2018.07.14

宇野比呂士『天空の覇者Z』第12巻 富士に甦る剣、帰ってきた天空の覇者

 激闘の末に首尾よくT鉱を奪還した一行は、華奈の言葉から、流星の剣を打った刀鍛冶に出会うため富士に向かう。そこで剣が打ち上がるのを待つ中、来襲した日本軍を迎え撃つ天馬たち。華奈の犠牲で剣は復活したものの、日本軍の秘密兵器Yが出現して窮地に陥ったその時、新たなZが降臨する……

 いよいよ日本編もクライマックス、天馬&Jとヴァルキュリア隊の二人との再戦から始まり、流星の剣の復活、日本軍の驚天動地の秘密兵器の登場にZとの対決と盛りだくさんの巻であります。

 西郷に奪われたT鉱のインゴットを追って、相次いで横須賀の海軍秘密工場に潜入/突入した天馬たち。真っ先に捕らえられたキリアンがあわやというところに天馬が真っ正面から突っ込み、さらに先を越されたJとアンジェリーナが……と全員勢揃いしたところで天馬とJが残り、二人を逃がすことになります。
 そして始まるJ対マルセイユ、天馬対リップフェルトの戦い――共に異能の持ち主ですが、こちらは最強メンバー。Jは兵器工場に誘い込んだマルセイユを翻弄、予測偏差射撃を完封した上に命を助けるという完封を見せます。そして天馬はリップフェルトの超加速能力を上回る剣技を見せてこちらも圧勝!

 そしてサイドカーに乗ったアンジェリーナとキリアンは山本五十六にタイヤアタックを食らわしてT鉱を奪還に成功します。行く手に立ち塞がる西郷がサイドカーの結合部を日本刀ですれ違いざまに叩き斬るという無茶を見せるものの、キリアンはT鉱の特徴――強い衝撃を与えると臨界反応を起こし、反重力場を発生させるという性質を利用したブラフで西郷を翻弄し、見事逃げおおせるのでした。
 一方華奈は家に残されていた記録から、流星の剣を打った刀匠の一族が富士に住んでいることを知り天馬たちに合流。その刀匠――石堂透徹のもとを訪れます。実は石堂家の血を引いていた華奈は透徹の相方として手伝うことになりますが――前述の如く衝撃を与えれば臨界に達するT鉱で刀を打つとは、考えてみれば恐ろしい話。それを可能にするのが達人の技ですが、それが三日間不眠不休で打ち続けるというのは流石に無茶としか言いようがありません。

 その間待つしかない天馬ですが――しかし三日目の夕方にT鉱を追って日本軍が襲来。山本五十六が指揮を執り、戦車まで繰り出してくる無茶苦茶ぶりですが、しかし戦車のキャタピラを叩き斬ったり、上から岩を落としたりする天馬たちの方がさらに無茶であります。それでも多勢に無勢、仲間たちに後を任せて華奈たちの元に急いだ天馬が見たものは、力尽きた透徹と、それでも必死に刀を研ぐ華奈の姿。刀は形となったものの、未だに流星の剣の証である透き通った刀身とならない――そう涙ながらに研ぎ続ける華奈も力尽きたか突然喀血! その血を浴びた刀身は……
 そして完全包囲された中、華奈を抱いて現れる天馬。夕日を浴びる中、彼が掲げた刀身は、その血を吸うように透き通った姿に――!

 冷静に考えればよくわからない理屈ですが(そもそも華奈は何故吐血したのか――というのは肺炎だったようですが)、しかしこの場面は作中屈指の名シーン。しかしその直後に更なる迷シーン、いや迷メカが!
 そう、その場に飛来したのはかねてより日本軍が開発していた秘密兵器「Y」――YAMATO! 空中戦艦大和であります。そしてそのビジュアルは、大和を上下逆さにしたもの――艦橋や砲塔を下にした戦艦が空を飛んでいるのはとんでもないインパクトであります。
 しかしここで真打ち登場――折良く改修の終了したZ――ネオ・カイザーツェッペリン改が富士に飛来! 強敵GのG砲を左舷に取り付けた凶悪なデザインは、頼もしいことこの上なしであります。

 そして双方が乗り組んだ(華奈と西郷は成り行きでZに搭乗)上で始まるZ対Yの決戦。しかしYの世界最大口径46センチ砲の砲撃をエーテルガスで無力化したZは、ウェル発明の誘導ミサイル・Vロケット(VはVergeltungではなくVictoryのV!)でYに大打撃を与えます。そこで最後(早い)の力を振り絞ってZの上方に上昇したYは、艦首衝角で特攻を仕掛けるのですが――そこでZ左舷のGユニットが動き、上方を向く! そしてそこから放たれるのはZ砲――ではなく拡散Z砲。スプレー状に反重力ガスを噴射することによってYを分解し、そして山本五十六をはじめとする乗組員たちも、反重力場に包まれて無事地上に軟着陸するのでした。


 と、Yの攻撃を完封した上に乗組員の生命を気遣いつつ撃破という完璧な横綱相撲を見せたZ。「最強だねZ!!!」と、天馬たちが大喜びするのもむべなるかな、であります。

 流星の剣、そしてZが復活し、体勢は万全。いよいよ次巻から最終章に突入であります。


『天空の覇者Z』第12巻(宇野比呂士 講談社少年マガジンコミックス) Amazon
天空の覇者Z 12 (少年マガジンコミックス)


関連記事
 宇野比呂士『天空の覇者Z』第1巻 幻の名作の始まり――快男児、天空に舞う!
 宇野比呂士『天空の覇者Z』第2巻 天馬vs死神、天馬vs獣人!
 宇野比呂士『天空の覇者Z』第3巻 激突、巨大空中兵器の死闘!
 宇野比呂士『天空の覇者Z』第4巻 流星の剣の目覚めるとき
 宇野比呂士『天空の覇者Z』第5巻 激突! 新生Zvs第三の超兵器
 宇野比呂士『天空の覇者Z』第6巻 Z最大の危機!? 変幻自在の怪物たちの襲撃
 宇野比呂士『天空の覇者Z』第7巻 決戦開始!? 明かされゆく数々の秘密
 宇野比呂士『天空の覇者Z』第8巻 激闘カラクーム砂漠 そして理解不能の事態へ
 宇野比呂士『天空の覇者Z』第9巻 世界変容再び! 運命を超えるための死闘
 宇野比呂士『天空の覇者Z』第10巻 決着、Z対G! そして天馬新たなる旅立ち
 宇野比呂士『天空の覇者Z』第11巻 日本編開幕! 故郷で天馬を待つもの

| | トラックバック (0)

2018.07.13

もとなおこ『Dear ホームズ』 最も奇妙なシャーロック・ホームズの帰還!?


 シャーロック・ホームズがライヘンバッハの滝に消え、帰還するまでの数年間――いわゆる「大空白時代」は、これまで様々な作品で扱われてきました。そして本作はその中でも最も奇妙な作品の一つでしょう。何しろホームズは、小さな人形にその身をやつしてロンドンに帰還していたというのですから!

