実在の昆虫の驚くべき能力を引いての解説が入るのは本作のパターンですが、その解説もまた、存分に楽しませていただきました。
(ちなみに今回炸裂した真蔵の忍法が期待通りのものだったのも楽しい)


 とはいえ、折角の最強メンバーが、技を見せた後は意外とあっさりと消えていったり(これはまあ、忍者ものの様式美と言えないこともありませんが)、鱗はともかく半坐が今ひとつ埋没してしまった感があったりと、少々もったいない部分はあります。

 それでもやはり、本作の楽しさは唯一無二。物語は終盤に入ってきたようですが、このままの勢いで突き進んでくれることを期待したいと思います。


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2019.01.15

「コミック乱ツインズ」2019年2月号


 今年初の「コミック乱ツインズ」誌、2019年2月号であります。表紙は『用心棒稼業』、巻頭カラーは『そば屋幻庵』――今回も印象に残った作品を一つずつ紹介いたします。

『そば屋幻庵』(かどたひろし&梶研吾)
 というわけで、『勘定吟味役異聞』がお休みの間、三号連続で掲載の本作。ある晩、幻庵の屋台の隣にやってきた天ぷら屋兄弟の屋台。旨いそば屋の横で商いすると天ぷら屋も繁盛すると商売を始めた二人ですが、やって来た客たちは天ぷら蕎麦にして食べ始め、幻庵の蕎麦の味つけが天ぷらに合わないと文句を付け始めて……

 もちろんこの騒動には黒幕が、というわけなのですが、それに対する幻庵の親爺こと玄太郎の切り返しが実にいい。「もう食べる前から旨いに決まっている!!」という登場人物の台詞に、心から共感であります。


『宗桂 飛翔の譜』(星野泰視&渡辺明)
 今回から新展開、本家から失われた初代・大橋宗桂の棋譜集を求めて、長崎に向かった宗桂。追いかけてきた平賀源内の口利きで、その棋譜集の今の持ち主であるオランダ商館長・イサークと対面した宗桂ですが、イサークは将棋勝負で勝てば返してやると……

 というわけで、ゲーム漫画ではある意味お馴染みの展開の今回。表紙で薔薇の花を手にしているイサークを見て感じた悪い予感通り、彼がオネエで宗桂の体を狙ってくる――という展開は本当にどうかと思いましたが、イサークの意外な強豪っぷりは、漫画的な設定でなかなか楽しい。
 何よりも、将棋に慣れていないというイサークが要求した八方桂(桂馬が前だけでなく八方向に桂馬飛びできる)という特殊なルールを活かしたバトルは、本作ならではの新鮮な面白さがあり、これなら源内も満足(?)。


『仕掛人藤枝梅安』(武村勇治&池波正太郎)
 「梅安迷い箸」の後編。料理茶屋での梅安の仕掛けを目撃しながらも、偽りの証言で結果的に梅安を救った女中・おとき。彼女の口を封じるか迷った梅安は、医者の方の仕事で、彼女の弟を治療することになるのですが……
 と、完璧に針のムシロの状況のおとき。すでに梅安の方は彼女を見逃すことに決めていたわけですが、そうとは知らぬ彼女にはもう同情するほかありません。(自分と)梅安のことを邪魔する奴は殺すマンとなった彦さんも久々に裏の住人っぽい顔をしているし。

 結末は梅安の私的制裁ではないか――という気もしますが、梅安・おとき・彦さんの微妙な(?)すれ違いがなかなか面白くもほろ苦いエピソードでした。


『カムヤライド』(久正人)
 連載1周年の今回も、主人公はヤマトタケル状態、謎の男・ウズメとの死闘の最中に彼が思い出すのは、熊襲平定軍の副官となった武人・ウナテのことであります。自分以外の皇子はほとんど皆敵の状態で、仲の悪い兄に仕えるウナテのことを疑っていたタケルですが……

 第1話で土蜘蛛と化したクマソタケルに惨殺された兵たちにこんなドラマが!? という印象ですが、しかしウズメの奥の手の前にはそんな感傷も効果なし。ひとまず水入りとなった戦いですが、タケルにはまだ秘められた力が――?
 ウズメの求めるものも仄めかされましたが、これはもしかして巨大ヒーローものにもなるのでは、と妄想を逞しくしてしまうのでした。


『用心棒稼業』(やまさき拓味)
 今回の主人公は、本誌の表紙を飾った仇討浪人の海坂坐望。兄の仇を討ち、その遺児・みかんを連れて故郷に帰ってきた坐望ですが、そこはみかんにとっても故郷であります。
 彼女と別れ、実家に帰った坐望を待っていたのは、彼とは絵のタッチまで違うぼんやりした顔立ちの妹婿。既に居場所はなくなった実家に背を向けて旅に出ようとする坐望ですが、義弟の思わぬ噂を聞きつけて……

