2019.07.18

青木朋『土砂どめ奉行ものがたり』 史実とファンタジーで描く人間と自然の和合の姿


 中国ものを得意とする青木朋が、江戸時代の農村を舞台として描く物語――江戸時代、土砂崩れなどを防止するために木の伐採などを取り締まる土砂留奉行の奮闘を、ファンタジー要素も交えつつ描いたユニークな作品であります。

 木の伐採や草刈りなどによって山がはげ山となったことにより、土砂崩れや洪水が頻発していた江戸時代。これを重くみた幕府は土砂留令を出し、山での木の伐採を取り締まり、護岸工事などを行うこととするのでした。

 そしてその任についたのが、土砂留奉行――本作の主人公・稲田守弥であります。早速担当の地域に赴き、農民たちを指導する守弥ですが、しかし土砂留の負担は全て農民。当然のことながら、彼らは大きく反発することになります。
 その中でも、村の若き長者である利兵衛は反対の急先鋒。かつて山で幼い弟を事故で喪った彼は、守弥の言葉も聞かず、ひたすら金儲けに邁進するのですが……


 先日発売された「歴史街道」誌の細谷正充「子供や孫にすすめたい「歴史小説&マンガ」24 」という記事で紹介されていた本作。
 このことからも察せられるとおり、本作は子供にも非常にわかりやすい、学習漫画と読んでもよいタッチで描かれた物語なのですが――しかし絵柄は可愛く、展開はコミカルであっても、内容の方は、あくまでも丁寧に史実を踏まえた本格派であります。

 そもそも、江戸時代には森林資源の管理が行われていなかったことから、際限ない伐採によってはげ山が増加し、それに伴い災害が頻発していた――という、ベースとなった史実が興味深い。
 そう、本作は「江戸時代は自然と共存し、自然を大事にしていた」と、何となく共有されている思いこみを完膚なきまでに叩き壊し、そこから文字通り地に足が着いた物語を描いていくのであります。

 しかし、江戸時代に土砂留令のような自然保護と環境回復の思想があったのには感心させられますが、これは農民に対する一方的な申し渡しであり、幕府側では経費の負担等を行わない点で、(今の目で見れば)大きな欠点があります。
 本作でも、土砂留を推進しようとする守弥の重い自体は純粋なものではありますが、しかしこの欠点に目を瞑り、農民に強制する時点で、やはり時代の制約から逃れられていない状況にあるのです。

 そしてそんな彼の矛盾を突く、農民のロジックを代表するのが、農民側の主人公――というより本作の中盤以降の実質的な主人公と言うべき利兵衛であります。
 欲に駆られて山の神木を伐ったことにより、祟りで仲間を、そして弟の命を喪いながらも、そのためにかえって金儲け優先の守銭奴となってしまった利兵衛。そんな彼にとって、土砂留は金儲けの機会を奪うものであり、ことごとく守弥の命に逆らうことになるのです。

 この彼の行動はさすがに極端かもしれませんが、しかし当時の農民たちがあの手この手で取り締まりを逃れようとしたであろうことは容易に想像がつくところで、農民たちのある種のリアルを、彼は背負っていると言えるのでしょう。


 さて――このようにある意味生真面目な本作をここで取り上げているのには、一つ理由があります。それは冒頭で述べたように、本作にはファンタジー――というより民話的要素が随所に織り交ぜられているためなのです。

 実は守弥は、生まれつき人ならざるものを見ることができる人物。それ故、利兵衛の行いに怒る山神や、兄を心配してこの世に留まる利兵衛の弟の霊などの存在を知り、時にその協力を得て、自らの任を進めていくことになります。
 そして物語中盤から大きな役割を果たすのが、彼にくっついてきた狐のお紺であります。こともあろうに垣間見た利兵衛に一目惚れしてしまった彼女は、人間に化けて彼の屋敷の下働きとなり、物語の台風の目となるのです。

 この辺りは、ややもすれば重い内容になりかねない本作に対するユニークなアクセントであることは言うまでもありません。しかし同時に、狐――人間に比べ遙かに天然自然に近い存在――と人間が、紆余曲折を経てその距離を縮めていく姿は、本作が描く人間と自然の共存、和合の姿を体現しているとも感じられるのです。
 物語後半にはちょっと存在感が薄れていた守弥にも(とんでもない)真実があって、楽しい気分で物語は終わるのですが――これもまた、その和合の姿の一つと感じます。


 江戸時代のシビアな現実を、楽しくも美しいファンタジーで包んで描いてみせる――子供から大人まで楽しめる佳品です。


『土砂どめ奉行ものがたり』(青木朋 双葉社アクションコミックス) Amazon
土砂どめ奉行ものがたり (アクションコミックス)

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2019.07.12

鳴海丈『どくろ舞 あやかし小町大江戸怪異事件帳』 首無し死体を巡る怪異捕物帖の快作


 颯爽たる北町奉行所の青年同心と、妖怪の力を借りる可憐な美少女が、江戸を騒がす怪事件に挑む『あやかし小町大江戸怪異事件帳』シリーズ、待望の第5弾であります。今回二人が挑むのは、夜の空を舞う奇怪などくろの怪。その怪異に込められた秘密とは、そして怪異を生んだものとは……

 妖怪・おえんちゃんこと煙羅を櫛に宿し、その力で人々を助けてきた茶屋の看板娘・お光と、北町奉行所で活躍する切れ者の同心・和泉京之介。本シリーズは、不思議な縁で出会い、そして互いに強く惹かれあうようになったこの二人が、知恵と異能、そして情で様々な怪事件を解決する姿を描いてきました。

 そして全3話構成の本書の表題作である中編『どくろ舞』では、タイトル通りの何ともぞっとする怪異の出現をきっかけに、京之介たちが入り組んだ謎に挑むことになります。

 夜中に長い髪を振り乱したどくろが、首を求めてさまようという噂が流れる中、京之介が上役から解決を依頼された事件。それはとある寺で、老女が墓の一つを掘り起こそうとしたという騒動でありました。
 そして調査に出向いた京之介の問いに答えて老女・お路が語るのは、彼女の生き別れの娘・お絹にまつわる奇怪な物語だったのです。