 『最後の事件』において、宿敵モリアーティ教授との対決の末、もろともにライヘンバッハの滝に消えたホームズ。それから『空家の冒険』でドラマチックな帰還を果たすまで、読者は、そして何よりもワトスンは、彼が死んだと思い、悲しみに暮れてきました。

 この間、ホームズはチベットをはじめとして世界を放浪したと言われるのですが、その詳細は謎のまま。それだけに大いにファンの心をそそる時期であります(日本で発表されたパスティーシュの中には、彼が日本を訪れるという趣向の作品も幾つかあります)。
 そんな時期、愛妻メアリを亡くしたワトスンが、懐かしいベーカー街221Bを久しぶりに訪れる場面から物語は始まります。

 あのハドスン夫人はホームズを喪った悲しみもあって引退、今はその姪で若く美しい寡婦のミセス・ハドスンが管理人を務める下宿。そこにある日届いたのは大きなドールズハウス――それもこの221Bをそっくり模したものだったのです。
 差出人不明のこの奇妙な荷物に驚いたミセス・ハドスンに招かれたワトスンですが、彼にとってもこの荷物は不可解。物思いに沈む彼の耳に聞こえてきたのはあの懐かしいバイオリンの音色――そしてそれを弾いていたのはホームズの人形!?

 思わず失神したワトスンが意識を取り戻した時、やはりそこにいたのはホームズの人形(人形のホームズ)。実は生きていたホームズは、かつてある事件で知り合った霊媒体質の少女の力を借り、小さな蝋人形に魂を宿して帰ってきたというではありませんか!
 さすがに驚きを隠せないワトスンですが、霊感少女の存在は彼も知るところであり、何よりも目の前に動かぬ証拠がいるのですから信じるほかありません。かくて、懐かしい221Bに帰ってきたワトスンは、ドールズハウスの221Bに暮らすホームズとともに、再び冒険の日々を送ることに……


 その晩年に心霊主義に傾倒したことで有名なコナン・ドイル。しかしそのドイルをしても、ホームズが人形に霊魂を宿すとは思わなかったでしょう。
 ドールズハウスのミニチュア世界に暮らし、事件現場に赴くときはワトスンの頭に乗り、帽子の中に隠れて移動するホームズ。その姿は何ともコミカルですが、もちろんその知性は以前と変わることはありません。

 そしてこの姿でも彼の好奇心と事件に挑む情熱もそのまま。今なお届く事件の依頼状を受け、以前にも増してワトスンの力を借りることになるもののこの名コンビは、ロンドンを騒がす事件の数々に挑んでいくのです。

 そう、名コンビ――本作に描かれるのは、いささか(どころではなく)変則的ではありますが、我々が長きにわたって愛してきたあの名コンビの姿。本来ではあり得ない時期であり、あり得ない姿であるからこそ――より一層二人の友情は理想化されて、本作で描かれているように感じます。

 絵的に見ると、ワトスンが聖典のイメージとはかけ離れた細面の美青年に描かれていることに(そして別人とはいえハドスンさんがうら若き美女となっていることに)違和感を感じる向きもあるかとは思いますが、これは作者も承知の上でのものでしょう。
 何しろ作中の一エピソードにおいては、熱狂的なホームズ譚――いやワトスンファンの少女が登場、聖典の中の彼にまつわる細かい矛盾点の一つ一つにツッコミを入れていくのですから、これはもうわかってやっていると見做してよいかと思います。

 また、物語の終盤においては、彼らとは同時代人であるブラム・ストーカーが登場。何と彼自身が吸血の魔物の影につきまとわれていて――という二重のパスティーシュ展開も楽しい。そしてラストで、きちんと聖典に帰着してみせるのも心憎いところです。


 しかし本作において一点(それもかなり大きく)残念なのは、物語におけるミステリ、というより推理の比重がかなり小さいことであります。

 描かれる事件にオカルト要素が強いのは、これはもうホームズの設定からしてやむを得ないのですが、しかし事件の謎が「オカルトでした」で済まされるのはいただけない。
 日常と超常が共存する世界だからこそ、その区切りを明確にし、そして超常の世界においても、その論理を貫くホームズの推理が見たかった――と強く感じた次第です。


『Dear ホームズ』(もとなおこ 秋田書店ボニータコミックス全2巻) 第1巻 Amazon/ 第2巻 Amazon
Dearホームズ 1Dearホームズ 2

| | トラックバック (0)

2018.07.12

長池とも子『旅の唄うたい』シリーズ 時空を超えて描かれる人々の美しい「情」


 代表作『崑崙の珠』をはじめ、中国ものを得意とする作者が、古代中国を舞台に描くオムニバス形式の連作集――「旅の唄うたい」を名乗る謎めいた美青年・夜烏が、様々な時代と場所で、歴史に名を残す人々の生き様を見つめる物語であります。

 殷王朝末期から唐の玄宗皇帝の時代まで――約二千年にも及ぶ時の流れの中で変わらぬ姿を保ち、様々な場所に現れる旅の唄うたい・夜烏。
 時にはその性別すら変えて現れる彼は、歴史を大きく動かす運命にある人物の前に現れては、時にその行動を助け、時にその行動を止めんとして、歴史の裏側から関わっていくことになります。

 実は彼の正体は、天界の寧安宮に住まう狐祖師の弟子。
 野狐として修行を積む彼は師の命を受け、地上から戦乱をなくし平和をもたらすため、戦乱の原因を作る者たち、あるいはそれを止められる者たちに接触するのであります。
(ちなみに何故戦乱をなくそうとするかと言えば、野に住まう同族の狐たちが戦乱に巻き込まれるから、という理由が面白い)

 しかし人間の心は複雑怪奇、たとえ夜烏が「正しい」道を示したとしても、それに従う者は少なく、彼らは、彼女らはそれぞれの運命に殉じていく――そんな人間たちの姿を描く物語であります。

 さて、全4巻の本作は、それぞれ1話あるいは2話をかけて、その人物の物語を描いていくことになります。以下にその名と時代を挙げれば……
 則天武后(唐)
 王昭君(前漢)
 孫堅(後漢)
 妲己(殷)
 呂不韋(秦)
 始皇帝(秦)
 李斯と韓非(秦)
 司馬遷(前漢)
 呂后(前漢)
 卓文君と司馬相如(前漢)
 趙飛燕(前漢)
 徐庶(後漢)
 楊貴妃(唐)

 何とも豪華かつバラエティーに富んだ顔ぶれであります(その中でも女性が多いのは、これは少女漫画という媒体に依るところが大きいかもしれませんが)。

 そしてその中で描かれるのは、「史記」をはじめとする歴史書の記録、あるいはそれを題材とした「三国志演義」のような物語中の逸話を踏まえた物語。
 こうした表に現れた「史実」を忠実に踏まえつつも、本作は夜烏を狂言回しに、その裏側の表に見えないもの――言ってみれば人の「情」を浮き彫りにしていくのであります。

 その名前を見ただけでおわかりの方も多いかと思いますが、本作の主人公たちは、悲劇の運命を辿る者が少なくありません。
 その意味では決して明るい物語ではないのですが、その生き様に込められた想いは、彼らを絵空事の中の登場人物ではなく、どこか馴染み深く人間臭い存在として浮かび上がらせ、決してその読後感は悪くありません。

 また、歴史上では「悪人」とされている者たちにおいても、その悪を為すにやむを得ない理由、どうにもならない業、あるいは単純な悪人ではない「人」としての顔を描いてみせるのも、定番ではありますが実にいいのであります。(もっとも、この趣向のため、「悪女」を主人公とした物語は、似通った印象を受けてしまうきらいはあるのですが)