 片田舎が舞台となることが多い印象の本作ですが、久々に賑やかな町の風情が描かれる(坐望の若き日の放蕩ぶりがうかがわれるのが愉快。張り合おうとする雷音も)今回。しかしそこでも待ち受けるのは憂き世のしがらみと悪党であります。降りしきる雪の中、無音で繰り広げられる大殺陣の最中、終始憂い顔の坐望の姿が印象に残るエピソードでした。

 物語的にはあまり生かされているとは思えなかったみかんも今回で退場か、と思われましたが――しかし彼女の存在は、全てをなくした坐望にとっては一つの希望と考えるべきなのでしょう。


「コミック乱ツインズ」2019年2月号(リイド社) Amazon
コミック乱ツインズ 2019年2月号 [雑誌]


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2019.01.13

平谷美樹『百夜・百鬼夜行帖』 第10章の1『光り物』 第10章の2『大筆小筆』 第10章の3『波』


 盲目の美少女修法師・百夜が怪異と対決する連作シリーズもこれでついに第10章。この章は江戸を舞台としてきたこれまでとは趣向を大きく変え、倉田屋の箱根への湯治旅に同行することになった百夜が、その旅路で出会った怪事の数々に挑むことになります。

『光り物』
 というわけで、倉田屋徳兵衛の湯治旅に誘われた百夜。忙しい身ではあるものの、日頃から世話になっている倉田屋が自分を骨休めさせるために誘っていると知った彼女は、左吉ともども、箱根への旅に同行することになるのでした。

 そしてここから展開するのは温泉エピソード、本作のちょっとドキッとするような表紙はそれゆえ――ではなく、今回の舞台となるのは、戸塚の少し先の小さな村。雨で村に宿を請うた一行は、そこで起きている怪異の存在を知ることになります。
 それがタイトルの光り物――西の山の上に宙を漂う光る物体が、さらには青白い人影が現れ、目撃した者たちが寝込んでしまったというのであります。早速、調伏に向かう百夜と左吉ですが……

 と、新章の導入部である本作ですが、しかし登場する怪異はかなり奇妙なもの。ほとんどUFOのようにも思われるその正体は――いやはや、こう来るか! と大いに驚かされました。
 さらにそこからもう一ひねりの真相には驚かされるとともに、その先の切なくもどこかホッとさせられる結末に感心させられるのであります。


『大筆小筆』
 旅は続き、大磯で百夜が出会ったのは、彼女にしか見えぬ赤い着物の若い女二人。獣臭い臭いをまとった二人が、「みよしや」と囁いて消えたことから、一行は次の小田原の旅籠・三善屋を訪ねることになります。
 そこで宿の主人から、書院に小さな鼠のような生き物が時折現れることを聞いた百夜が解き明かす、二人の女の正体とは……

 北条氏康の死にまつわる北条稲荷の伝説が残る小田原を舞台に描かれるのは、もののけが依頼人ともいうべき事件。しかし問題は、その依頼の内容がわからないことで――と、何ともユニークなシチュエーションで物語が展開することになります。
 小田原という土地の特殊性が、思わぬ世界にまで繋がっているという世界観が楽しいところで、内容的にはちょっと地味ながら、本シリーズならではの物語であります。
(にしてもラストで語られる、百夜の気の休まる場所にはどうリアクションしたものか……)


『波』
 ようやく箱根湯本に辿り着いた一行が訪れたのは、徳兵衛の定宿・如月屋。しかし先代から宿を継いだ若い主人はならず者まがいの人物、宿もあまり良い雰囲気ではないのですが――そこで百夜は不思議な気配を感じることになります。
 その晩、百夜が耳にしたのは波の音――海から遠く離れた地で聞こえるはずもないその音の源を追った百夜が宿のある部屋で見たものは、部屋一杯の海と、そこに漁舟を浮かべた老漁夫の姿で……

 この世の常ならぬ世界を描く物語であるためか、必ずしも真っ当な人間ばかりが登場するわけではない本シリーズですが、今回登場する如月屋の主人は、その中でも結構イヤな人物。
 そんな相手のために百夜が一肌脱ぐいわれはないわけですが、しかし彼女の依頼主は必ずしも人間ばかりではない――というのは『大筆小筆』同様であります。

 そんなわけで怪異の正体自体は早い段階で判明するのですが、しかしそこからの展開は意外かつ何とも痛快。古の霊異譚を彷彿とさせる味わいの一編であります。


『百夜・百鬼夜行帖』(平谷美樹 小学館) 『光り物』 Amazon /『大筆小筆』 Amazon /『波』 Amazon
夢幻∞シリーズ 百夜・百鬼夜行帖55 光り物 百夜・百鬼夜行帖シリーズ (九十九神曼荼羅シリーズ)夢幻∞シリーズ 百夜・百鬼夜行帖56 大筆小筆 百夜・百鬼夜行帖シリーズ (九十九神曼荼羅シリーズ)夢幻∞シリーズ 百夜・百鬼夜行帖57 波 百夜・百鬼夜行帖シリーズ (九十九神曼荼羅シリーズ)


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2019.01.07

原哲夫『いくさの子 織田三郎信長伝』第12巻 信長の仮面が外れる時!