 故あって養子に出され、さる大店の長女として育てられたお絹。しかしさる旗本屋敷に奉公に出た彼女は、半年前のある晩、彼女は何者かに呼び出されて一人大川端に出かけ、そこで首と胴が切り離された無惨な亡骸となって発見されたのであります。
 この一件、別件で獄門となった男が、自分が殺したと嘯いていたことから事件は解決したものと思われたのですが……

 しかし数日前、自分の頭を抱え、失われた首を探すお絹が夢枕に立ったと語るお路。そこで無我夢中でお絹の墓の中を確かめようとしたという彼女の言葉を信じた京之介が墓を確かめてみれば――何と棺は破られ、お絹の首が失われていたのではありませんか。

 この奇怪な事件には、半年前のお絹殺しが関わっていると考え、再度調べ始めた京之介。しかし、事件の第一発見者の男、獄門となった男から話をきいたちんぴら、そしてお路までもが、何者かに襲われる事件が頻発し、ついに京之介自身にも危険が迫ります。
 京之介の危機を知り、おえんちゃんとともに彼を救うために奔走するお光ですが……


 前作を紹介した際、私は事件そのものはかなりシンプルな部類と評していたのですが――一転、かなり複雑な謎が描かれることとなる本作。お絹を呼び出したのは何者か、何故彼女は無惨に殺害されたのか。事件の関係者の口封じに動くのは何者か。そして何よりも、お絹のどくろが宙を舞うのは何故か――と、様々な謎が、物語の中で複雑に絡み合っているのであります。

 本作の魅力は、間違いなく、過去の事件を構成するこれらの謎が京之介の奮闘により解き明かされ、少しずつ真実が浮かび上がっていく様にこそあると言えるでしょう。
 特にお絹が何故首を斬られなければならなかったというホワイダニットが、首を探す彼女のどくろと結びつく様は――「なるほど!」と言いたくなるミスリーディングとも結びついて――時代ミステリとして、きっちり楽しませていただきました。

 そして事件が明るみに出るきっかけと、事件の締めくくりに怪異の存在が絡む――そしてそこにお光活躍の必然性が生まれる――のも巧みで、前作で確立した怪奇捕物帖としてのスタイルが、本作においてさらに深化したと言っても間違いありません。
(ただし、明かされていない謎というか、一種の矛盾があるようにも感じるのですが……)


 そして残る短編2編は、いずれもシリーズ第三の主人公というべき男装の娘陰陽師・長谷部透流にまつわるエピソードであります。

 彼女が操る四体の強力な式神にまつわる悲痛な物語を描く『死闘・四鬼神狩り』、そしてお光と京之介が巻き込まれた奇妙な行き倒れに関する事件に、透流が思わぬ形で関わる『人憑き』――京之介とお光の物語が捕物帖だとすれば、透流のそれは伝奇もの。その違いからしばしば生じるある種の違和感(もちろんそれは狙ってのものではありますが)は、この2編にも漂っています。

 しかし今回は透流の過去を描くことにより、彼女がお光たちと関わり合う一つの理由が示されるのが目を引きます。そして、それは私がこのシリーズを愛する理由でもあると気付かされます。
 怪奇・捕物帖・伝奇――それぞれ異なる世界を繋ぐもの。それは人間の心がもたらす光であり――それがヒロインの名に冠されているのも、決して偶然ではないと、今更ながらに感じた次第です


『どくろ舞 あやかし小町大江戸怪異事件帳』(鳴海丈 廣済堂文庫) Amazon
あやかし小町  大江戸怪異事件帳  どくろ舞 (廣済堂文庫)


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2019.07.03

久賀理世『ふりむけばそこにいる 奇譚蒐集家小泉八雲 罪を喰らうもの』 謎と怪異の中に浮かぶ「想い」の姿


 少年時代の小泉八雲――ラフカディオ・ハーンと、神学校の寄宿舎で同室の親友「おれ」が、様々な怪異と出会い、その謎を探る英国ホラーシリーズの待望の続巻であります。今回収録されているのは短編2話に中編1話――心温まる怪異あり、心を凍てつかせるような恐怖ありと内容豊かな一冊です。

 さる貴族とオペラ歌手の母の間に生まれ、辺境の神学校に厄介払いされた「おれ」ことオーランド。そこで彼は、この世ならぬものを見る力を持ち、怪談を蒐集する変わり者の少年パトリック・ハーンと出会い、意気投合するのでした。
 そんな二人が怪談を蒐集する過程で出会う様々な怪異が、本シリーズでは描かれることになります

 本書の冒頭の『名もなき残響』は、そんなオーランドが、学校の周囲の森の中に佇む自分自身――それも初めに現れた時には子供だったのが、徐々に成長していく――姿を目撃したことから始まる物語。
 「自分」が出現したきっかけが、休日に外出した町で、かつての持ち主の霊が取り憑いた手回しオルガンと出会ったことではないかと考えた二人は、再び向かった町で、オルガンにまつわる過去、そしてもう一人のオーランドの正体を知ることになります。

 そして続く『Heavenly Blue Butterfly』 では、学校の敷地内に迷い込んだ母猫を探しているという子供の手伝いをすることになった二人が、その途中でこの世のものならざる不思議な蝶と出会うことになります。
 窓をすり抜けて飛ぶ蝶が入り込んだ寄宿舎の部屋を訪ねた二人は、そこで絵を愛する上級生ユージンと出会うのですが……

 この2編は、いずれも短編ながら、一見全く関係なさそうな二つの要素を巧みに絡み合わせることで、入り組んだ謎を巧みに織り上げてみせた物語。
 どちらも超自然的な怪異や不思議をきっちりと描きながらも、その核に温かく優しい「想い」を置くことで、美しい物語を成立させて見せる、ジェントル・ゴースト・ストーリーの名品であります。