 また作者が三国志愛好家を自称するだけあって、三国志関連の二人を主人公とするエピソードはどちらも実に熱い。
 特に徐庶などは、侠客から軍師という彼の転身を曹操との因縁を理由に語りつつ、劉備(これがまた任侠の人的な描写が楽しい)との深く強い絆を感じさせる内容で、読んだ人間が皆徐庶ファンになるのでは――と言いたくなるほどの内容であります。


 しかし、そんな時空を超えた物語にも終わりは訪れます。時系列的には最も新しい、すなわちラストとなる楊貴妃の物語では、同時に夜烏の――そして幾度となく夜烏の前に現れて彼を妨害してきた謎の野狐精・吉祥の――秘められた過去が描かれることとなります。
 封印されていた夜烏の秘密自体は、そこまで意外性があるものではないかと感じますが、しかし特筆すべきは、そこで彼らが――人ならぬ狐たちが見せる「情」の姿でしょう。

 そしてさらに、夜烏を使役してきた狐祖師もまた、強く深い「情」の持ち主であったことを示す結末は実に切なく――本作がいつの時代にもいつの場所にも、そして誰の中にもある美しい「情」を描く物語であったと、改めて感じさせてくれるのです。


『旅の唄うたい』シリーズ(長池とも子 秋田書店プリンセス・コミックス全4巻) 第1巻『打猫』 Amazon/ 第2巻『豺狼』 Amazon/ 第3巻『日食』 Amazon/ 第4巻『傾国』 Amazon
旅の唄うたいシリーズ 1 (プリンセス・コミックス)旅の唄うたいシリーズ 2 (プリンセス・コミックス)旅の唄うたいシリーズ 3 (プリンセス・コミックス)傾国ー唐の楊貴妃ー―旅の唄うたいシリーズ4 (プリンセスコミックス 旅の唄うたいシリーズ 4)

| | トラックバック (0)

2018.07.07

宇野比呂士『天空の覇者Z』第11巻 日本編開幕! 故郷で天馬を待つもの

 流星の剣を復活させるため日本に向かった天馬。しかしその鍵を握る華奈は記憶を失っていた。彼女を回復させるために両国の川開きに連れ出した天馬だが、そこにヴァルキュリア戦隊の二人が襲撃。さらに乱戦の中で奪われたT鉱を取り戻そうとしたキリアンが、日本軍の秘密工場に捕らわれてしまう……

 この巻からスタートの日本編。既に天馬の過去自体はカラクーム・オッフェンバルクの最中に描かれていますが、その過去を乗り越えるための物語が始まることになります。

 実はT鉱から作られていた流星の剣を復活させるため、故郷である日本に向かう天馬と、アンジェリーナ・J・キリアンの一行。宇野漫画お得意のご当地グルメ描写の後、意気揚々と懐かしい北辰一刀流の道場を訪れる天馬ですが――しかし道場は無人の状態で、天馬の許嫁であった華奈も見当たりません。
 しかしこれはどう考えても天馬に無理があった話、一番の高弟が師匠を斬殺して逃走した流派が残っている――少なくとも自分を迎えてくれる方がおかしい。そのことを天馬に叩きつけたのはかつての同門――今は帝国海軍軍人の新キャラ・西郷志郎であります。師の仇である天馬に切りかかってきた(そして折れた流星の剣を見て激昂した)志郎ですが、アンジェリーナが割って入ったことで引き、その場には今更ながらにショックを受けた天馬が残されるのでした。

 そして悲しみの中、師の墓を詣でる天馬ですが――そこで出会ったのは何と探していた華奈。しかし様子がおかしい、と思いきや、彼女は恋人が父を斬殺した衝撃で、記憶喪失となっていたのであります。何としても彼女の記憶を取り戻すと誓う天馬ですが――その頃、宿敵ヴァルキュリア戦隊のリップフェルトとマルセイユも日本に到着。
 ナチスと手を組んでY計画なる秘密計画を進める山本五十六の出迎えをスルーする態度のデカい二人を案内するのは志郎――これはただですむはずがありません。

 さて、かつての最愛の人であり、流星の剣を打った刀鍛冶のことを知るらしい華奈の記憶を取り戻すべく、二人の思い出での両国の川開きに連れ出した天馬一行。屋形船でつかの間楽しい時間を過ごす一行ですが――そこにマルセイユとリップフェルトが襲来!
 人間の思考の動きを「青い影」として見ることができるマルセイユと、人間離れした超加速能力を持つリップフェルト。ヒトラー直々に獣性細胞を与えられた「純血種」である二人は、戦闘機を降りても凄まじい戦闘力で襲いかかります。

 リップフェルトはJが迎え撃ったものの、流星の剣が使えない天馬はマルセイユの予測偏差射撃に大苦戦。何故か「青い影」を見ることができるキリアンがフォローするものの、さらに志郎までが現れ、天馬は深手を負わされることになります。
 が――その時、満月の光を浴びてアンジェリーナの力が覚醒します。以前とは姿を大きく変えた――より人間離れした、しかし美しい姿と圧倒的な力で敵を一周する獣鬼アンジェリーナ。彼女の活躍で敵は撃退できたものの、そこに日本軍の潜水艦が出現、敵を回収して撤退する混乱の中で、流星の剣の材料として天馬たちが持ち込んだT鉱のインゴット入りの鞄が志郎に奪われてしまいます。そしてキリアンは、鞄を追って潜水艦もろとも消えることに……

 意識を失った天馬を手当しながら、アンジェリーナに対して恐怖と憤りをぶつける華奈。しかしアンジェリーナはその言葉を静かに受け止めると天馬を彼女に任せ、自分はJとともにキリアンを追って飛び出します。小型T鉱レーダーが指し示す目的地は横須賀――そこには海軍の秘密基地があったのであります。そこに一足先に忍び込んだキリアンですが――志郎から鞄を奪おうとして失敗、捕らえられてしまうのでした。
 そしてマルセイユに痛めつけられるキリアン。何故か自分と同じ能力を持つキリアンに苛立つマルセイユの銃弾がキリアンを貫いたかに思われた時――一瞬遅れて飛び込んだJとアンジェリーナが見たものは、復活して正面から殴り込んだ天馬の姿であります。果たしてインゴットを奪還して脱出なるか――というところで次巻に続きます。


 Zは大破、新・天翔馬号も置いてきたという状況のため、等身大戦のみの日本編。しかし戦闘機なしでも十分に強いヴ隊の二人、そして何よりもアンジェリーナの覚醒によって、この巻ではかなり盛り上がるバトルが展開されることになります。もっとも、天馬自身は愛刀を折られてほとんど戦力外で、二度もアンジェリーナに救われる有様ですが……
 しかしこれはむしろ、これまで同様、いやそれ以上にアンジェリーナのイイ女ぶりを素直に受け止めるべきなのでしょう。何しろ、あのJが認めるのですからかなりのものです。

 しかし読み返してみると、唐突感のあったキリアンの能力も伏線が張ってあったと感心。Jの恋人については――どうなのかなあ。


『天空の覇者Z』第11巻(宇野比呂士 講談社少年マガジンコミックス) Amazon
天空の覇者Z 11 (少年マガジンコミックス)