 父・信秀亡き後ついに織田家の当主の座に就いた信長。しかし織田家の内情は四分五裂、さらに大国・今川の脅威が目前に迫る中、まさに内憂外患であります。そんな中、今川家と結び、叛旗を翻した清洲城小守護代・坂井大膳との戦いの中で、ついに信長の仮面の下の素顔が明らかに……

 父・山口教継ともども今川に寝返り、尾張切り取りを狙った山口教吉と赤塚で激突し、倍近い戦力差でありながら互角以上に戦って見せた信長。しかし尾張の内乱はうち続き、今度は坂井大膳が織田彦五郎・坂井甚介・織田三位・川尻左馬丞らとともに信長方の松葉城・深田城を落として信長の叔父たちを人質に取ることになります。

 しかしそれこそは信長の思う壺。腹心の武羅衆とともに立ち上がった信長は、爺こと平手政秀から彼の愛馬・鬼葦毛を譲られると、勇躍戦場に向かうのですが――しかしそこに、信長の弟・信行派である柴田勝家が、信長の真価を見極めるために加わることになります。
 そして疾風迅雷の勢いで清洲に迫る信長軍は、慌てふためいて清洲から打って出た坂井甚介と萱津で激突することに……


 というわけで、前巻の赤塚の戦いに続き、この巻で描かれるのは萱津の戦い――と、以前の派手な展開が嘘のように、マイナーな戦いが続く本作。もちろん、桶狭間以前の信長の戦いとしてそれなりの位置づけがあるのは間違いありませんが、それにしても――と驚かされます。

 しかし本作ならではの位置づけが、この戦いには成されているのであります。それは作中で沢彦が語るように、尾張衆に初めて信長の仮面――うつけの仮面の下の素顔を見せる戦いであること。
 内憂外患の中で潰されることを避けるため、父の、爺の、そして信長自身の深謀遠慮によって、うつけの仮面の下に秘め隠してきた英傑としての素顔が、ここで初めて明かされるのであります。

 ……いや、読者にとっては物語開始当初から散々素顔を見てきたわけで、その意味では新鮮味はありません。しかしここで素晴らしいリアクションを見せる男がいます。
 そう、それこそが柴田勝家――上で述べたように反信長派でありながら、史実の上でもこの萱津の戦いに加わった勝家が、ここで信長の素顔を目の当たりにするのです。

 本作ではある意味珍しく史実から受けるイメージ通りの、髭面の豪傑肌の人物である勝家。そのいわゆる「いくさ人」である彼が、戦場で何を見ることになるのか――その瞬間の描写が、実に作者らしく気持ちがいい。
 信長軍が使ったことで有名な長槍を使って切り開いた道を駆け抜ける信長と勝家。そこでの信長のある行動、ある表情を見た勝家が、一瞬にして信長の真実を悟る場面が、この巻のクライマックスであることは間違いありません。
(そして勝家が、それとほぼ同時に信長の本質――それも意外で、かつどこか納得させられるそれを見抜くのも実にいいのです)

 正直なところ、悪役・敵役(この巻でいえば甚介)がほとんど人外のビジュアルと言動なのは相変わらずどうかと思いますが、しかしその一方で描かれる信長たち英雄豪傑の姿は痛快で、この辺りの魅せ方はさすがというべきでしょう。


 しかし、この戦いで信長の素顔を知ったのは、尾張の者だけではありません。美濃の蝮・斎藤道三もこの戦いの結果から、そして信長にすっかり心酔した感もある光秀の言から、ついに動き出す決意を固めることになります。
 一歩間違えれば信長の、尾張の絶体絶命の危機となりかねぬこの事態に、爺こと平手政秀はある決意を固めて……

 というところでこの巻は終わり。なるほどこの史実をこう描くか! と驚かされますが、その影響は、その波紋はこれから描かれることになります。さてそれがどのように料理されるのか――本作流のエモーショナルな描写に期待したいと思います。


『いくさの子 織田三郎信長伝』第12巻(原哲夫&北原星望 徳間書店ゼノンコミックス) Amazon
いくさの子 ~織田三郎信長伝~ 12 (ゼノンコミックス)