 しかし本書の表題作である中編『罪を喰らうもの』では、一転してひどく重苦しく忌まわしい怪異と、複雑怪奇に絡み合った因果因縁が描かれることになります。

 ある晩、神学校の礼拝堂で見つかった身元不明の老人の死体。奇妙なのは、その礼拝堂では一年前にもアンソニーという学生が転落死を遂げていたことであります。
 彼の親友だった上級生・ハロルドの頼みで、事件を調べることになったパトリック。彼はアンソニーの友人たちを集め、「罪喰い」の儀式を行うことを提案するのでした。

 死者になすりつけたパンを口にすることで、死者の犯した罪の記憶を共有できるというこの儀式。それに参加したのは、ハロルド、アンソニーと同室だったウォルター、そして彼らと友人だったユージン。しかし儀式の最中、ウォルターは謎めいた言葉を残して気絶、意識不明となってしまうのでした。
 この思わぬ結果が一連の事件と深い関わりを持つと考え、上級生たち、そしてアンソニーに信頼されていたロレンス先生に共通する過去を調べ始める二人。しかし学校内では更なる怪異が続発して……


 「罪喰い」という名前に相応しく何とも不気味で忌まわしい儀式を題材とした本作。そしてそんな物語の中でクローズアップされるのは、その「罪」の存在――本作ではその正体を追って、二人が奔走することになります。
 これまでミステリを数多く手掛けてきた作者らしく、事件に関わる人々それぞれが胸の内に隠した秘密と想いが、二人の手によって一つずつ解き明かされていく様は、読み応えたっぷり。この辺りは良質のミステリと読んでもよいほどであります。

 しかし本作の魅力は、怪異の恐ろしさや、謎解きの興趣のみではありません。本作の最大の魅力は、前2話同様に本作にも確かに存在する、人の「想い」の姿なのですから。
 人がいればその数だけ存在する想い。人はその想いによって時に力付けられ、時に悩み苦しむことになります。本シリーズにおいては、これまで様々な想いの形が描かれてきましたが――人間関係が複雑に入り組んだ本作においては、その姿が特に強く浮かび上がることになります。

 それは時に重く苦しく、時にやりきれないものではあります。しかしそれでも、そんな「想い」の存在こそが人と人を結びつけ――そう、パトリックとオーランドのように――そして救うことができる。本作はそう強く謳い上げるのです。

 ホラーとしてミステリとして、そして何よりも人の「想い」を丹念に描く物語として――末永く続いてほしいシリーズであります。


『ふりむけばそこにいる 奇譚蒐集家小泉八雲 罪を喰らうもの』(久賀理世 講談社タイガ) Amazon
ふりむけばそこにいる 奇譚蒐集家 小泉八雲 罪を喰らうもの (講談社タイガ)


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2019.06.29

殿ヶ谷美由記『だんだらごはん』第4巻・第5巻 アンバランスさが浮かび上がらせる新撰組の姿


 新撰組と「食事」という、ちょっと奇妙な組み合わせで描く青春群像劇『だんだらごはん』の続刊であります。浪士組として上洛しながらも悩みは尽きず、芹沢鴨の暴挙に悩まされながらも、会津候のために力を尽くそうとする斎藤一とない試衛館組の面々ですが……

 人を斬って京に出た末、浪士組として上洛してきた総司たち試衛館の面々と再会した一。なし崩し的に(元)浪士組に加わった一ですが、しかしそこでは芹沢鴨の一派が幅を効かせ、無法を繰り返していました。
 それでも会津藩への嘆願書を出すことで壬生浪士組となり、状況が好転したかと思えば、試衛館組を敵視する殿内義雄が近藤暗殺を計画、これを察知した総司は、土方の命で殿内を斬って……

 と、その直後の二人と出くわしてしまった近藤と一という、またもや重い場面で始まることとなった第4巻。
 とりあえず話し合うために居酒屋を訪れた四人が、何となく飯を食い始めるという妙にリアリティな場面が描かれる一方で、土方の考えるこれからの隊作りに否応なしに巻き込まれていく一という、実に「新撰組」的な展開が描かれるというギャップが、ある意味本作を象徴していると言えるかもしれません。

 その後、暇を持て余す試衛館組が、もらいもののカレイのつみいれ(つみれ)汁を皆で作ったり、とんでもない甘い物マニアの島田が加入したりと、それなりに楽しい場面も続くのですが――しかしもちろん、それだけで本作が終わるはずもありません。
 ついに揃いのだんだら羽織を誂え、公方様の警護で大坂に向かうことになった壬生浪士組。しかしこの時の大坂で何が起こったか――新撰組ファンはよくご存じでしょう。

 相変わらずの酒乱の芹沢の気を紛らわせるために船遊びを提案した一。しかし思わぬ形で(また総司のせいで一が――という気がしないでもない)船遊びは中断、そして大坂の町で芹沢と力士たちが――という場面で第4巻は終わり、そして第5巻では芹沢たちや総司と、力士たちとの大乱闘から始まることになるのであります。

 そしてその先も一や総司、仲間たちには、様々な荒波が押し寄せることになります。将軍の江戸帰還に衝撃を受ける近藤。三条実美・久坂玄瑞らの暗躍が会津の地位を危うくしていることを知る斎藤。
 そんな大きな動きの前に若者たちが迷う中、中では暴走を続ける芹沢が、大和屋を焼き討ちして……


 と、この時代の新撰組(の前身)を描く物語自体は、かなりオーソドックスな印象の本作。そんな中でもちろん本作の最大の特徴である料理描写が挿入されるのですが――それは時にアンバランスに感じられる時もあるのは否めません。
 しかし本作においては、そのアンバランスさもまた狙いの一つと言えます。人間であれば生きるために必ず食べる――そして時には楽しみのために食べる――食事。そんな食事の存在は、日常の象徴といえるでしょう。

 幕末の歴史の巨大なうねりという非日常と、食事という日常と――その両者がアンバランスな関係にあるのはむしろ当然。
 そして同時にそれは、ごく平凡な若者たちであったものが、突然幕府と反幕の争いの最前線に放り込まれることとなった新撰組を象徴するものでもあります。