関連記事
 宇野比呂士『天空の覇者Z』第1巻 幻の名作の始まり――快男児、天空に舞う!
 宇野比呂士『天空の覇者Z』第2巻 天馬vs死神、天馬vs獣人!
 宇野比呂士『天空の覇者Z』第3巻 激突、巨大空中兵器の死闘!
 宇野比呂士『天空の覇者Z』第4巻 流星の剣の目覚めるとき
 宇野比呂士『天空の覇者Z』第5巻 激突! 新生Zvs第三の超兵器
 宇野比呂士『天空の覇者Z』第6巻 Z最大の危機!? 変幻自在の怪物たちの襲撃
 宇野比呂士『天空の覇者Z』第7巻 決戦開始!? 明かされゆく数々の秘密
 宇野比呂士『天空の覇者Z』第8巻 激闘カラクーム砂漠 そして理解不能の事態へ
 宇野比呂士『天空の覇者Z』第9巻 世界変容再び! 運命を超えるための死闘
 宇野比呂士『天空の覇者Z』第10巻 決着、Z対G! そして天馬新たなる旅立ち

| | トラックバック (0)

2018.06.30

宇野比呂士『天空の覇者Z』第10巻 決着、Z対G! そして天馬新たなる旅立ち

 世界変容の終了直後、ネモ最後の策でGに特攻を仕掛けるZ。互いに艦橋を狙った末に対峙するネモとクブリックだが、ZとGは共に墜落することになる。Zが修理される間、日本に向かう天馬。見送るネモは、ギヌメールに自分とヒトラー、竜崎博士の因縁を語る。一方、深い傷を負ったヒトラーは……

 一冊丸々、異世界で繰り広げられる天馬とヒトラーの戦いが描かれた後、久々に現実世界に戻って繰り広げられるこの第10巻。読者としてみれば、まさにZとゴグマゴグの決戦寸前に一時停止していたようなものですが――しかし停止前と異なるのは、眼下のラルカナルタが全盛期の姿を取り戻していたことであります。さらに死んでいたはずの巨大なT鉱隕石が再活性化し、その反重力作用で周囲の運河の水が浮遊、濃密な霧が周囲を包む中、Zは霧海の中に消えます。
 思わぬ奇跡に助けられましたが、元々ネモはZの主砲を地下水脈に打ち込んで同じ現象を起こそうとしていたのでこれは計算のうち。しかしいくら隠れても、浮上した時にG砲を喰らえばおしまいなのですが――クブリックがある迷いを抑えて発射したG砲は、浮上したZをすり抜けた!? 実は浮上したかに見えたのは水空現象で空気中の水滴に映ったZの鏡像。まさしく「砂漠の蜃気楼」でクブリックの裏をかいたネモの最後の策は――突撃!

 衝角でGを串刺しにしたZから、一気に艦橋を占拠すべく突入したJ率いるZ陸戦隊ですが、逆にクブリックは愛犬とともにZの艦橋を急襲、ネモに銃を突きつけます――しかし、そこでクブリックの前に立ったのはエリカ。実は(読者にはわかっていましたが)彼女はリヒトホーフェンの妹であり、クブリックの許嫁だったのであります。さらに、許嫁の乗った艦にG砲を撃ったのかというウェルのツッコミにクブリックもたじろぎ(なんか乱入してきたベイルマンも取り押さえられて)、この場は完全にZ側の勝ちかと思いきや――なんとクブリックは囮、この隙にZのT鉱炉を襲撃した配下によって炉心がパージされ、Zは質量を取り戻して墜落することに……
 しかし最後の意地でウェルがハープーンを打ち込んだことでGも巻き添えとなり、よりによってT鉱隕石の上に墜落。アンジェリーナの励ましで何とか力を取り戻した天馬の先導で辛うじてZは不時着したものの大破し、その最中にクブリックはどこかに姿を消すのでした。


 そしてGの残骸とT鉱石を利用して、Zの修復に挑むウェル。一時は獣性細胞が暴走したネモも小康状態を取り戻しましたが、ジャン・レノというより黒いタートルネックが似合う元CEOのようなビジュアルに――というのはさておき、訪ねてきたギヌメールに対して、目指すツングースにあるものが「レーベンスボルン」と呼ばれる純獣性細胞であると語ります。ツンドラの下に眠る全ての獣性細胞の根源と呼ばれるそれが如何なる力を持つのか――それはネモにもわかりませんが、しかしヒトラーに渡してはならないと強い決意を語るのでした。
 第一次大戦時、ギヌメールとの空戦の果てに一度は落命したネモに獣性細胞を与えて蘇生させたヒトラー。以降、世界を作り変えるというヒトラーの夢を実現するため、ネモは竜崎博士とともに三人でT鉱と獣性細胞の研究に勤しむのですが――しかし、ヒトラーの体の異変を仄めかいた直後に竜崎夫妻が謎の死を遂げ、さらにミュンハイムの悲劇でZ砲開発のために街一つが消滅したのをきっかけに、ネモはヒトラーと決別し、Z同盟を結成するに至ったのであります。

 一方、そのヒトラーは世界変容中の天馬との死闘で結局瀕死の重症を負い、回復も果たせぬまま、ズタズタの意識不明状態で医療カプセルに収容される状態。そしてその間に実験を握ったのは、影武者であったチョビ髭の男と、謎の怪人物リーフェンシュタール博士――ヒトラーをいわば人質にとった彼らの言うままに、ヴァルキュリア隊は新たな任務に就くことになるのでした。

 片や、「逃げない男になるため」とネモに申し出て、日本に向かう天馬。流星の剣を折られた直後は、これまで一貫して明朗快活、強気だった彼とは思えぬほどの狼狽ぶりを見せた天馬でしたが、アンジェリーナとともに新たな運命を歩むため、彼女(あとJとキリアン)を連れて、日本に向かうことに……


 というわけで中盤の大きな山だったからクーム編も大波乱の末に完結、本当にZとGが同体で墜落した時にはこの漫画も一巻の終わりかとリアルタイムで読んでいた時には思いましたが(ここのところずっと同じようなこと言ってますが)、次巻からは日本編に突入、まだまだ物語はここからが盛り上がることになります。

 にしてもレーベンスボルンという語をこういう形で使ってくるとは――確かに元の意味は「生命の泉」であるわけで、そのセンスに脱帽であります。


『天空の覇者Z』第10巻(宇野比呂士 講談社少年マガジンコミックス) Amazon
天空の覇者Z 10 (少年マガジンコミックス)


関連記事
 宇野比呂士『天空の覇者Z』第1巻 幻の名作の始まり――快男児、天空に舞う!
 宇野比呂士『天空の覇者Z』第2巻 天馬vs死神、天馬vs獣人!
 宇野比呂士『天空の覇者Z』第3巻 激突、巨大空中兵器の死闘!
 宇野比呂士『天空の覇者Z』第4巻 流星の剣の目覚めるとき
 宇野比呂士『天空の覇者Z』第5巻 激突! 新生Zvs第三の超兵器
 宇野比呂士『天空の覇者Z』第6巻 Z最大の危機!? 変幻自在の怪物たちの襲撃
 宇野比呂士『天空の覇者Z』第7巻 決戦開始!? 明かされゆく数々の秘密
 宇野比呂士『天空の覇者Z』第8巻 激闘カラクーム砂漠 そして理解不能の事態へ
 宇野比呂士『天空の覇者Z』第9巻 世界変容再び! 運命を超えるための死闘

| | トラックバック (0)

2018.06.29

速水時貞『蝶撫の忍』第2巻 さらなる昆虫忍者登場 頂上決戦勃発寸前!?