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2019.01.05

平谷美樹『百夜・百鬼夜行帖』 第9章の4『天気雨』 第9章の5『小豆洗い』 第9章の6『竜宮の使い』


 盲目の美少女修法師が江戸の怪異に挑む連作シリーズの第9章後半の紹介であります。今回は比較的小規模な怪異ではありますが、ちょっとイイ話が続きます。

『天気雨』
 小石川の小普請組の御家人・吉野虎之助宅にのみ降るという天気雨。三日連続の天気雨を薄気味悪くなった虎之助の妻の相談を受けた百夜は、これが土地にまつわるものか人にまつわるものか、調べ始めるのですが……

 怪異としてはかなりおとなしい部類に入る本作。しかし周囲は全く晴れているのに、自分の家の敷地の真上だけ雨が降るというのは、やはりなかなか不気味で、作中後半、百夜たちが外からその様子を目撃した時の描写が印象的です。
 この怪異に対して、その原因が土地なのか人なのか、そこから着手するのが、怪奇探偵としての百夜ならではというべきでしょう。そしてその果てに明らかになる真実は――なるほど、こういう形で史実に絡めてくるか、と感心させられるのと同時に、虎之助がそれに対して自分自身になぞらえた感慨を持つのも印象に残ります。そしてその先の不思議な因縁も……

 ちなみに本作の冒頭で、天気雨のことを聞いた百夜と左吉の二人が、雨にまつわる妖怪談義を展開するのもちょっと楽しいところです。


『小豆洗い』
 駄菓子屋から大店にまで成長した麹町の菓子舗・真田屋で夜毎響く、小豆をとぐような音。半年間我慢したものの堪りかねた主人・五兵衛の依頼を受けて店を訪れた百夜は、何故か遠回りのような行動ばかりを取るのですが……

 夜中に小豆をとぐような音が――とくれば、小豆を扱う菓子屋が舞台ということもあり、これはもうタイトルどおりの妖怪・小豆洗いの仕業では? と思ってしまう今回。
 冒頭、依頼内容を聞いた百夜が、左吉の小豆洗いの真似に、普通の娘のように腹を抱えて笑う場面が妙に新鮮なのですが――それはさておき、本シリーズがそんな直球で終わるはずもありません。

 早々に正体を見抜いたような様子を見せたものの、すぐにその正体を暴くのではなく、先代が営んでいた駄菓子屋跡を検分したり、当代の五兵衛の菓子作りの腕を確かめたりと、何やら迂遠な行動を取る百夜。
 しかし怪異の思わぬ、しかしユニークな正体を知ってみれば、なるほどと納得させられることになります。

 シリーズの中ではちょっと異色の怪異ではありますが、小粒ながら心温まる結末が心地よいエピソードです。


『竜宮の使い』
 夜目覚めてみると、自分が海の中に沈んでいて、天井の近くに海亀が浮いているのがはっきり見える――夢かと思えば、潮の匂いが翌朝も残っている怪異が三日続いているという駿河屋から依頼を受けた百夜。
 百夜が見抜いたその正体は、そして怪異を鎮めるために彼女が取った行動とは……

 竜宮といえば、以前左吉が酷い目に遭わされた『わたつみの』を思い出しますが、今回はそれとは全く異なる印象の、幻想的で、ちょっと切なくもいい話であります。
 自分が海の中に沈んでいる――そしてそこにもの悲しげな目で海亀が見つめてくるというのは、これはなかなか美しい夢ではありますが、しかし毎晩続けばだんだん不安になってくるのは頷ける話。

 何故、そして何がこの夢を見せているのか――そんな一種のホワイダニットとフーダニットも気になるところですが、しかし本作は、いや本シリーズは、その正体を暴いておしまい、というものではないのは、これまで見てきたとおりであります。
 百夜が早い段階で見抜いたその怪異の正体には驚くと同時に納得させられますが、さらに印象に残るのはその祓い方。一種の鎮魂の技法は、もともとがイタコである百夜ならでは――というべきでしょうか。

 と、その百夜の異常なまでの博識ぶりには毎回驚かされてきましたが、今回ついにその秘密が明らかになります。が、それがまたある意味身も蓋もないというか反則というか――ジト目の左吉に対して、ムキになる百夜の可愛らしさも印象に残ります。


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2019.01.02

平谷美樹『唐金の兵団 鉄の王』 出雲に甦る怨念の系譜


 鉄にまつわる人々の戦いと、伝説の不死者の謎を描く伝奇活劇シリーズの第3弾は、前作同様、歩き蹈鞴衆の少女・多霧を主人公とした物語。出雲を訪れた多霧たちを待ち受ける奇怪な事件と新たな敵とは、そして古代からの怨念とは……