 そして作中で一が永倉に語ったように、未来に希望を持てず、あるいは芹沢のようになるかもしれなかった彼を繋ぎとめたものが仲間たちとの日常であったとすれば――このアンバランスさは、本作において予想以上に大きな意味を持つものであり、そして欠かすことのできないものなのでしょう。

 そこから何が生まれるのか、そして一たちをどのように支えるのか――この先も見届けたいと思います。


『だんだらごはん』(殿ヶ谷美由記 講談社KCxARIA) 第4巻 Amazon/ 第5巻 Amazon
だんだらごはん(4) (KCx)だんだらごはん(5) (KCx)


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2019.06.27

杉山小弥花『大正電氣バスターズ 不良少女と陰陽師』第1巻 「めんどうくささ」を抱えた二人の冒険始まる


 明治初期を舞台にした『明治失業忍法帖』を見事完結させた作者が次に舞台とする時代は大正――震災後の東京を舞台に、サブタイトルどおり不良少女と陰陽師の少年が帝都を騒がす悪霊に挑む活劇であると同時に、今回もまた、ままならぬ内面を持て余す男女の姿を綴る物語でもあります。

 本作の主人公は、関東大震災後の東京で、凄腕のスリとして知られるアーメンおりょう。元は良家の子女でありながら、震災で両親と家財を失い、流れ流れて今は一匹狼のスリとして暮らす少女であります。
 そんな彼女がある日銀座で出会ったのは、美形ながらおかしな気配を漂わせる少年・烏丸晴哉。自分を陰陽師と名乗る彼は、震災後に東京で活性化した悪霊たちを封じていると語り、おりょうが高い霊力を持ち、魔を惹きつける体質だと告げるのでした。

 もちろんそんな言葉を一笑に付して相手にしないおりょうですが、しかしかねてから帝都を騒がす通り魔に遭遇、訳の分からぬことを口走る男を前に、命の危険に晒されることになります。と、そこに現れたのはあの晴哉で……


 という第1話から始まる本作。電氣バスターズというのは何とも奇妙なタイトルですが、作中で晴哉が悪霊を指して語る「電気みたいな実体のないエネルギー」という言葉に由来するのでしょう。
 その言葉の通り、本作に登場する悪霊・魔の類は、その名から連想されるような恐ろしい姿は持たず、人間の心の弱い部分、暗い部分に取り憑いて、凶行を働かせるという形で活動することになります。

 それ故、本作はタイトルや設定から連想されるほどには派手なお話ではないのですが――しかしそれだからこそ、作中で描かれる「悪意」の姿は、より生々しく、危険なものとして感じられます。

 そしてそんな魔に立ち向かうのがおりょうと晴哉のカップル、というよりコンビ(途中でおりょうが「鷹の目団」と命名)なのですが――晴哉はともかくおりょうはほとんど一般人、そして晴哉の方は極端な貧血体質と命名ヒーローとはほど遠い二人であります。
 しかしそんな二人が、時にぶつかり合い、時に手を携えて、この世を蝕む魔に挑む姿は――先に述べたとおり、敵の姿が生々しいだけに――なかなかに痛快なのです。
(特に第2話で晴哉が繰り出す早九字は、こんなの見たことない! と言いたくなるような豪快さで実にイイ)


 さて、作者の作品といえば、丹念な考証とそれを踏まえた物語展開、そして何よりも登場人物の複雑な内面描写が魅力なわけですが――それはもちろん本作でも健在であります。
 特に最後の点については、期待通りというべきか、おりょうも晴哉も、内面に深刻な「めんどくささ」を抱えたキャラクターとして描かれることになります。

 もちろん、その「めんどくささ」を生み出しているのは、彼女たちが自分自身の内面を客観視しすぎている――客観視できすぎているが故のこと。
 自分の抱えたものに気付かないほど鈍感であれば、あるいはそれと適当につき合えるほど小利口であれば、もう少し傷つかずに生きられるのかもしれませんが――しかしそこから逃げず(逃げられず)に真っ向から向き合う姿は、それだからこそ、こちらの心を動かします。

 特に第1話のクライマックスにおいて、あの震災によって全てを奪われながらも、悲劇のヒロインであることを否定して、自分自身として生き抜いてやると叫ぶおりょうの姿は実に感動的かつ魅力的で――確かに晴哉が「姐さん」と呼んで慕ってしまうのも頷けるのであります。

 その一方で、晴哉の方は陰陽師としての顔にまだまだ見えない部分が多く、ちょっと感情移入しにくいのですが――この巻のラストを見るに、それはまだまだこの先のお楽しみなのでしょう。


 何はともあれ、愛すべきめんどうくさい二人の冒険は始まりました。
 これまで『当世白浪気質』では昭和(終戦直後)を、『明治失業忍法帖』では明治時代を描いてきた作者が、本作でどのような大正時代を描いてみせるのか――その点も含めて、この先が楽しみな物語であります。


『大正電氣バスターズ 不良少女と陰陽師』第1巻(杉山小弥花 秋田書店プリンセスコミックス) Amazon
大正電氣バスターズ~不良少女と陰陽師~ 1 (プリンセス・コミックス)


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 『当世白浪気質』第1巻 死の先にある真実を求めて
 『当世白浪気質』第2巻・第3巻 彼が見つけた本当に美しいもの

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2019.06.26

『どろろ』 第二十四話「どろろと百鬼丸」

 燃えさかる炎の中、最後の死闘を繰り広げる百鬼丸と多宝丸。ついに多宝丸を追いつめる百鬼丸だが――その時、これまでのどろろたちの思い出が頭をよぎり、刀を止めるのだった。負けを認めた多宝丸から両目を返され、現れた最後の鬼神も倒した百鬼丸。しかし炎に巻かれて倒れた彼の前に現れたのは……

 開幕早々、超絶作画で猛烈な剣戟を繰り広げる百鬼丸と多宝丸。死闘の最中、これは自分の城だ、自分の部屋などと百鬼丸に子供じみた言葉を叩きつける多宝丸ですが――戦いの中で百鬼丸は、多宝丸に欠けたものがある――百鬼丸には胸の部分が黒くぽっかりと空いて見える――のを感じ取るのでした。
 それでも互いの刃が止まることなく、いよいよ激しくなる火勢の中、ついに決着の時を迎える二人。百鬼丸のとどめの一撃が振り下ろされようとした時――百鬼丸の脳裏をよぎったのは、何故かどろろや、彼女との旅の中で出会った人々の姿でありました。