 覇王の首を巡り、昆虫を模した能力を持つ忍びたちが激突する忍者アクションの第2巻であります。思いも寄らぬ裏切りの前に捕らえられた覇王の首を守る甲賀のくノ一・鱗に
迫る、恐るべき伊賀の拷問。そしてついに姿を現した甲賀と伊賀、それぞれの最強メンバーの動きは……

 幼い頃から甲賀で過酷極まりない修行を重ねた末、生まれついての鋭敏な指先の感覚を極限まで研ぎ澄まし、「蝶」の生態を模した忍法を会得した鱗。やがて織田信長のもとに刺客として送り込まれた彼女は信長に信頼され、彼が本能寺で最期を遂げるまで行動を共にすることになります。
 そして覇王の首を守るため、甲賀に逆らって姿を消した鱗。京の色街に隠れた彼女ですが、甲賀の追っ手はそこにも迫り、客として訪れていた伊賀のDT忍び・斑猫の半坐を巻き込んで激しい戦いが始まることになります。

 死闘の末に辛うじて逃れる二人ですが、しかしその前には鱗の師を含む最強の面々・甲賀十忍衆が出現。その一番手の忍法から辛うじて逃れた鱗の一瞬の隙を突いたのは何と半坐――彼こそは伊賀の頭領・服部半蔵の弟子であり、鱗を捕らえるために接近したのであります。
 半蔵の手により「数珠髭の間」なるおぞましい拷問部屋に送り込まれる鱗。一方、鱗を奪回せんとする十忍衆は伊賀に迫るのですが……


 誰が敵で誰が味方か、油断できないのは戦国の――そして忍者のならい。特に本作のように、昆虫の能力を模した超絶の忍法を用いる忍者たちが跳梁する物語であればなおさらですが――しかしそれでもさすがに驚かされたのは第1巻ラストの半坐の裏切りです。
 確かに伊賀の忍びではあるものの、直情径行でお人好し、DTで美女に弱いという、ある意味非常にわかりやすい人物に見えた彼の行動は、誰一人として信用できぬ本作という物語の一つの象徴とすら感じられるのであります。
(それでもまあ、その直後に――となるのですが、それもまた彼らしい)

 しかしそんなことに感心している間に、鱗は鬼畜エロ漫画みたいな拷問部屋に放り込まれ、色々な意味で風前の灯火。そこから思わぬ――というかやっぱりな救い主によって助け出されたものの、彼女たちを襲うのは今度は伊賀最強の忍びたち――伊賀忍十座。
 面をつけて忍忍言ってる半蔵とその弟、ニョホニョホ笑う「番犬」と、ちょっとどうかと思う面子ではありますが、言うまでもなくその実力は折り紙付きであります、

 そしてもちろん甲賀十忍衆も黙っているはずもなく、ここに鱗と覇王の首を巡り、甲賀対伊賀の頂上決戦が勃発寸前に――いやはや、忍者好きとしてはたまらない展開です。


 何しろこれまで繰り返し述べてきたように、本作に登場する忍者たちは、敵も味方も、甲賀も伊賀も、いずれも昆虫の能力をモチーフとした忍法使いたち。
 蝶、斑猫、華潜、螻蛄、蟻地獄、さらには御器噛まで――モチーフである程度能力の想像がつくものいれば、全くつかないものまで様々ですが、驚くべき「実在の」昆虫たちの能力に基づいた忍法の数々は、問答無用の説得力を持ちます。

 第1巻同様、この巻でも忍者たちが忍法を放つたびに、毎回1ページ近くを使って忍法解説=昆虫の能力解説が行われるのですが、これがお約束とはいえ実に楽しい。
 異能の忍者のトーナメントバトルの始祖というべき山田風太郎の忍法帖においては、しばしば医学知識に基づいた忍法解説が描かれてきました。これが物語に実にもっともらしい説得力を与えていたことを思えば、本作はその直径――実に「忍者もの」らしい「忍者もの」であると言えるのかもしれません。


 さて、秀吉についた甲賀と、家康に仕える伊賀と――本作で描かれる忍者たちによる覇王の首争奪戦は、そのまま信長の後継者争いにまでつながっていくことになります。
 そんな巨大な歴史の流れの中の戦い、権力者同士の天下を巡る争いの中で、ちっぽけな虫の存在などは、まさしく竜車に向かう蟷螂の斧――ただ踏みつぶされるだけしかないのかもしれません。

 しかし一寸の虫にも五分の魂という言葉もあります。甲賀と伊賀の最強メンバー同士のバトルもさることながら、鱗が、半坐が、この先どんな意地を見せてくれるのか、大いに期待したいと感じさせられるのです。

『蝶撫の忍』第2巻(速水時貞&村田真哉 スクウェア・エニックスガンガンコミックスJOKER) Amazon
蝶撫の忍(2) (ガンガンコミックスJOKER)


関連記事
 速水時貞『蝶撫の忍』第1巻 昆虫の力持つ忍者たちの死闘開幕

| | トラックバック (0)

2018.06.23

宇野比呂士『天空の覇者Z』第9巻 世界変容再び! 運命を超えるための死闘

 突如始まった世界変容の中、現れた「最初に扉を開けし者」は、天馬に過去を垣間見せ、新たな因果律の王になれと誘う。しかしそこにヒトラーが出現、アンジェリーナを賭けて死闘が始まる。空間を克服し、攻撃を無効にするヒトラーに苦しめられる天馬。死の運命に屈したかに見えた天馬だが……

 空中戦の最中、突如わけのわからない空間――カラクーム・オッフェンバルグ(世界変容)に飛び込み、読者同様混乱した状態の天馬。その前に現れたのは、あの長髪ボンデージ男――自称「最初に扉を開けし者」。これまで歴史上の様々な覇者を操っていたという彼は、かねてより(要塞島で天馬が流星刀の力を発揮した時から)天馬に注目していたと語り、天馬に辛い過去を見せつけます。

 かつて師・千葉周太郎の道場で剣を磨き、師の娘の華奈とは相思相愛であった天馬。今度の継承の儀式で師を破れば、華奈と結ばれた平和な暮らしが待っていたはずの天馬ですが――見事流星刀で師を破ったものの、師は突如苦しみ、肩の古傷から奇怪な膿の如きものを吹き出したではありませんか。
 実はかつて、竜崎博士夫妻を殺したヒトラーから天馬を救った周太郎は、その際に深手を負い、ヒトラーの獣性細胞に感染していたのであります。流星刀で儂を斬れという師の言葉に、天馬は無我夢中で刃を振るうのですが――しかし師を斬ってしまった彼は、華奈を残して日本から逃げだし、流れ流れて欧州にやってきたのであります。

 そんな彼の運命の最後に待ち受けるのはヒトラーによる死だと未来を見せ、ヒトラーの掌中にあったかのようなこの運命を変えられると、天馬を新たな因果律の王に据えようと誘う「扉を開けし者」。もちろん拒絶する天馬ですが、そこに突如「開けし者」の体を内側から引き裂いてヒトラーが出現、因果の輪を脱する鍵となるというアンジェリーナを奪わんと、天馬に襲いかかります。