 諸国を巡って製鉄を行う歩き蹈鞴衆の一つ・橘衆の長の長女である多霧。越後山中で、何者かに皆殺しにされた蹈鞴場と、瀕死の重傷を負った青年と出会ったことがきっかけで、彼女と仲間たちは伝説の不死者・無明衆を狙う武士たちの陰謀に巻き込まれることになります。
 その中で母と兄の一人を喪いながらも、仇である女忍・早苗を討った多霧。しかし恐るべき力を持つ無明衆本流によって、恐るべきカタストロフが訪れて……


 という前作に続く本作では、神話の地・出雲で、神代から続く恐るべき怨念の存在が描かれることになります。

 越後での戦いを生き延び、出雲を訪れた多霧と橘衆。しかし彼らの蹈鞴場を、一帯を治める山根家の山廻の侍たちが訪れている時、突如唐金(青銅)の鎧に身を包んだ猪の集団が一行を襲撃し、侍たちは無惨な姿となるのでした。
 ここで侍たちと何者かが争っていること、そして自分たちがその争いに巻き込まれてしまったことを悟った橘衆は、さっそく山で、里で調べを始めるのですが――唐金の鎧の猪だけでなく、同じ鎧をまとった熊や狼までもが、彼らに襲いかかります。

 一方、里では、山根家が地中から出土した唐金の品を集めては鋳つぶしていること、これに反対した唐金吹の岳見屋が誅殺されたことを知る多霧たち。そして岳見屋の者たちが、唐金の蹈鞴衆である八千矛衆と繋がっていたことを知った彼女は、自分たちを襲撃したのが八千矛衆と確信することになります。

 一方、陸奥の橘衆の里で巫女としての修行を積んでた多霧の妹・夷月は、恐るべき魔物の前に多霧たちが窮地に陥る様を予知し、出雲に急ぎます。
 さらに山根家の側について暗躍する無明衆の一員、無明銑之介と兄の兼高。そして彼らの傍らには、不死の肉体を得て蘇った早苗の姿が……


 「甲冑で武装した猪が襲来!!」という、一目見て何事!? と驚かされる帯が極めて印象的な本作。しかしその帯はまだ序の口、その先に現れるのは、唐金をまとった様々な動物たち、そしてそれを操るのは――と、本作は、冒頭からいきなりクライマックスのテンションのまま、一気に突っ走っていくことになります。
 その果てに待ち受けるのは、古代からの秘密を巡る蹈鞴衆と侍たちの死闘――という点では前作と重なる部分も多いように見えますが、しかし本作は敵と味方が入り乱れた末、実に物語のかなりの部分を割いて、激しい攻防戦が繰り広げられることになります。

 そのアクション描写――何よりもゲリラ戦法では右にでる者のない蹈鞴衆たちの戦闘スタイルなど――だけでも大いに魅力的な本作ですが、しかし本作の真の魅力は、その戦いの背後に秘められた超伝奇的「真実」、太古から黒々と蟠る怨念の存在であります。
 と、ここから先は物語の核心に触れてしまうため、あまり多くは語れないのですが、出雲といえば神話の地神々の地と言えば、ある程度は察せられるかもしれません。もっとも、そこに本作ならではのある要素が絡むことによって、状況はより混沌としたものになるのですが……

 そしてその先に繰り広げられるのは、これまでの戦いが前座に過ぎなかったほどの恐るべき敵との戦いであります。
 前作とは若干ベクトルが異なるものの、ここに横溢しているのは、(最近の)作者の時代小説では少し抑え気味だった濃厚な伝奇味。いや、堪能させていただきました。


 そして一つの戦いが、一つの物語が終わった先に残されるのは、幾つもの更なる謎。多霧と橘衆につきまとう無明衆・兼高の目的とは何か。銑之介と多霧の想いの行方は。そして多霧たちの物語は、いつか鉄澤重兵衛の物語と、再び交わることがあるのか――
 この先もまだまだ続くであろう「鉄の王」を巡る冒険の向かう先が、楽しみでなりません。


『唐金の兵団 鉄の王』(平谷美樹 徳間文庫)

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2018.12.30

このブログが選ぶ2018年ベストランキング(文庫書き下ろし編)

 今年も一年の締めくくり、一人で選んで一人で発表する、2018年のベストランキングであります。今回は2017年10月から2018年12月末発刊までの作品について、まずは文庫書き下ろし6作品を挙げたいと思います。

1.『おもいで影法師 九十九字ふしぎ屋商い中』(霜島けい 光文社文庫)
2.『百鬼一歌 都大路の首なし武者』(瀬川貴次 講談社タイガ)
3.『義経暗殺』(平谷美樹 双葉文庫)
4.『室町繚乱 義満と世阿弥と吉野の姫君』(阿部暁子 集英社文庫)
5.『猿島六人殺し 多田文治郎推理帖』(鳴神響一 幻冬舎文庫)
6.『勾玉の巫女と乱世の覇王』(高代亞樹 角川春樹事務所時代小説文庫)