 そしてそれに止められたかのように、刀を下ろす百鬼丸。訝しげな多宝丸に、俺たちは人だと百鬼丸は告げ、多宝丸もついに負けを認めるのでした。そして百鬼丸に最後の身体の一部――両目を返すべく、己の目を抉りだした多宝丸。それと呼応するかのように、崩れつつある城の中に現れたのは十二番目の鬼神――植物とも鉱物ともつかぬような巨体の中核と覚しき部分を百鬼丸の刀が貫き、ついに百鬼丸は全き身体を取り戻したのでした。

 しかし返ってきたばかりの目を開けられぬ百鬼丸の上に落ち掛かる、燃え崩れた城の一部。そこから彼を救ったのは、既に城の中に入り込んでいた寿海と、抜け穴を抜けて戻ってきた縫の方でありました。ついに目を開けた百鬼丸と見つめ合い、母子の名乗りを交わす縫の方と、百鬼丸に最後の授け物として仏像を――人の心を与える寿海。百鬼丸を抜け穴から逃がし、その場に残った二人、いや、ようやく母の心からの愛を受け止めて心の隙間を埋めた多宝丸も入れて三人は、従容として崩れ落ちる城と運命を共にするのでした。
 一方、抜け穴の途中まで追ってきたどろろと出会い、共に外に出た百鬼丸。その目に映るのはどろろの顔と、美しい夕焼けの空……

 そして戦いが終わり、焼け出された人々の村の再建を、青年三人組に提案するどろろ。武士の力ではなく、金の力を使うというどろろに怪訝な表情の青年団ですが、どろろは心当たりがあると――もちろん、父の残した財宝であります――笑ってみせるのでした。

 一方、ただ一人地獄堂に向かった百鬼丸。そこには、朝倉との戦いで数多くの兵を失い、満身創痍で堂の中に端座する醍醐景光の姿がありました。事ここに至っても自分の所業を恥じることなく、今ここでお前に討たれても魂魄ここに留まって鬼神となると嘯く景光。しかし百鬼丸の刃が貫いたのは景光ではなく、傍らに置かれた兜でありました。
 百鬼丸が選んだのは、父を殺してこの先も修羅の道を行くのではなく、人の道を行くこと。そしてあんたも人として生きろと告げて去る百鬼丸の器と生命力の大きさを前に、初めて景光は己の失ったものの大きさを知り、心から慟哭するのでした。そう、百鬼丸を己の欲望の生贄にしなければ手には入ったかもしれないもう一つの未来――父と子で手を取り合って作り上げる国を失ったことを……

 そしてそのまま一人飄然と何処かへ旅立つ百鬼丸。しかしどろろはいつの日にか必ず百鬼丸が自分のもとに帰ってくることを信じて、村を再建するために走り始めます。そして数年後、美しく成長したどろろの前に、凛々しく成長した百鬼丸が……


 まさに大団円と呼ぶに相応しい内容となった最終回。多宝丸も縫の方も寿海も、悲しい結末ではありますが、しかしそれぞれ最後には己の行動に、己の生に満足することができたと言うことができるでしょう。
 景光が最後まで生き残ったのに不満を覚える方もいるかもしれませんが、しかし己以外の全てを失い、そしてその時になって初めて自分の欲望のために失ったものの大きさを知ったのは、彼にとっては何よりも残酷な罰と言うべきではないでしょうか。景光を怪物としてではなく、一人の人間として――そしてそれを百鬼丸の成長を通じて――描いたこの結末、私は大いに感心しました。

 そしてどろろと百鬼丸ですが――すっかり母親似の美人となったどろろと、家族の良いところだけ集めたようなイケメンとなった百鬼丸。二人にとっては最高の結末でしょう。
 最高と断言して良いかって? その理由は、景光が仕えた富樫家が一揆勢に追われ、加賀はその後100年近く「百姓の持ちたる国」となったという史実を掲げれば足りると――私はそう思います。

 そして原作においても景光が富樫家の家臣であったことを思えば、原作の描けなかった結末に、ここでようやくたどり着くことができた、というのはさすがに言い過ぎかもしれませんが……


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2019.06.19

『どろろ』 第二十三話「鬼神の巻」

 鬼神から百鬼丸の両眼と両腕を与えられた多宝丸・陸奥・兵庫と対峙する百鬼丸とミドロ号。駆けつけたどろろと縫、琵琶丸たちが見守る中で繰り広げられる死闘の中、ミドロ号と陸奥・兵庫が相討ちとなり、百鬼丸に両腕が戻ってくる。なおも激しく激突する兄弟の戦いは、終わることなく続き……

 災いの子である百鬼丸を倒し、その身を鬼神に捧げることで醍醐領に安寧を取り戻そうと、喪った体を補うようにその百鬼丸の体を十二番目の鬼神から与えられた多宝丸と陸奥・兵庫。対するは百鬼丸と妖怪(鬼神ではない模様)と化したミドロ号――もはや言葉は不要、ただ相手の命を奪うのみとなった両者は、駆けつけたどろろと縫、琵琶丸、そして前回から登場の村の若者三人組が固唾を呑んで見守る中、ぶつかりあいます。
 百鬼丸と多宝丸が激しく切り結ぶ一方で、ミドロ号の動きを封じるべく立ち塞がる陸奥と兵庫――と思ったら、次に場面が変わった時にはミドロ号に踏み潰されている兵庫。しかしそこにミドロ号の子供が現れ、気を逸らしたミドロ号に対して兵庫の、陸奥の刀が突き刺さります。しかし怒ったミドロ号に兵庫は首を引っこ抜かれ、そして陸奥も後ろ脚で蹴り飛ばされ――と、それでも鬼神の力か動き出した兵庫の体は再びミドロ号に一撃! 同時に陸奥も深々と刃を突き刺します。しかし二人の生命力もそこで燃え尽き、そしてミドロ号もついに息絶えるのでした。