 最後の(?)力を振るい、二人を全盛期のラルカナルタに転送する「者」。中央の巨岩をくり抜いて作られた戦士の塔を舞台に死闘を繰り広げる天馬とヒトラーですが――一足早く塔にたどり着いた天馬が仕掛けた天井や床の崩落の罠に巻き込まれても、ヒトラーは岩の破片を時に体を通過させ、時に打ち払って天馬に迫ります。もはや空間の王として空間に扉を作って瞬間移動することを可能とした彼は、自分の体に扉を作ることにより、自在に攻撃を躱せるようになったのです。
 そして最上階、アンジェリーナの前で激突する二人。天馬の渾身の一撃は見事ヒトラーを貫いたかに見えましたが――しかし空間の扉を天馬の体に繋いだヒトラーにより、天馬は自らの体を貫いてしまったのであります。

 攻防一体のヒトラーの前に膝を屈する天馬。「者」が見せたとおり、ヒトラーの一撃が天馬の命を奪うかに見えたとき――天馬のパンチがヒトラーの顔面にクリーンヒット! 実はヒトラーが開ける空間の扉は一枚だけ――一回扉を開いて攻撃を躱したら、その扉を閉じなければ次の扉を開けられないという「ルール」に天馬は気づいたのです。
 こうなってしまえばもう天馬のもの。刀と拳や蹴りの二段三段攻撃を繰り出す天馬にボッコボコにされたヒトラーの前に、死んだはずの「者」が、今度は突然幼女の姿になって現れ、自ら因果律の王の座を降りたお前のミスだと煽りを食らわせます。しかもこの世界変容のリミットは残り60秒と告げる「者」。もう天馬を倒すどころか残り時間を凌ぐしかないヒトラーですが……

 最後の力で塔を崩壊させて逃げたものの、アンジェリーナの遠隔透視能力で追いかけてきた天馬に追いつめられ、今度こそ最後の一撃を食らったかに見えたヒトラー。しかしその時、不思議なことが起こった! 絶体絶命にまで追い込まれたヒトラーは新たな進化を起こし、新たな能力を得たのであります。
 二本の刃に貫かれたまま傲然と笑うヒトラー。そのまま彼の手は流星刀にかかり、その刀身を粉砕! そしてその次の瞬間、世界変容は終了して……次の巻に続きます。


 追い返し地点を過ぎて早々、いきなりヒトラーと激突することとなった天馬。負けイベントかと思いきや、むしろこのまま完結か、と連載時は(あたかも「者」の掌の上で踊らされる二人のように)盛大にハラハラさせられたものですが――しかしさすがはラスボスだけあってしぶといヒトラーであります。

 そしてこの巻の冒頭でついに語られた天馬の過去。華奈という過去を捨て、アンジェリーナという現在を掴んだ天馬ですが、しかし過去を乗り越えなければその先の未来はありません。
 と言いつつも、元の空間に戻ればそこで続くのはZとGの決戦。果たしてそちらの行方は……まだまだ未来は混沌としているのであります。


『天空の覇者Z』第9巻(宇野比呂士 講談社少年マガジンコミックス) Amazon
天空の覇者Z 9 (少年マガジンコミックス)


関連記事
 宇野比呂士『天空の覇者Z』第1巻 幻の名作の始まり――快男児、天空に舞う!
 宇野比呂士『天空の覇者Z』第2巻 天馬vs死神、天馬vs獣人!
 宇野比呂士『天空の覇者Z』第3巻 激突、巨大空中兵器の死闘!
 宇野比呂士『天空の覇者Z』第4巻 流星の剣の目覚めるとき
 宇野比呂士『天空の覇者Z』第5巻 激突! 新生Zvs第三の超兵器
 宇野比呂士『天空の覇者Z』第6巻 Z最大の危機!? 変幻自在の怪物たちの襲撃
 宇野比呂士『天空の覇者Z』第7巻 決戦開始!? 明かされゆく数々の秘密
 宇野比呂士『天空の覇者Z』第8巻 激闘カラクーム砂漠 そして理解不能の事態へ

| | トラックバック (0)

2018.06.16

宇野比呂士『天空の覇者Z』第8巻 激闘カラクーム砂漠 そして理解不能の事態へ

 カラクーム砂漠上空でゴグマゴグの奇襲を受け、ダメージを受けたZ。Z航空隊もリヒトホーフェンとヴァルキュリア戦隊に追い詰められる中、アンジェリーナの乗る新・天翔馬号が天馬に新たな力をもたらす。そして死闘の最中、砂漠の下から姿を表す伝説の都市・ラルカナルタ。しかしそこにいたのは……

 いきなり決戦開始早々、クブリック提督の「砂漠の蜃気楼」作戦により左舷に大ダメージを受けたZ。お互い反重力兵器のチャージ時間に入り、正面からの砲撃戦に突入するZとゴグマゴグですが――一方、戦闘機同士の空中戦では、ようやく覇気を取り戻した天馬と、Jの力で形勢逆転。さらにギヌメール隊長の指揮により、残りの機体も鉄壁の防御陣であるラフベリー円陣を組み、逆転の機会を狙うことになります。
 が、そこに突如襲いかかる四機の機体。天翔ける星マルセイユ、戦場の薔薇リップフェルト、大空の重戦車バルクホルン、電光石火の鷹キルシュナー――彼らこそはヒトラー直属のヴァルキュリア戦隊であります。

 Jの動きすらも捉える予測偏差射撃を放つマルセイユ。複数の重火器を同時に操るバルクホルン。急降下と急上昇による奇襲を仕掛けるリップフェルト。触角で外部の状況を完全に捉えるキルシュナー。ヒトラーから与えられた異能を操る彼らの攻撃により、Z航空隊は大打撃を受けることとなります。
 そして天馬に襲いかかるのはリヒトホーフェン。空中旋回しながら狙って射撃を当てるというという、神がかった攻撃を放つリヒトホーフェンに、さすがの天馬も追い詰められるのですが――そこに突っ込んできたのは新・天翔馬号、乗るのはアンジェリーナ!

 パイロットとしてはド素人のアンジェリーナですが、ウェルがかねてより用意してきた新型機のパワーは絶大。さしものレッド・バロンにも一瞬の隙が生まれますが――しかしそれ以上に天馬にとっては、深く落ち込んでいたアンジェリーナが自分のために立ち上がってくれたという事実こそが大きな力を与えてくれます。空中で機体から機体へ乗り移るという無茶をこなして新・天翔馬号に乗り込んだ天馬は、勇気百倍で反撃に出るのでした。
 そんな中、ついに反重力兵器のチャージも完了したZとゴグマゴグ。しかしZは一門、ゴグマゴグは二門とその差は歴然としている中、ネモはZ砲をどのように使うのか? 戦場全体が固唾を呑んで見守る中で放たれたZ砲に対し、スイスでの対決でこれを避けたことで敗北したクブリックは、動けず直撃を食らったかに見えたのですが――その直前にG砲を放つことで反重力球同士をぶつけて弾くという、反重力球ビリヤード先方で完全回避に成功。もはやZには打つ手なしと思いきや……

 弾かれたZ砲の反重力球が向かった先は、ヴァルキュリア戦隊がZ航空隊を襲う空域。さしものヴ隊もこれには撤退を余儀なくされる中、Z航空隊はZへの帰還のチャンスを得ます。そしてG砲の反重力球が向かった先は地表――砂漠の砂が吹き飛ばされたそこから現れたのは、巨大な隕石とその周囲の古代都市の遺跡――カラクームにかつて落下したT鉱隕石の周りに造られたという、伝説の王宮都市・ラルカナルタ。これこそがネモの真の狙いだったのであります。
 と、ここでネモとヒトラーがかつてこの地を訪れたこと、そして二人がかつては志を同じくしていたと語られるのですが――さてその志の内容が何で、そして何故それをネモは捨てたのか? いやそもそも、この都市の出現が今どのような意味を持つのか? 結局はぐらかされただけの印象ですが、先行きが一気に不透明になったことは間違いありません。

 そして激しく一騎打ちを繰り広げる天馬&アンジェリーナとリヒトホーフェン。リヒトホーフェンはヒトラーに与えられた生体感覚時間を自在に操作する能力により(ここで語られる疑似科学的ロジックが実に楽しい)、時間の支配の外側に立った人間として天馬を翻弄するのですが――しかしその彼の動きを察知できる人間が一人だけいます。そう、アンジェリーナが。そして彼女の瞳に映る機影を目にした天馬もまたその動きを捉え、ついに完全に互角の立場に立ったかと思われたその時!