 第1位は、これは個人的には文庫書き下ろしにおける妖怪時代小説の一つの完成型ではないか、とすら思う作品。死んでぬりかべになった父を持つヒロインが奮闘する『九十九字ふしぎ屋商い中』シリーズの第3弾ですが、とにかく表題作が素晴らしい。
 妻を亡くしたばかりの隠居同心宅に現れる不思議な影法師。はじめは同心の妻の幽霊かと思われたその影は、しかしやがて様々な姿を見せ始めて――と、ちょっといい話と思いきやゾッとさせられて、そして意外な結末へ、と二転三転する物語には感心させられたり泣かされたり。作者は期間中、幻となっていた『あやかし同心捕物控』シリーズも再開し、いま脂が乗りきっているといえるでしょう。

 第2位は、平安ものを得意とする作者が鎌倉時代初期の京を舞台に、和歌マニアの青年と武芸の達人の少女を主人公に繰り広げるコミカルな時代奇譚の第2弾。今回はタイトル通りに奇怪な首なし武者事件に巻き込まれる二人ですが、その背後には哀しい真実が……
 と、個性的過ぎるキャラクターのドタバタ騒動で魅せるのはいつもながらの作者の得意技ですが、本作はそれに史実――この時代、この人々ならではの要素が加わり、新たな魅力を生み出しているのに感心です。

 そして第3位は、今年もバラエティ豊かな作品で八面六臂の活躍を見せた作者の作品の中でも、久々の義経ものである本作を。兄に疎まれ、奥州に逃げた源義経が、妻子とともに何者かに殺害された姿で発見されるというショッキングかつ何とも魅力的な導入部に始まり、その謎が奥州藤原氏の滅亡、そしてその先のある希望に繋がっていく物語は、『義経になった男』で時代小説デビューした作者の一つの到達点とも感じられます。
 ちなみに作者は今年(も)実にバラエティ豊かな作品を次々と発表。どの作品を採り上げるか非常に悩んだことを申し上げます。

 第4位は南北朝時代を背景に、副題通り吉野――南朝の姫君が、お忍びで向かった京で出会った義満と世阿弥とともに繰り広げる騒動を描く作品。今年も何かと話題だった室町時代ですが、本作はライト文芸的な人物配置や展開を見せつつも、混沌としたこの時代の姿、そしてその中でも希望を見いだそうとする若者たちの姿が爽快な作品です。
 個人的には作者の以前の作品を思わせるキャラクター造形が嬉しい――というのはさておき、作品のテーマを強く感じさせる表紙も印象に残ります。

 続く第5位は、期間中、ほとんど毎月、それもかなりバラエティに富んだ新作を刊行しつつ、水準以上の内容をキープするという活躍を見せた作者の、新たな代表作となるであろう作品。孤島に居合わせた六人の男女が次々と奇怪な手段で殺される――という、クローズドサークルものど真ん中のミステリである(本作が時代小説レーベルではないことに注目)と同時に、時代ものとしてもきっちりと成立させてみせた快作です。

 そして最後に、本作がデビューした作者のフレッシュな伝奇活劇を。いまだ混沌とした戦国時代を舞台に、長き眠りから目覚めた「神」と、その巫女に選ばれた少女を巡り、一人の少年が冒険を繰り広げる様は、時代伝奇小説の王道を行く魅力があります。
 その一方で、神の意外な正体や目的、そして張り巡らされた伏線の扱いなど、これがデビュー作とは思えぬ堂々たる作品で、今後の活躍が楽しみであります。


 ちなみにもう一つ、本年印象に残ったのは、本格ミステリ作家たちが忍者(の戦い)をテーマに描いたアンソロジー『忍者大戦』。『黒ノ巻』『赤ノ巻』と二冊刊行された内容は、正直なところ玉石混淆の部分もあるのですが、しかし時代小説初挑戦の作家も多い中で描かれる物語は、それだけに魅力的で、ユニークな企画として印象に残りました。

 と、振り返ってみれば、図らずも平安・鎌倉・室町・戦国・江戸と散らばったラインナップになりました。保守的なイメージの強い文庫書き下ろし時代小説ですが、その実、多様性に溢れていることの一つの証――と申し上げては牽強付会に過ぎるでしょうか?