 と、百鬼丸自身の手ではなくとも、百鬼丸の体の一部を奪った陸奥と兵庫が命を落とした結果、ついに戻ってきた百鬼丸の両腕。百鬼丸は襲ってきた多宝丸の攻撃を受け止めるため、自分の義肢に刺さっていた刀を素手で掴んだものだから手を血塗れにしつつも、なおも残る多宝丸を討とうとするのですが――そんな彼の前に立ったのは縫の方であります。はたして母の前で血塗れの両手を恥じたのか、はたまた取り戻したばかりの両腕を奪われまいとしたのか、両手と刀を背に回して隠した百鬼丸は、その場から走り去り、多宝丸も後を追って姿を消すのでした。

 その場に取り残され、息絶えた者たちを弔う中、百鬼丸と国を秤にかけるようなことを言い出す青年団に素晴らしい跳躍で殴りかかるどろろ。しかし縫の方は青年たちの発言を肯定しますが――しかし彼女は続けます。何者かに頼って築く平安は脆いと。この平安は百鬼丸ただ一人の犠牲で得られたものを享受していただけであって、自分たちの努力で得ていないものは、守ることもできないのだと……
 ここでどろろの脳裏によぎるのは、これまでの人生で、そして百鬼丸との旅の中で出会い、別れた人々――武士や戦に様々なものを奪われ、それでいて自分たちの力では何も出来なかった人々のこと。守りたいものがあるのなら、自分自身が力を得て強くならなければならないと気付いたどろろは、強すぎることの危険性を語る琵琶丸の言葉にも、大事なのは心の持ちようだと、決然とした眼差しでもって力強く返すのでした。

 そして景光自ら出陣する中、城に残った者たちの前にその異形の姿を現し、百鬼丸がやってくる前に去れと促す多宝丸。城から皆が去り、ただ一人残った多宝丸の前に、百鬼丸が現れます。そして自分たちだけの城の中で、幾たび目かの一騎打ちを始める二人。激しい激突の中で灯火が倒れ、辺りが炎に包まれる中、なおも二人の戦いは続いて……


 かなりの部分を使って、ひたすらバトルが繰り広げられるという、ある意味ラスト前に相応しい今回。全般的に作画は低調でしたがその分アクションに全振りしたかのように、縦横無尽に切り結ぶ百鬼丸と多宝丸の戦いは、まさしく触れれば斬れそうなほどの凄まじい迫力がありました。
(自らの腕を取り戻した百鬼丸が、手で刀を持つことで間合いを伸ばしながらも、しかしそのために屋内の戦いではそれが災いして長押に刀を引っかける場面も面白い)

 しかし気になるのはもちろんこの先の物語。どう転んでも誰かにとっては悲劇しか待っていない状況の中、どのようにこの物語は結末を迎えるのか。今回一気に成長した感のあるどろろは、朧気に向かう先を掴んだようですが、しかしその傍らにはやはり百鬼丸がいてほしい――それはどろろのみならず皆の願いでしょう。
 城が炎に包まる中、何か心に期するところがあったらしい表情を見せる寿海。果たして彼の存在が、どろろが、縫が何かを生み出すのか――ただ観ているしかないこちらとしては、縋れるものには何でも縋りたい気分であります。


 しかしミドロ号、最初の死に続いて、二度目の死も何だか雑な扱いでした。ここまで頑張ってきた陸奥と兵庫も。


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2019.06.17

手塚治虫『どろろ』 人間性を奪うものへの反逆の物語


 現在放送中のアニメ版もいよいよ終盤ということで、ここで原作の『どろろ』を振り返ってみるとしましょう。言うまでもなく手塚治虫の手になる本作は、昭和42年から43年にかけて「週刊少年サンデー」に、昭和44年に冒険王に連載された時代妖怪漫画であります。

 戦国の世、地獄堂に封じられた四十八体の魔物に対して、もうじき生まれる我が子を生け贄に天下取りの力を求めた醍醐景光。その願いが叶ったということか、、子供は生まれながらにして体の大半の部分を持たず、生まれてすぐに川に流されるのでした。
 偶然それを見つけた医師・寿海によって義手や義足、そして百鬼丸の名を与えられた少年。しかし彼は、その生まれ故か、次々と妖怪を惹きつけ、狙われることになります。

 ついに寿海のもとを離れることとなった百鬼丸。彼は、謎の声の導きで自分の体を奪った四十八の魔物の存在を知り、体を取り戻すために魔物退治の旅に出ます。その途中、自分の刀を狙う自称・天下の大泥棒の浮浪児・どろろにつきまとわれるようになった百鬼丸。百鬼丸とどろろは、二人で当て所なく戦乱の巷を彷徨うことに……


 と、今更言うまでもないあらすじを繰り返してみましたが、今回読み返して改めて感じるのは、やはり百鬼丸の設定の面白さ、巧みさであります。

 何かと引き替えに超自然的な存在に体の一部を奪われるというのは、これはある種普遍的なモチーフかもしれませんが、しかし――これは私の不勉強かもしれませんが――ほぼ全身の全ての箇所を奪われ、そして奪った者を倒すたびにそれを取り返していくというのは、やはり本作が嚆矢ではないでしょうか。
 そしてその特異すぎる設定が、百鬼丸というキャラクターの個性と特殊能力、そして動機付けを同時に成り立たせているのには、感心するほかありません。

 そして登場する魔物たちも、そのほとんどが民俗的バックボーンを持ったキャラクターとしての「妖怪」とは異なる、不気味な怪物揃いなのが目を引きます。
 そんな百鬼丸と魔物たちの、ある種の怪物同士の戦いは、戦乱が打ち続き荒廃しきった室町後期の世界のある種象徴じみたものであり――そこにさらに荒んだ人間たちのドラマが絡み合う様は、今読んでも全く遜色ない面白さであります。