 そこで理解不能の事態が発生します。つい数分前まで砂に埋もれていたはずの古代都市の中に、佇む人影がいたのであります。それもボンデージ姿の、なんか古代の柱に埋まってそうなごつい長髪姿の――というのはさておき、その男が現れた瞬間、遠く離れたベルリンではヒトラーが天馬に斬られた傷から血を吹き、そしてネモの失われた側の目からは獣性細胞が吹き出したのであります。
 そして何処ともしれぬ空間に引きずり込まれた天馬とアンジェリーナの前には謎の男が現れて……

 連載で読んでいた時には、本当に理解を絶していたこの巻の終盤の展開。このまま終わってしまうのでは、と怯えたものですが――大丈夫、丁度ここが全16巻の折り返し地点であります。というわけで以下、さらに想像を絶する展開の次巻に続きます。


『天空の覇者Z』第8巻(宇野比呂士 講談社少年マガジンコミックス) Amazon
天空の覇者Z 8 (少年マガジンコミックス)


関連記事
 宇野比呂士『天空の覇者Z』第1巻 幻の名作の始まり――快男児、天空に舞う!
 宇野比呂士『天空の覇者Z』第2巻 天馬vs死神、天馬vs獣人!
 宇野比呂士『天空の覇者Z』第3巻 激突、巨大空中兵器の死闘!
 宇野比呂士『天空の覇者Z』第4巻 流星の剣の目覚めるとき
 宇野比呂士『天空の覇者Z』第5巻 激突! 新生Zvs第三の超兵器
 宇野比呂士『天空の覇者Z』第6巻 Z最大の危機!? 変幻自在の怪物たちの襲撃
 宇野比呂士『天空の覇者Z』第7巻 決戦開始!? 明かされゆく数々の秘密

| | トラックバック (0)

2018.06.09

宇野比呂士『天空の覇者Z』第7巻 決戦開始!? 明かされゆく数々の秘密

 ゲームのルールを見破ったJと、ウェルの機転により倒されたドッペルとジェネシス。一時の平和の中、ツングースに進路を取るZだが、その途上、カラクーム砂漠で待ち受けていたのはクブリック率いる超巨人機ゴクマゴグだった。アンジェリーナの変調に心乱される天馬たちに敵の大軍が襲いかかる……

 ジェネシス編のラストと、ヒトラーと獣性細胞とT鉱の重要な秘密が語られる転章、そして中盤のクライマックス・カラクーム編のスタートと山場の連続の第7巻。折り返し地点も目の前であります。

 低温に弱いというジェネシスの弱点は発見したものの、ドッペルの陽動により苦戦を強いられる一行。絶体絶命のベイルマンを救い、装甲司令室に飛び込むJですが――そこに避難していたのは天馬・アンジェリーナ・ネモ・ギヌメール・エリナの面々。この中にドッペルが紛れていると睨んだJが告げたゲームの真のルールとは、そしてドッペルが化けていたのは――ここでは伏せますが、成る程、実にうまい仕掛けであります(冷静に考えると何故そうなっているのかはわかりませんが)。
 そしてジェネシスの方も、ウェルの突貫工事で完成した液体窒素砲で撃退された末に、生物兵器としてのある習性を利用され(これまた理詰めの発想が実にいい)、撃退されることになります。

 そして両者との戦いで、そしてその中で偶然目にしたある論文から、獣性細胞とT鉱の意外な繋がりを看破したウェル。獣人たちの心臓に埋め込まれていたのはT鉱の欠片であること、獣性細胞が低温下で休眠状態となること――これらから導き出されるのは、獣性細胞はT鉱の中で眠りについた状態で地球に落下してきたという事実だったのです。
 シベリアに向かう列車に乗っていた際、ツングースへの隕石の落下に巻き込まれ、そこで獣性細胞とT鉱を手に入れたヒトラー。そして自分は「時の外に立つ存在」と化した――自邸に招いたリヒトホーフェンにそう語るヒトラー彼は、文字通りリヒトホーフェンのハートを奪い、新たな力を授けるのでした。

 さて、ウェルが見た論文の作者が自分の両親だった――すなわち両親がナチスで獣性細胞の研究を行っていたという真実に悩む天馬の前に現れたアンジェリーナ。彼女が家族にもらったというからくり仕掛けの「宝石で装飾されたイースターエッグ」を見せたりして、わちゃわちゃしているうちに良いムードになった二人ですが――突如アンジェリーナが暴走、天馬に襲いかかるではありませんか。
 獣性細胞に感染し、ヒトラーの下にも存在しない突然変異種と化していたアンジェリーナ。暴走はすぐに収まったものの、いつまた再発するかわからない状態となり、そしてそれ以上に最愛の天馬を襲ったことに彼女は深く傷つき、Z乗組員から不信の目を向けられる彼女に天馬も傷つき――重い空気の中、Zは全ての始まりの地であるツングースに向かいます。そこに何があるのか不明のまま――しかし天馬の勘がそこに鍵があると告げ、何よりもネモが既にそこに針路を向けていたことを考えれば、何もないわけがありません。

 そしてツングースまであと一週間あまりのカラクーム砂漠上空で、ナチスの追撃隊との決戦を予測して訓練に入るZ航空隊。ギヌメールを総隊長に、Jと天馬あとモブキャラを隊長として周囲からの視界を遮る砂の嵐の中で訓練を始めますがが、しかし天馬は上の空。いきなり登場した――本当にいきなり登場したので、初読時は新たな刺客とかそういうのかと――ショタキャラ・キリアンに懐かれても意に介さず、危険な飛行を一人で繰り広げます(それに何気についていくキリアン)。

 と、突如黒く陰る天空と、そして噴水のように砂を高く吹き上げる砂漠。天空を陰らせたものは反重力球、そして砂の下から現れたのは、それを放った超巨人機・ゴグマゴグ! ほとんどシューティングゲームのボスキャラ出現のような演出で現れたゴグマゴグを駆るのはもちろんクブリック提督、アルプスでの雪辱に燃える彼は、改修されたG――ゴグマゴグで電撃奇襲作戦「砂漠の蜃気楼」を挑んできたのであります。
 その改修の証であるもう一門の反重力砲を放つゴグマゴグ。最初の反重力球は回避し、次はバラストの反重力ガスで辛うじてブロックしたZですが、窮地は否めません。