おもいで影法師: 九十九字ふしぎ屋 商い中 (光文社時代小説文庫)

霜島 けい 光文社 2017-10-11
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百鬼一歌 都大路の首なし武者 (講談社タイガ)

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義経暗殺 (双葉文庫)

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室町繚乱 義満と世阿弥と吉野の姫君 (集英社文庫)

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猿島六人殺し 多田文治郎推理帖 (幻冬舎文庫)

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勾玉の巫女と乱世の覇王 (時代小説文庫)

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2018.12.25

星野之宣『海帝』第1巻 伝説の海の男・鄭和を突き動かす想い


 星野之宣といえば、ハードかつロマンチシズムに溢れた希有壮大なSF漫画の名手ですが、しかしその活躍の舞台は、SFだけに留まりません。本作はその作者が15世紀初頭の大海を舞台に描く歴史ロマン――主人公は明王朝で重用された宦官にして、七度もの大航海を成功させた伝説の男・鄭和であります。

 元を滅ぼした明王朝において、二代皇帝・建文帝を力で除き、皇位に就いた永楽帝の時代。猜疑心の強い永楽帝により血で血を洗う粛正が相次ぎ、秘密警察・錦衣衛と東廠が恐怖政治を支える中、永楽帝に諫言することを恐れない数少ない男が鄭和であります。
 今日も倭寇を蹴散らし、足利義満への使節の任を成功させて帰ってきた鄭和。その彼に対して、永楽帝は明の威信を諸国に知らしめるための大船団派遣を命じることになります。

 建国以来ほとんど鎖国状態にあった明において、本格的に海外に乗り出すのはこれが初めて。かねてより海の向こうの国を夢見てきた鄭和にとっては念願とも言うべき機会ですが――しかし、彼にはもう一つの目的があったのです。

 永楽帝によって南京の兵火の中に消えたはずの建文帝。しかしその生きたいという願いに応えて、鄭和は建文帝と皇女を密かに匿っていたのであります。
 今回の航海の機会に乗じて、彼らを海外に亡命させようとする鄭和は、命を救ったことで縁ができた少年・潭太と、彼が属する倭寇・黒市党の協力を得ると、建文帝らを乗せて大海に乗り出そうとするのですが……


 冒頭に述べたとおり、鄭和といえば大航海時代に先んじて、大艦隊を率いて遠く南洋までの航海を七度も成功させた実在の人物であり、世界史の教科書ではお馴染みの人物――しかしその実像については知られていないことが多いのではないでしょうか。

 実際のところ、鄭和の航海については永楽帝の死後、資料がことごとく破棄されてしまい、実像は不明の部分が多いのが事実。
 たとえば艦隊の母艦であった「宝船」のサイズなども、コロンブスのサンタマリア号の5倍という途方もないサイズと言われていますが、それが本当であるかは、謎のベールに包まれています。

 しかし本作はそれを巧みに利用し、その史実の隙間を作者一流のビジュアルを以て巧みに埋めつつ、説得力のある物語を生み出すことに成功しています。いやそれだけでなく、そこに建文帝生存伝説という巷説を絡めることによって、伝奇風味も濃厚な物語を作りだしているのですからたまりません。
 これも冒頭に述べたとおり、日本屈指のSF漫画家である作者ですが、それと同時に、屈指の伝奇作家でもあります。本作はその作者の資質がはっきりとでた、希有壮大な物語なのであります。


 が、本作の最大の魅力は、その歴史ロマンとしての壮大さ、伝奇物語としての面白さではなく、本作で描かれる鄭和の人物像にこそあると感じられます。

 史実においても、永楽帝が帝位に就く前の燕王であった時代から彼に仕え、武人として知られた鄭和(宦官にして武人というのは一見矛盾して感じられますが、水滸伝でおなじみの童貫のように、決してあり得ない存在ではないのでしょう)。
 本作においては、燕王とともに蒙古と戦っていた時代に追った数々の傷が、作中の言を借りれば、まさしく「完膚なきまでに」その身を覆う鄭和。そんな彼の行動は、常にその身に相応しく果断かつ勇敢なものなのですが――しかしそんな彼を突き動かしているのは、常に「生きたいと強く願う人間の命を救う」という想いなのです。

 時に己の身をも平然と危険に晒す鄭和の強い想いはどこから来ているのか――彼の出自にも繋がるその理由が語られる場面は、間違いなくこの巻のクライマックス。ぜひ作品を実際に読んで驚き、感動していただきたいと思います。

 もちろん、彼は決して単純な理想主義者ではありません。それどころか、それを貫くことの難しさを誰よりも知りつつ――それでいて決して諦めない。そんな快男児の姿に、心を動かされずにいられるでしょうか。
 そしてそんな強い想いを抱く鄭和が、海を往来する倭寇をして「遥かなる旅人の目だ」と言わしめるその瞳で、この先何を見るのか――この先を彼と共に見届けたいと、強く感じるのであります。


『海帝』第1巻(星野之宣 小学館ビッグコミックススペシャル)