 ……といっても、それはあくまでも伝奇ファン、怪奇ファンとしての目線であって、当時の少年漫画の読者にとってみれば、やはりこの内容は不気味であり殺伐としすぎていただろうなあ――というのも正直な印象(時折差し挟まれるナンセンスギャグが、普通に少年漫画しているのも強烈な違和感)。
 少年サンデー連載版の終盤、どろろの背中に記された財宝の在処を巡り、一つの島(岬)を舞台に野盗や武士、魔物までが入り乱れて大乱戦を繰り広げる展開など、非常に盛り上がるのですが……

 なにはともあれ、よく知られているように、実質二度に渡って中途で終わったような扱いとなっているのは、大いに勿体ないとしか言いようがない一方で、それもやむなし――というより、そこに至るまでの経緯はさておき、今のそれ以外のどのような結末が描けたかわからない――という気もいたします。


 さて、こうして見比べてみると、現在放送中のアニメが想像以上に原作を巧みに換骨奪胎していることがよくわかるのですが――しかし、やはり原作にあった百鬼丸のキャラクターが変えられてしまったのは、実に勿体ない、という印象があります。
 不敵で不屈の闘志を持ち、そして常に斜に構えたような態度を見せながらも実は熱血漢――という原作のキャラクターは、これはこれで一種のヒーローの類型かもしれません。しかしそれが百鬼丸独特の設定と結びついた時、残酷な運命に立ち向かう――いや食らいつく「人間」の生命力というものを、強烈に感じさせるのであります。

 そしてそれが、生まれや育ちこそ違え同じ強烈な生命力を持つどろろと共鳴し、物語で繰り返し描かれる反権力のモチーフと結びついた時に生まれる一種の反骨精神は、今の目で見ても、いや今この時代に見るからこそ、力強く好もしく感じられます。。
 もちろんこれはこれで「時代性」というものかもしれません。しかし、本作の根底にあるのが人間性を奪うものへの怒りであり、そしてそれに対する反逆を体現するのが、百鬼丸のあのキャラクターである――というのは、決して牽強付会ではないと感じるのであります。

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2019.06.15

山本巧次『開化鐵道探偵 第一〇二列車の謎』 徳川埋蔵金が映し出す時代の境目の想い


 デビュー作『大江戸科学捜査 八丁堀のおゆう』もドラマ化された作者が、明治時代の鉄道を舞台に描くミステリシリーズの第2弾です。元八丁堀同心と鉄道技手のコンビが、今回挑むのは、何者かによって脱線させられた新型車両から発見された千両箱を巡る数々の謎であります。

 逢坂山トンネルの怪事件から6年後の明治18年――開業間もない大宮駅で、新型車両を連結した貨車の脱線が発生。それが何者かがポイント切り替えを行ったことによるものだった上に、脱線した車両から、記録にない小判のつまった千両箱が発見されたことから、大事件に発展することになります。
 その積み荷を乗せたのは群馬の高崎――高崎といえば、末期の幕府を支えた勘定奉行・小栗上野介が隠棲し、官軍に処刑された地。すなわちこの千両箱は、密かに囁かれてきた徳川家の埋蔵金ではないのか!? と……

 そんな中、長州五傑の一人にして、今は日本の鉄道網整備に邁進する井上勝に呼び出された元八丁堀同心・草壁賢吾と、なりゆきから彼の助手を務めてきた鉄道技手・小野寺乙松は、この事件の調査のために高崎に向かうことになります。
 高崎で二人を待ち受けるのは、千両箱=徳川埋蔵金を巡って火花を散らす没落士族、自由党の過激派、そして警察。そんな一触即発の状況下で、ついには高崎駅で自由党員が殺害される事件までが発生するのでした。

 小野寺の新妻で高崎出身の綾子まで捜査に加わり、三つ巴、四つ巴の構図の中で、草壁が明かす事件の真相とは……


 鉄道が日本中に普及する前、先人たちが文字通り道を切り開こうとしていた時代を舞台に描かれる時代鉄道ミステリとも言うべき本シリーズ。
 前作は逢坂山トンネルに対する妨害工作に挑む草壁&小野寺コンビの姿が描かれましたが、今回は鉄道脱線を巡る事件だけでなく、何と徳川埋蔵金を巡る謎解きまでが加わり、大いにそそられるところであります。

 誰が鉄道を脱線させたのか、何故その貨車に千両箱が乗せられていたのか。高崎駅で何故殺人は起きたのか。そして何よりも、本当に埋蔵金は存在するのか……
 上で述べたように、埋蔵金を巡って各勢力が入り乱れる中、事件の様相も前作に比べてグッと派手になり、クライマックスでは大乱戦も勃発するサービスぶりですが――主人公サイドも、新たに綾子が加わって賑やかになったのが楽しいところであります。

 美しく聡明で非の打ち所のない女性――のようでいて、いささか好奇心が強すぎて、隙あらば事件に首を突っ込んでくるという彼女の存在は、ある意味お約束ではあります。しかし前作同様、時に端正すぎる部分がある本作をいい感じにかき回してのが楽しいところです。(彼女の存在を含めて、様々な点で前作での不満点を解消しに来ているのは好感が持てます)


 しかし本作で最も強く印象に残るのは、やはり小栗上野介の、徳川幕府の埋蔵金の存在でしょう。
 もちろん本作のオリジナルではなく、現代に至るまで、幾度も存在が囁かれてきた小栗上野介の埋蔵金。フィクションの題材となることもしばしばですが――本作は上で述べてきたように、この埋蔵金の存在がそもそもの発端であり、事件に関わる者たちを動かす原動力であり、そして全ての謎の淵源とも言える存在なのであります。

 そして埋蔵金はそれだけでなく、一種の鏡としての役割をも果たします。埋蔵金を巡る人々の――明治18年という、江戸時代の残滓がどんどん消えていく一方で、まだ完全に新たな時代が来たわけではない、そんな狭間の時代に生きる人々の心を映す鏡として。