 そしてそこに襲いかかるは、千機にも及ぶルフトバッフェの戦闘機の群れ。砂嵐の中で視界が効かないのはお互い様のはずが、一方的に攻撃を仕掛けてくる敵に撃墜されるモブ隊長たちに、ついに天馬の本気が……

 というわけで新章突入早々、いきなり全速力で突っ走り始めたZとゴグマゴグの決戦。様々な秘密も明かされ、もうこのまま完結してしまうのでは――というくらいの盛り上がりであります。
 しかしこの先物語は全く思いもよらない方向に転がっていくのですが――この先は次巻のお楽しみであります。

『天空の覇者Z』第7巻(宇野比呂士 講談社少年マガジンコミックス) Amazon
天空の覇者Z 7 (少年マガジンコミックス)

関連記事
 宇野比呂士『天空の覇者Z』第1巻 幻の名作の始まり――快男児、天空に舞う!
 宇野比呂士『天空の覇者Z』第2巻 天馬vs死神、天馬vs獣人!
 宇野比呂士『天空の覇者Z』第3巻 激突、巨大空中兵器の死闘!
 宇野比呂士『天空の覇者Z』第4巻 流星の剣の目覚めるとき
 宇野比呂士『天空の覇者Z』第5巻 激突! 新生Zvs第三の超兵器
 宇野比呂士『天空の覇者Z』第6巻 Z最大の危機!? 変幻自在の怪物たちの襲撃

| | トラックバック (0)

2018.06.02

宇野比呂士『天空の覇者Z』第6巻 Z最大の危機!? 変幻自在の怪物たちの襲撃

 動力炉が暴走し爆発寸前の「聖なる道」の切り離しに苦戦するも、ネモの機転により辛うじて難を逃れたZ。しかしその内部に変幻自在の獣人・ドッペルが出現、捕虜となったベイルマンを狙う。さらにドッペルが持ち込んだ生物兵器・ジェネシスにより艦内は汚染され、天馬たちは絶体絶命の窮地に……

 要塞島での冒険から超兵器同士の空中戦と展開してきた第三部イタリア編もいよいよ最終局面。そしてこの巻では作中きっての異色編、ジェネシス編が始まることになります。

 Zとの戦闘力に圧倒されつつも、Zとアンジェリーナを葬るため、強制ドッキングした「聖なる道」号のT鉱炉を自爆させ、道連れにしようとするベイルマン局長。「聖なる道」のドッキングアームを解除するため乗り込んだ天馬の前に現れたのは、機械人間と化した「おッちゃん」――かつてZ奪取の際に自らの身を擲った反ナチス同盟の闘士でした。
 既に自分の意思を失い、獣性細胞によって金属を同化するサボテンの能力を与えられた上で(この辺りの真面目さが作者らしい)、機械を埋め込まれた戦士と化したおッちゃん。しかし彼に対して天馬はその刃を振るうことができず、代わって銃を向けるギヌメール(もう復活してる)ですが、銃弾すら吸収する相手に窮地に……

 そんな中、T鉱炉の暴走による反重力化でZと「聖なる道」が共に上昇していることに気づいたネモは、Zをわざと横転させて下に合体していた「聖なる道」をZの上側に入れ替えることに成功。「聖なる道」の浮力は自らのアームを破壊し、Zを残して上昇した末に爆発! 間一髪脱出した天馬たち(+ベイルマン)も無事にZに帰還するのでした。

 こうして難を逃れたZは一時の静けさを取り戻し、東に針路をとって航行を続けることになります。天馬とアンジェリーナも天馬号で夜空の散歩と洒落込み、いいムードになるのですが――しかし二人が帰ってみれば艦内では奇怪なカビが繁茂し、それに触れた者は一瞬のうちに体中の養分水分を吸い取られていたのでした。カビに見えたものは獣性細胞、しかしこの細胞は自分の意思を持つように人間に襲いかかるではありませんか。
 時を同じくして、異変を察知して捕虜となったベイルマンの牢に向かったJは、そこで彼女に刃を向ける天馬に遭遇、ブーメラン刀で一撃を食らわせてみれば、彼の眼の前で「天馬」は奇怪な不定形の怪物の本性を見せ、艦内に紛れ込んでしまうのでした。

 この怪物こそは他者に瓜二つに変身する能力を持つ獣人、変幻自在の暗殺者・ドッペル。そして謎の獣性細胞は生物兵器・ジェネシス――ベイルマン暗殺のために送り込まれたドッペルは、大胆不敵にもZの艦橋に現れ、ゲームを提案します。天馬たちはジェネシスがZに蔓延することを防ぎ、ドッペルは一度変身した相手には二度と変身せずに、天馬たちを妨害すると……
 しかし指揮を取るべきネモは閉鎖された感染区域で消息を絶ち、艦内には不安が漂います。状況を打開すべくウェル開発のマリンスーツをまとい、感染区域に潜入した天馬・ウェル・エリカ。しかしそこは壁から天井まで全てが粘菌状のジェネシスに覆われた悪夢のような世界に変わっていたのであります。

 そして突如活性化したジェネシスに襲われ、マリンスーツを破られて肌を露出することとなった天馬たち。火炎放射器の攻撃も効果なく、逃げ惑う一行は、弾薬庫近くに倒れたネモを発見するのですが、彼は心肺停止状態。絶体絶命の中、ジェネシスに追い詰められた一行ですが――しかしネモが感染していなかったことから、ジェネシスが低温下で活動を停止すること、生物の熱を探知して襲いかかることをウェルが見破ります。そして冷却されている弾薬庫に逃げ込んだ一行は、ジェネシスから逃れることに成功するのでした。

 しかしその間もギヌメールらに変身したドッペルによる妨害によって艦内で増殖していくジェネシス。天馬からジェネシスの弱点を聞いたギヌメールはZを上昇させ、氷点下の外気を取り込もうとするのですが――しかし既にウェルに変身したドッペルにより機関部動力部が細工され、さらにギヌメールまでがジェネシスに感染することとなります。
 ネモとギヌメールの治療のため、医療室に急ぐ一行。そこに詰めていたアンジェリーナの前にエリカに変身したドッペルが現れ、彼女を連れ去ろうとした時、天馬が駆けつけて――次巻に続きます。

 これまでの大空を舞台とした豪快かつ勇壮な物語から一転、閉鎖空間ホラーに突入したジェネシス編。連載時はそのあまりの落差に驚いたのですが――このエピソードの意味はかなり後になって知ることになります。
 それはさておき、いまだ滅ぼす手段の見えないジェネシスを如何に倒すのか、そしてこちらも無敵のドッペルの正体を如何に暴くのか――この巻でもその知恵で窮地を切り抜けたウェルの活躍に期待であります。

『天空の覇者Z』第6巻(宇野比呂士 講談社少年マガジンコミックス) Amazon
天空の覇者Z 6 (少年マガジンコミックス)

関連記事
 宇野比呂士『天空の覇者Z』第1巻 幻の名作の始まり――快男児、天空に舞う!
 宇野比呂士『天空の覇者Z』第2巻 天馬vs死神、天馬vs獣人!
 宇野比呂士『天空の覇者Z』第3巻 激突、巨大空中兵器の死闘!
 宇野比呂士『天空の覇者Z』第4巻 流星の剣の目覚めるとき
 宇野比呂士『天空の覇者Z』第5巻 激突! 新生Zvs第三の超兵器

| | トラックバック (0)

より以前の記事一覧