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2018.12.24

平谷美樹『百夜・百鬼夜行帖』 第9章の1『千駄木の辻刺し』 第9章の2『鋼の呪縛』 第9章の3『重陽の童』


 北から来た盲目の美少女修法師と、付喪神をはじめとする怪異の対決を描く連作シリーズもこれで第9章。今回紹介する前半のエピソードでは、ついにあのキャラが登場することに……

『千駄木の辻刺し』
 千駄木の百姓地で相次ぐ辻斬り――いや辻刺し事件。腕利きの八丁堀同心までもが犠牲となり、怪異を疑う奉行所の依頼で千駄木に向かった百夜と左吉、そして怪談噺専門の読売・文七は、打ち捨てられた稲荷の存在に気付くことになります。
 そこで怪異の正体を見抜き、迎え撃つ百夜。しかし相手の凄まじい攻撃に、あわやというところまで追いつめられて……

 犠牲者を鋭利な刃で突き刺さす姿なき辻刺しとの対決を描く今回。得物を手にすれば作中では屈指の遣い手である百夜をも苦しめる敵の正体はなんであるか――激しい戦いを描きつつも、ミステリ味を用意しているのが、らしいところです。
 そんな物語の中で印象的なのは、今回初登場の文七のキャラクター。怪談、それも自分の足で稼いだ実話専門の読売という、ユニークなキャラですが、左吉を完全に差し置いて、百夜とともに怪異の正体を推理してしまうのが、ちょっと楽しいところであります。
(しかしこの文七、てっきりこの章のレギュラーになるのかと思いきや、これきりなのはちょっと勿体ない……)


『鋼の呪縛』
 看板戯作者である鉢野金魚の手が突然動かなくなったのは呪詛のためだと、薬楽堂に怒鳴り込んできた弁財屋。相手にしない長兵衛ですが、無念は金魚が何かに祟られているのではないか、いやもしかしたら密かに想いを寄せる自分の生霊の仕業では――と、百夜に助けを求めるのでした。金魚のもとに向かった百夜は、その心眼で思わぬ怪異の正体を見抜くのですが……

 というわけで、やはり登場しました鉢野金魚。言うまでもなく『草紙屋薬楽堂ふしぎ始末』の主人公の彼女ですが、本作では薬楽堂ではなく弁財屋付きの戯作者、そして何よりも女性であることを隠しているという点で、おそらくはあちらの彼女とはパラレルな存在(おそらくプロトタイプ)。しかしそれでも夢の競演であることは間違いありません。
 本作ではその過去などは描かれませんが、やはりその美貌と読みの鋭さは相変わらず(?)の金魚。『薬楽堂』の方では怪異の存在を全く信じないキャラクターでしたが、今回は自分がそのターゲットとなっていることもあってか、百夜にも特に反発することなく受け入れているのが、何となく新鮮です。

 しかし何よりも気になってしまうのは、無念との関係。『薬楽堂』ではお互い意識してはいるものの、あまり表には出さない想いが、こちらではかなり表に出ているのにはニヤニヤさせられます。もっとも、無念の残念っぷりが思い切り足かせになっているわけですが……

 と、金魚のことばかり書いてしまいましたが、今回の怪異の正体は、物語のシチュエーションを踏まえてかなりユニークな存在。その正体を知った後の無念たちのリアクションも面白く、戯作という特異な世界を舞台にしエピソードならではの物語であることは間違いありません。


『重陽の童』
 重陽の節句も近いある晩、百夜の後ろ盾である倉田屋徳兵衛の枕元に現れた童姿の怪異。その後、徳兵衛の目の調子が悪くなった――と、左吉から聞いた内容からすぐにその正体に気付いた百夜は、たまには左吉自身に怪異を解決させようと、彼に調査を任せるのですが……

 探偵もののシリーズではまま見かける、助手が探偵役となるパターンである今回。というより百夜が見守っているので、はじめてのおつかい的な印象もあり、いわば百夜の親心なのですが――しかしここにもう一つの親心が絡んでくるのが本作のみどころです。

 以前のエピソードで語られたように、実は左吉の実の親である徳兵衛。外で作った子であるために名乗りを上げられず、店を継がせることは叶わないものの、それでも手元に置きたい――という親心を全く知らない左吉は、いつもの通りのお調子者ぶりを発揮しつつ、頼りない推理を巡らせるのですが……
 しかし右往左往した挙げ句にたどり着いた真実から、徳兵衛にとって色々な意味での贈り物が生まれる結末が実にいい。人情話の要素も少なくない本シリーズですが、それを変化球で、だからこそ印象的な形で描いてみせた、爽やかな後味の一編です。


『百夜・百鬼夜行帖』(平谷美樹 小学館) 『千駄木の辻刺し』 Amazon /『鋼の呪縛』 Amazon /『重陽の童』 Amazon
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