 本シリーズの舞台そして題材は、鉄道という新たな時代の象徴ともいうべき存在であります。しかしそんな新たな時代に乗り切れない人々もいます。古い時代の傷に苦しむ人々もいます。
 そんな時代の境目で人々が抱えるやりきれない想いは、埋蔵金に対する態度にも表れます。そしてそんな想いが引き起こす事件を、やはり元八丁堀同心という過去を持ちつつ、それに囚われない草壁が解決していく――そんな構図は、何とも象徴的に感じられるのです。

 もっとも本作のような物語においては、草壁のその囚われなさが少々ずるいな、と感じさせられるのも事実なのですが……


 何はともあれ、前作以上に時代ミステリとして楽しめた本作。続編があるならば、舞台はやはりラストに登場したあの地ではないかという気もしますが――さて。


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開化鐵道探偵 第一〇二列車の謎 (ミステリ・フロンティア)


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2019.06.12

『どろろ』 第二十二話「縫の巻」

 囚われたどろろを逃がし、自分も百鬼丸に会うために館を抜け出した縫の方。その百鬼丸は、己の身体とどろろを求めるあまり、鬼神と化したミドロ号と一体化して、醍醐の兵を手に掛けながら突き進む。一方、余命幾ばくもない中、自分の身を地獄堂の鬼神に捧げようとするも拒まれる陸奥。しかし……

 いよいよ醍醐と朝倉の間で戦いが始まろうとする中、醍醐に向かう寿海。しかしその彼も、目の前を行く一団が、百鬼丸と共に在ったどろろを捕まえて帰る途中であるとは思いもよりません。そして醍醐の館で牢に閉じこめられたどろろですが――彼女を助けたのは、なんと百鬼丸の母・縫であります。
 どろろを逃がすという縫ですが、彼女のばんもんでの言動をしっかり覚えていたどろろは不満タラタラ。しかしお母ちゃんに滅茶苦茶弱いどろろは、文字通り縫に抱き込まれ、結局彼女とともに行動することになります。

 その縫も初めはどろろを抜け穴から逃がすだけのつもりだったのですが、しかし百鬼丸と行動を共にしてきた彼女と一緒にいるうち、自分も百鬼丸に会いたくなって出奔。二人で小舟で川を下るのですが――しかし急流に捕まって、川に投げ出されるのでした。
 と、どろろが目覚めてみれば、そこにいたのはミドロ号の子供と、相変わらずタイミングの良い琵琶丸。戦や病で住むところを奪われたり、傷を負った人々が寄り集まった集落に、どろろは救われたのであります。そして同様に救われた縫は、自ら人々の助けになろうと働くのですが――意外と醍醐の所業に理解のある人々は、彼女の正体が半ば公然の秘密となっても受け入れているようです(これでは原作の一揆エンドはないか……?)

 さて、そんな中で醍醐の兵がおかしな動きをしていることを知るどろろたち。どうやら向かってくる何者かと戦い、そして敵わず浮き足立っているようですが――さては百鬼丸かと思えば、彼だけではなかったのであります。百鬼丸がまたがるのは、前回可愛い子供から引き離された上、無惨に特攻兵器に使われて爆死し、燃えるたてがみを持つ姿で甦ったミドロ号。まさか百鬼丸が鬼神(とは明言されていないのですが)と行動を共にするとは――と思いつつも、しかし百鬼丸もミドロ号も、醍醐に大切なものを奪われたという点は共通なのです。
 ……が、何の罪もない、醍醐の側にいるというだけの兵を叩き斬り、蹄にかけ、そして火だるまにするというのはいくら何でもやりすぎであります。もはや二匹、いや一体の鬼神と化した百鬼丸とミドロ号は、あの密偵もあっさりと消し炭にすると、ひたすら醍醐領に向かって突き進むのでした。

 さて、その百鬼丸を前回三人がかりで襲いながらも、顔に再び深手を負った多宝丸と、それぞれ片腕を失った陸奥と兵庫。しかも陸奥は疾病を発症し、体中には赤い腫れものが浮かび上がる状態であります。しかしそんな中でも、ある一念から必死に体を動かし、療養中の館から姿を消す陸奥。「姉上がいなくなった!」と驚く兵庫とともに、その行方を探す多宝丸ですが――姉上!?(完全に声の高い青年という設定だと思いこんでおりました)
 その陸奥が向かった先は、あの地獄堂――最後の鬼神が地獄堂に潜むことを知る陸奥は、醍醐を、多宝丸を守るために、自らの身を鬼神の生贄として捧げようとしていたのであります。そして駆けつけた多宝丸と兵庫の前で、鬼神に訴えかける陸奥ですが――彼女は残酷な真実を知ることになります。鬼神が生贄として受け取るのは、あくまでも醍醐の跡継ぎの身体のみ、と。しかし、あくまでも受け取るのはであって、与えるのは……

 そして四度、百鬼丸の前に立ち塞がる多宝丸、そして陸奥と兵庫。しかし陸奥と兵庫には、失われたはずの腕があるではありませんか。そして多宝丸の潰れた目が、そして新たな傷が口を開け、そこから現れたのは二つの目玉――そう、奪われた百鬼丸の身体のうち、いまだ戻ってきていない両腕、そして目は、最後の鬼神によって多宝丸たちに与えられたのです。
 奪われた身体が自分の敵に与えられたことに怒り狂い、襲いかかる百鬼丸ですが……


 残すところついに3回となったところで、寿海までもが醍醐に現れ、ついに百鬼丸に関わる全ての人間が集まった感がある今回。しかし物語の方は予想をはるかに超えた地獄絵図が繰り広げられることとなります。
 ミドロ号に乗る百鬼丸という、ある意味夢のコラボに驚く間もなく、ついに身も心も鬼神と化し、己の行く手に立つ者全てを血祭りに上げる百鬼丸。そして彼の前に立つ多宝丸は、醍醐を守るためとはいえ、その百鬼丸の身体を奪って異形と化すのですから。

 実は多宝丸が片目を失いながら生存した時点で彼が鬼神の力を得ることは予想していたのですが――しかしこの形で、このタイミングで描くとは。もはや希望は百鬼丸のもとに急ぐ縫の方のみですが――しかしそれとて、新たな惨劇の予感しかしないのです。嗚呼!


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